育児嚢
育児嚢(いくじのう)とは雌の有袋類に見られる未熟な乳仔を育てるための袋である。有袋類(marsupial)の由来はこの袋(羅:Marsupium)に拠る。同様に育児嚢と呼ばれる器官はハリモグラや雄のタツノオトシゴにも存在する。
有袋類の育児嚢
産まれたばかりの有袋類の新生仔(ジョーイ、英:Joey)は産道から育児嚢までを這って移動する。この育児嚢は基本的に乳首の周囲の皮膚が畳み込まれた入り口が一つしかない、乳仔を守り育てるためのものである。種ごとにその様相も異なっている。
例えばタスマニアデビルの育児嚢は後ろ向きに開いており、新生仔の移動は少なくてすむ。乳仔は乳首に吸い付いたまま離れず、成長して一度外に出ると二度と戻ることはない。
カンガルーやワラビーの育児嚢は体の前面に水平に開いており、新生仔は比較的長い道のりを這わなくてはならない。外へ出る事が出来るまで成長しても、かなり後まで育児嚢に入る。