発散

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ベクトル解析における発散(はっさん、divergence)とは、ベクトル場の各点における量の変化の傾向を記述するスカラー場のこと、あるいはそのスカラー場を与える微分作用素のことである。湧出(ゆうしゅつ、わきだし)あるいは湧出量ともいう。

例えば、三次元空間のベクトル場である流体電磁場の発散は、場が物理的に外部にどれだけ流れ出ている、あるいは流れ込んでいるかをあらわす。空間内の各点において、発散の値が正ならば湧出している様子を、負ならば流入している様子を見てとることができる。

定義

一般的な定義

直交座標系において、ベクトル A = (A1, A2, ..., An) の、点 (p1, p2, ..., pn) における発散、湧出量とはスカラー

のことである。さらに p を動かして得られる次のスカラー場、

を、ベクトル場 Aダイバージェンス発散あるいは湧出といい、div A, ∇ · A などとあらわす(· はドット積を、∇ はナブラを参照)。すなわち、

3次元での定義

3次元の ユークリッド空間 上での 直交座標系 x, y, z のにおいて、単位ベクトル基底i, j, k とする。

ベクトル場 A = (Ax, Ay, Az) = Ax i + Ay j + Az k における発散は

となる。

性質

  • div は線型作用素である。
  • スカラー場 ψ とベクトル場 A について、次の積の法則が成り立つ:
    div(ψA) = grad(ψ) · A + ψ(div A)
  • 二つの空間ベクトル場 A, B について次の積の法則が成り立つ:
    div(A × B) = (rot AB - A ·(rot B)

ただし、ψA は ψA(p) = ψ(p)A(p) なるベクトル場、ψ(div A) も同様である。また、× は外積、grad は勾配で rot は回転である。

関連項目