流局

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流局(りゅうきょく)とは、麻雀において、和了以外の要因で局が終了することをいう。流局することを流れると表現することが多い。

通常の流局

王牌の14枚以外に壁牌(山)の残りがなくなったときに流局となる。このような流局を、荒牌平局(ホワンパイピンチュー、こうはいへいきょく)、または荒牌(ホワンパイ、こうはい)と呼ぶ。流局のうち最も一般的なケースであり、単に流局といった場合は通常この荒牌平局を指す。ただし、荒牌平局時に流し満貫が成立していた場合は流局として扱わない。

不聴罰符

荒牌平局となった場合、聴牌(テンパイ)していたかどうかを基準として、以下のような点棒の授受が行われる。このとき支払われる点数を不聴罰符(ノーテンばっぷ)という。このとき、他のプレイヤーが確認できるように、テンパイしていた者は手牌を公開する(テンパイしていても作戦として手牌を公開せずにノーテンとすることはできる)。

一般的なノーテン罰符の授受は次のようになる。

  • 1人だけテンパイしていた場合、テンパイしていた者が他の3名から1000点ずつ受け取る。
  • 2人がテンパイしていた場合、テンパイしていなかった2名が1500点ずつ支払い、テンパイしていた2名が1500点ずつ受け取る。
  • 3人がテンパイしていた場合、テンパイしていなかった者が他の3名に1000点ずつ支払う。
  • 全員がテンパイ、もしくは全員がノーテンだった場合には点棒の授受は行われない。

要するに、テンパイしていない者が合計3000点を支払い、それをテンパイ者に分配する。これを「ノーテン罰符は場に3000点」と言う。

立直との関連

荒牌平局となった場合、立直(リーチ)をかけていた者は手牌を開示しなければならない。この時、テンパイしていなかったことが発覚した場合はノーテンリーチとしてチョンボとなる。なお、一般的なルールにおいては荒牌平局となる前に他のプレイヤーが和了した場合、手牌を開示する必要は無いためノーテンリーチであっても不問とされる。

連荘との関連

一般的には、荒牌平局となった場合、親がテンパイしていれば連荘(レンチャン)となる。これを「テンパイ連荘」と言う。一方、親が和了った場合のみ連荘とするルールを「アガリ連荘」もしくは「アガリのみ連荘」と言い、アガリ連荘のルールでは、荒牌平局時に親がテンパイしていても連荘とならない(ノーテン罰符を受け取ることができるだけで、親番は次の者に移る)。「テンパイ連荘」にするか「アガリ連荘」にするかは取り決め次第である。

途中流局

局の途中において、所定の条件が満たされた場合に流局とすることがある。これを途中流局と言う。この場合、ノーテン罰符など点棒のやり取りは行われず、次の局に移る。連荘とするか親流れとするかは、途中流局をどう扱うかの取り決め如何で変わってくる。連荘とする場合でも親流れとする場合でも積み棒は1本増やすのが一般的である。なお、途中流局を一切なしとするルールもあり[1]、その場合は、以下の各状況が発生しても流局にならない[注 1]

各種ルールにおける扱いの違いについては「連荘#流局と連荘に関わる細目ルールの採用状況」を参照

九種九牌

親の配牌または子の第1ツモにおいて、手牌の中に么九牌が9種類以上含まれていた場合、倒牌して手牌を公開し、流局とすることができるルールである。これを九種九牌(キューシュキューハイ)、九種么九牌倒牌(キューシュヤオチューハイトウハイ)或いは九種么九倒牌(キューシュヤオチュートウハイ)という。ただし、親は配牌時・子は第1ツモ時に暗槓を行った場合や、子の第1ツモより前に他家のチーポンカンが行われていた場合には成立しない。

他家がダブル立直をかけていても、九種九牌のほうが優先され、流局となる[3]。ダブル立直はチーでもポンでもカンでもないためである[3]

条件を満たしている場合でも、本人の意思により宣言しなければ成立しない。したがって、役満である国士無双を狙えるチャンスであることから、流局を宣言しない場合も多い。

あまりに悪い配牌に対する救済ルールとして作られたと考えられる。なお、么九牌が「9種類以上」ではなく「9以上」(么九牌の対子を含んだ「8種類9枚」など)の場合にも流局可とする拡大解釈があるが、一般的ではなく、ローカルルールの域を出ない。

なお、九牌の「九」は么九牌の「九」である。么九牌が配牌時に9種類10枚のときなどに「九種十牌」のように言うことがあるが、これは正確には誤りである。

四風子連打

局の序盤において、全プレイヤーが最初の打牌で同じ風牌を捨てた場合に流局とするルールである。これを四風子連打(スーフォンツリェンター)という。四風連打(スーフォンレンタ)、四家同風(スーチャトンフォン)などともいう。九種九牌と同様、4人のうちのいずれかの者がダブル立直を掛けていたとしても、四風子連打が優先されて流局となる[4]

4人目(北家)が打牌した時点で流局となる。ただし、それ以前にチーポンカンが入った場合は成立しない。四風子連打が成立しない場合として具体的には、親の最初の打牌から順番に北家まで同じ風牌を捨てている途中で暗槓が入った場合や、途中に他の牌を捨てた時に副露によって河から取られることを挟んで、結果的に北家が捨てた時点で全員の河に同じ風牌が1つずつある場合などがあげられる。

本来は全プレイヤーが最初の打牌で西の牌を捨てた場合、中国において縁起の悪い「一路帰西(死者の魂は一路、西方を目指す)」として流局とするルール[5][6]であったが、1929(昭和4)年の時点で全ての風牌を対象とする四風子連打[7]に変化していたようである[8]

四開槓

四開槓(スーカイカン)は、同一の局において、複数のプレイヤーにより合計で4回のが行われた場合、流局とするルールである。四槓散了(スーカンサンラ)、四槓算了[9](スーカンサンラ)、四槓流れ[10](スーカンながれ)ともいう。「四槓」が「死棺」に通じることから縁起が悪いとされたのが由来である[11]。なお四開槓のルールの有無に関わらず、もともとドラを用いるルールにおいては嶺上牌が4枚しか用意されず5回目以降の槓ができない取り決めであるため、本来は途中流局にする必然性が無く、必ずしも嶺上牌が足りないことが四開槓の理由ではない。

「槓が4回行われた場合は流局とする」という説明が一般的だが、4回目の槓が行われ槓ドラをめくり、嶺上牌をツモって牌を捨てて他のプレイヤーのロン和了が発生しなかった際に流局となるルールと、4回目の槓の申告があった時点(搶槓がなかった時点)で流局となるルール[9]がある。

なお、1人のプレイヤーが4回の槓を行った場合は、四槓子(スーカンツ)のテンパイとして続行する。この場合、他のプレイヤーは5つ目の槓をすることができない[12][13][14][10]。ただし一部には、5つ目の槓を認め、それをもって嶺上牌をツモらずに流局としているルールもある[15]

また、4回目の槓に対して搶槓が発生した場合は、槓が成立しないため、流局にはならず搶槓によるあがりが優先される[9]

四家立直

四家立直(スーチャリーチ)は、同一の局において、4人のプレイヤー全員がリーチした場合に流局とするルールである。四人立直(よにんリーチ)とも言う。

三人リーチの掛っている状態から4人目のプレイヤーがリーチ宣言し、その宣言牌にどこからもロンが掛からなかった時、次のツモ者はツモ牌を取らず、そこで流局となる。その時、本当にテンパイしているかどうか全員が手牌を開け確認を行う。

1957年に制定された「東京ルール」で「四人立直」の名称で初めて成文化された。なお、四家立直を流局としないルールもある。その場合は四人リーチの状態で続行される。

三家和

三家和(サンチャホー)は、あるプレイヤーの打牌に対して、他の3名全員がロンを掛けた場合を、特別に流局とするルールである。三家和流れともいう。三家和が成立した場合、その局の点棒収受は行われず、次の局に移る。

なお、三家和を流局とせず、1人または3人全員の和了を認めるルールになっていることもある。上家取り(頭跳ね)を採用している場合は、放銃した者から反時計まわりに数えて最も近いプレイヤーのみ和了とする。トリプルロンあり(トリロンあり)のルールになっている場合は、3名全員の和了を認める。このあたりの細目は場所によって取り決めが異なっている。

なお、東風荘三人麻雀では、2009年4月23日にルールが改正されるまで[16]、二家和に対して流局が適用されていた。4人打ちにおける三家和流局と同じように、点棒のやり取りなしの流局となった。ルール改正後は、ダブロンの場合は頭跳ねによって上家(放銃者から見ると下家)の和了が優先される。

参考文献

  • 井出洋介監修『平成版 麻雀新報知ルール』報知新聞社、1997年。ISBN 9784831901187 

脚注

注釈

  1. ^ 途中流局ありのルールでも、途中流局なしのルールでも、チョンボが発生した時は途中で局の進行が打ち切られる。ただし、チョンボによる局の打ち切りは流局として扱われることはなく、満貫罰符の支払いの後、その局をやりなおす(ノーゲームとしてチョンボがあった局をなかったことにする[2])のが一般的である。また、チョンボは流局ではないため、積み棒は増やさない。(詳細はチョンボを参照)

出典

  1. ^ 井出洋介監修『麻雀新報知ルール』(1997年) p89、p136-137
  2. ^ 井出洋介監修『麻雀新報知ルール』(1997年) p91。
  3. ^ a b 井出洋介監修『麻雀新報知ルール』(1997年) p136-p137
  4. ^ 井出洋介監修『麻雀新報知ルール』(1997年) p138-p139。ダブリーをかけた者の出したリーチ棒は供託となる。
  5. ^ 流局 03・四風連打
  6. ^ 菊池寛『麻雀大講座 入門編』(1930年)p111。川崎備寛『最新麻雀入門』(1950年)p72。
  7. ^ 「死風子連打」に通じることから前述の一路帰西と同様に縁起が悪いとされた。
  8. ^ 杉浦末郎『麻雀の戦術』(1929年)p196。
  9. ^ a b c 井出洋介監修『麻雀新報知ルール』(1997年) p139。四槓算了の項に詳細。「4組目のカンツが完成した時点」で流局となり、最後の嶺上牌をツモる前に局が終了となる。原文では「嶺上開花のチャンスはない」とある。
  10. ^ a b 佐々木寿人『ヒサト流 リーチに強くなる麻雀入門』成美堂出版、2012年。ISBN 9784415312231 p122。
  11. ^ 天野大三、青山敬『新現代ルールによる図解麻雀入門』梧桐書院、1979年。 ISBN表記なし、0076-590868-2368。p187。
  12. ^ 日本プロ麻雀連盟. “日本プロ麻雀連盟競技ルール”. 2011年8月29日閲覧。
  13. ^ ロン2 (日本プロ麻雀連盟). “遊び方・ルール”. 2011年8月29日閲覧。
  14. ^ 井出洋介監修『麻雀新報知ルール』(1997年) p46-p47。
  15. ^ Maru-Jan. “ルール”. 2012年7月9日閲覧。「四槓子の場合は5回目の槓で流局」と明記されている。
  16. ^ 東風荘 - 更新情報 - 2009/4/18の項を参照。ルール変更は2009年4月23日から。