曽我直庵

曽我 直庵（そが ちょくあん、生年不詳 - 慶長年間没）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての絵師。ただし、直庵が実際に曽我姓を用いたかは不明である。狩野永徳、長谷川等伯、海北友松、雲谷等顔らと並び桃山時代を代表する画人であるが、その画力に比べて史料が少なく、謎が多い絵師である。

略伝

生い立ちや経歴は不明だが、作品の年記や着賛者の在世年代によって、16世紀後期から17世紀初頭に「蛇足六世」を名乗って堺で活躍した。水墨画や漢画の手法を取り入れた豪快な筆致で、鷹図などの鷙鳥画や花鳥画に優れた作品を残した。

曽我二直菴は息子か、少なくとも直庵の画系を継いだことは間違いない。

現存作品

• 鶏図 （高野山 宝亀院） 紙本著色金泥引 六曲一双 重要文化財
• 商山四皓及虎渓三笑図 （高野山 遍照光院） 紙本著色金泥引 六曲一双 重要文化財
• 双鶏養雛図 （妙心寺隣華院） 紙本墨画金泥引 双幅 重要美術品 南化玄興賛
• 鷹猿猴図 （兵庫県・雲門寺） 紙本墨画金泥引 双幅 南化玄興賛
• 花鳥図屏風 （東京国立博物館） 紙本著色 八曲一双
• 龍虎図屏風（東京国立博物館） 紙本墨画 六曲一双
• 瀟湘八景図 （出光美術館） 紙本墨画金泥引 六曲一双
• 曳馬図絵馬 （北野天満宮） 紙本金地著色 二面 豊臣秀頼が武運長久を祈願して、片桐且元を奉行として奉納 慶長15年（1610年）
• 架鷹図 （山口県立美術館） 紙本著色 一幅 南化玄興賛
• 架鷹図 （岡山県立博物館） 紙本著色 押絵貼六曲一双 藍溪宗瑛賛
• 架鷹図 （仁和寺） 紙本淡彩 押絵貼六曲一双
• 架鷹図 （福井県立美術館） 紙本墨画 一幅 鉄山宗純賛
• 松柏に鷹図屏風 （福井県立美術館） 紙本金地墨画 八曲一双
• 松鷹図 （ボストン美術館） 紙本墨画 額装一面

参考文献

• 奈良県立美術館編集 『曽我直庵・二直菴の絵画』展図録、1989年10月
• 京都国立博物館、愛知県美術館、東京国立博物館、和歌山県立博物館編集 『弘法大師入唐一二〇〇年記念 空海と高野山』展図録、2003年
• 稲畑ルミ子 「曾我直庵筆 鷹圖屏風」（『國華』 第1399号第117編第10冊、2012年5月、所収）ISBN 978-4-0229-1399-9