整流器

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交流信号、半波整流、全波整流

整流器(せいりゅうき:Rectification circuit)は、交流電力直流電力に変換(整流順変換)する電力変換装置である。順変換装置、またはAC-DCコンバータとも言う。整流器を実現する電気回路を整流回路(順変換回路)という。一般にダイオードなどの整流素子によって構成される。

整流素子の接続方法

ダイオードモジュール(三相全波整流)

出力側の等価相数が多いほど、直流側の脈動対策が容易となるので、大電力用途ほど等価相数を多くする。

単相半波整流

整流素子1個で、順電圧の期間のみ整流する最も簡単な整流方法。

整流素子としてダイオード1個がよく使われる。この場合、交流の正弦波の正の部分のみが取り出される。そのため負の部分はダイオードを通過できず、後述する全波整流に比べて効率が悪い。また、正弦波の正の部分のみ取り出される(厳密にはダイオードで電気が一部消費されて正弦波の形が変わったり、数学のグラフで言う連続で無い部分において形が変わる)ため、山形の突起部分が途切れ途切れになって現れるため、直流用に設計された電気機器にそのまま使用することは出来ない。これを解消するために整流器にコンデンサを挿入したり、コンデンサとトランジスタを用いたリップルフィルタを回路に挿入することにより、限りなく直流に近い線形にする。ただし、これを行ってもなお「リップル」と呼ばれるひずみが生じる。

Half-wave rectifier

単相全波整流

整流素子を組み合わせ、それぞれの順電圧の期間に整流する。

単相ブリッジ整流

整流素子4個で、単相交流を全波整流する。

Gratz bridge rectifier

二相全波整流

整流素子2個で、正負が逆の二相交流を整流する。

Full-wave rectifier

三相半波整流

整流素子3個で、三相電源の全相を半波整流し、3相整流とする。

三相全波整流

整流素子6個で、三相電源の全相を全波整流し、6相整流とする。

12相整流

YΔ・YYまたはΔΔ・ΔYの結線の変圧器を2台一組で使用して30度位相差の三相交流を生成し、それぞれを三相全波整流することにより、12相整流とする。

用途

交流電源から直流電源を得る

パソコンテレビ受像機、オーディオ機器などの各種電子機器内の電子回路のほとんどは、直流電源で駆動するように設計されている。商用電源等の交流電源でこれらの回路を動作させるために、整流器により交流電源から直流電源を得る。ノートパソコンなどのACアダプタが代表的な例である。

高周波プローブ

高周波あるいは無線周波数の電圧を測定するのに、通常の交流電圧計では周波数が高すぎて測定できない。ゲルマニウム・ダイオード等による整流器で直流に変換し、直流電圧計で測定するということが行われる。

AGC回路

受信機AGC回路において、低周波増幅器や中間周波増幅器の出力電圧を整流器で直流に近い電圧に変換して、その電圧を元に各増幅器のバイアス量(増幅率)を変化させ、AGC回路を成立させている。

電圧調整回路

力率改善回路

交流入力電圧波形に合わせた電流入力波形にし、力率改善するため用いられる。

  • ピーク電流制御: 周波数可変の自励発振を行うことによりピーク電流波形を電圧と同相にする。小型機器に用いられる。
  • 平均電流制御: 周波数固定の他励発振を行うことにより平均電流波形を電圧と同相にする。大型機器に用いられる。

平滑コンデンサ

整流回路に抵抗負荷を接続したとき、負荷端子間の脈動成分を減らすために、平滑コンデンサを整流回路の出力端子間に挿入する。 この場合、その静電容量が大きく、抵抗負荷電流が小さいほど、コンデンサからの放電が緩やかになり、脈動成分は小さくなる。[1]

整流器の種類

脚注

  1. ^ 電気主任技術者国家試験問題平成16年度第3種

関連項目

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