唐箕

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唐箕を使用している様子

唐箕(とうみ)とは、臼などで籾殻をはずしたあと、風力を起こして穀物を 籾殻・玄米・塵などに選別するための農具[1]

歴史

中国で開発されたといわれており、宋応星の『天工開物』に「風扇車」として最初の記述が見られる。

日本では、佐瀬与次右衛門の『会津農書』(1684年刊)で紹介されたのが最初である。『和漢三才図会』(1712年刊)にも記載されており、そのころから日本の農家にも広がっていったと考えられ、近世期から現代まで使われてきた。稲作が機械化したのちも唐箕は豆や蕎麦等の選別に使われ、現在でも農機メーカーからかつての木製のものと基本的に同じ構造の唐箕が市販されている。価格は数万円程度である。

構造

唐簑を使用している様子

内蔵する四枚羽の板がハンドルと連動して回転するようになっており[1]、唐箕の上部に配した漏斗(じょうご)から少しずつ穀物を落下させ、そこに横から風を送ることで、藁屑や実のない籾などの軽いものを吹き飛ばし実の詰まった重い穀粒だけを手前に落とすのが基本的な原理である[1]

落下させる穀物の流量を調節する弁が漏斗の下部に配置されており、穀物が落下しないように止めることも出来る。漏斗の下には穀物を唐箕の外に取りだす樋が2本配置されており、風に飛ばされずに重力で真下に落下した穀物を受けとめる樋が一番樋、風によって少しだけ横に飛ばされる、しいな等の軽い穀物や、選別の不完全なものを受けとめる樋が二番樋とそれぞれ呼ばれる。藁屑、籾殻、ソバ殻、豆殻等の軽いものは、風に乗ってそのまま機外に排出される。

使い方は、風車を回転させるクランク状のハンドルを右手で回転させながら、左手で漏斗から落下する穀物の流量を調整するのが基本である。良好な選別を得るためには、風車の回転数と落下させる流量の調整にある程度の慣れを要する。現代の唐箕は、風車を電動モータで駆動するものもある。

この脱穀した穀物を風選する原理は、脱穀と選別を同時に行う自動脱穀機にも応用され、現代のコンバインハーベスター等の農業機械の脱穀機にも、穀物の最終的な選別機構として使用されている。これら現代の脱穀機においても、選別の済んだ穀物を一番、選別が不完全で再選別を要する穀物を二番と呼ぶのは唐箕の名残りであり、風選の風を発生させる風車を唐箕ファンと呼んだりする。

出典

  1. ^ a b c 唐箕 関ケ原町歴史民俗資料館

関連項目

外部リンク