写像12相
組合せ論において、写像12相(しゃぞうじゅうにそう、twelvefold way)とは、2つの有限集合に関する12種の数え上げ問題を体系的に分類したものである。
順列(permutation)、組合せ(combination)、多重集合(multiset)、集合の分割(partition of a set)、自然数の分割(partition of a number) の数を求める古典的な数え上げ問題を含む。
12種類に分類するというアイデアは、数学者・哲学者であるジャン・カルロ・ロタによって与えられた。
概要
有限集合 N と X、それらの濃度 と を定める。
考えるべき一般的な問題は、関数 の同値類 (Equivalence class) の数え上げである。
関数には、次の3つの制限(条件)のいずれかが適用される:
- 条件なし:Nのそれぞれのaは、fによってXの任意のbに写される。 また、この写像は複数回発生し得る。
- fは単射である:Nのaのそれぞれの値は、互いに異なる必要がある。ゆえにXのそれぞれのbは、fの像として最大1回発生し得る。
- fは全射である:Xのそれぞれのbについて、となるようなNの少なくとも一つのaが必要である。ゆえにXのそれぞれのbは、fの像として少なくとも1回発生する。
(上記3項目の他に、条件としての「fは全単射である」は、である場合に適用可能であるが、これは「fは単射である」且つ「fは全射である」である、ことと等価である。)
関数fにおいて、4つの異なる同値関係が定義される:
関数の3つの条件と4つの同値関係は、3 × 4 = 12通りに組み合わせることができる。
関数の同値類を数え上げる12種の問題は、各々は同じ難易度ではなく、また、それらを解くための1つの体系的な方法は存在しない。12種の問題のうち、2つの問題は自明(同値類の数は0または1)であり、5つの問題はnとxの乗法的な公式によって解が与えられる。残る5つの問題は、組合せに関わりのある関数(スターリング数、分割数など)によって解が与えられる。
観点
写像12相における問題を考えるにあたり、いくつかの異なる観点からこれらを理解することができる。
ボールと箱
伝統的に、写像12相での問題の多くは、関数を定義する代わりに、「ボールを箱にどのように入れるか」(またはいくつかの同様の視覚化)といった観点により定式化されてきた。集合(以下、集合は有限集合を指すものとする)Nはボールを元とする集合として、集合Xは箱を元とする集合として、それぞれ同一であるとみなすことができる。そのため、関数ƒ : N → Xは、ボールを箱に入れる、それぞれのボールaをそれぞれの箱ƒ(a)に入れる、といった形として表現できる。このように、一意である像をその定義域(domain)の各々の元に帰するという関数の性質は、どのボールも1つの箱のみに入ることができる(尚且つ、箱に入っていないボールがあってはならない)という性質によって反映されている。それ故に、どの箱も(原則として)任意の個数のボールを収容することができる。
サンプリング
ラベリング、取り出し、グルーピング
ラベリング、取り出し(一緒に取り出すか・取り出さないか)の反復
集合と自然数の分割
公式
f-class | Any f | Injective f | Surjective f |
---|---|---|---|
f | n-sequence in X 重複順列 |
n-permutation of X 順列 下降階乗冪 |
composition of N with x subsets |
f ∘ Sn | n-multisubset of X 重複組合せ |
n-subset of X 組合せ |
composition of n with x terms 重複組合せ |
Sx ∘ f | partition of N into ≤ x subsets ベル数 |
partition of N into ≤ x elements ( 0 又は 1) |
partition of N into x subsets スターリング数(第2種) |
Sx ∘ f ∘ Sn | partition of n into ≤ x parts 分割数 |
partition of n into ≤ x parts 1 ( 0 又は 1) |
partition of n into x parts 分割数 |