ブレインストーミング
ブレインストーミング(英: Brainstorming)あるいはブレインストーミング法(BS法)とは、アレックス・F・オズボーンによって考案された会議方式のひとつ。集団思考、集団発想法、課題抽出ともいう。
1941年に良いアイデアを生み出す状態の解析が行われた後、1953年に発行した著書 Applied Imagination の中で、会議方式の名称として使用された。
概要
ブレインストーミングとは、集団でアイデアを出し合うことによって相互交錯の連鎖反応や発想の誘発を期待する技法である。
人数に制限はないが、5 - 7名、場合によっては10名程度が好ましく、議題は予め周知しておくべきである。
ブレインストーミングの過程では、次の4原則(ルール)を守ることとされている[1]。
ブレインストーミングの4原則
- 判断・結論を出さない(結論厳禁)
- 自由なアイデア抽出を制限するような、判断・結論は慎む。判断・結論は、ブレインストーミングの次の段階にゆずる。ただし可能性を広く抽出するための質問や意見ならば、その場で自由にぶつけ合う。たとえば「予算が足りない」と否定するのはこの段階では正しくないが、「予算が足りないがどう対応するのか」と可能性を広げる発言は歓迎される。
- 粗野な考えを歓迎する(自由奔放)
- 誰もが思いつきそうなアイデアよりも、奇抜な考え方やユニークで斬新なアイデアを重視する。新規性のある発明はたいてい最初は笑いものにされる事が多く、そういった提案こそを重視すること。
- 量を重視する(質より量)
- 様々な角度から、多くのアイデアを出す。一般的な考え方・アイデアはもちろん、一般的でなく新規性のある考え方・アイデアまであらゆる提案を歓迎する。
- アイディアを結合し発展させる(結合改善)
- 別々のアイデアをくっつけたり一部を変化させたりすることで、新たなアイデアを生み出していく。他人の意見に便乗することが推奨される。
手法
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/2/26/Jp353px-Activity_preperatio.png/300px-Jp353px-Activity_preperatio.png)
問題定義
ブレインストーミングを始める前に、問題定義をすることが重要。問題は明確で範囲が広すぎず、「携帯電話のサービスで、現時点では提供されていないが必要とされているものは何か?」というように具体的な質問として定義されるべきである。もし問題の範囲が広すぎるのであればファシリテーター(司会進行役)は問題をより小さいレベルに分割し、それぞれについて先のような質問を設定していく。「成功する起業家になるためには何が必要か?」といったような問題設定は、問題に対する切り口が多すぎて適切とはいえない。
事前配布メモの作成
事前配布メモは、参加者に対する招待状であると同時に事前に必要な情報を提供するものである。ブレインストーミングの会議名や対象とする問題、日時や場所が記述される。対象となる問題は質問文の形で書き、例としていくつかのアイデアを記述しておく。それらのアイデアは対象となる問題への解決策の例ともなり、またブレインストーミングが停滞した場合に活性化するための材料としても使える。事前配布メモは十分に余裕をもって参加者に配布し、参加者が対象となる問題について事前に考察できるようにする。
参加者の選定
ブレインストーミングのファシリテーターは、アイデア出しを行う参加者とアイデアを記録する係の担当者をリストアップする。ブレインストーミングを生産的なものにするためには10人以下が望ましい。参加者のタイプには様々なものがあるが、以下に望ましい参加者を挙げる。
- 対象となる問題に取組んでいるプロジェクトメンバーで、実績のある人。
- プロジェクト外の人間ではあるが、対象となる問題について知見のある人。
呼び水となる質問文の作成
ブレインストーミング中に、皆の創造性が減退することがある。このとき、ファシリテーターは議論の呼び水となるような質問を投げかけることで参加者の創造性を刺激する。例えば「これらのアイデアを合体させることは出来るでしょうか?」「違った視点で見るとどうなるでしょう?」などの質問だが、これらの呼び水質問はブレインストーミングの前に準備しておくと良い。
進行
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/12/Jp553px-Activity_conducting.s.png/400px-Jp553px-Activity_conducting.s.png)
ファシリテーターはブレインストーミングをリードし、基本的なルールが守られるように注意する。典型的なステップは以下の通りである。
- ブレインストーミング未経験者に「批判を受けることがない会議である」ことを理解してもらうために、肩慣らし(アイスブレイク)を行う。例えば、「社長が退任するときのプレゼントは何がいいか?」「マイクロソフト・ウインドウズの改良点は?」といった本論とは関係なく気軽に行えるブレインストーミングを行ってみるのも良い。
- 司会者が対象となる問題の説明をし、必要であれば補足的な説明を加える。
- 司会者から参加者にアイデア出しを求める。
- もしアイデアが出ないようであれば司会者が呼び水となる質問を投げかけ、アイデア出しを促進する。
- すべての参加者にアイデアを出してもらい、記録担当者はそれらを記録する。
- アイデアを明確にするために、参加者同士でそのアイデアを詳細に検討するのも良い。
- 終了時間が近づいたら、司会者はブレインストーミングの目的に沿うようにアイデアをまとめていくよう議論をリードする。
- アイデアを分類し、まとめる。
- すべてのアイデアをリストアップし、参加者全員が理解できるようにする。
- 重複するアイデアや明らかに実現が不可能なアイデアを取り除く。
- 司会者から個々の参加者に対して感謝のコメントを述べる。
テクニック
- アイデアはあるけれど発表できない参加者がいる場合は紙にアイデアを書き出して、後で提示してもらうようにする。
- アイデアを記録する担当者は、それぞれのアイデアに番号を付ける。そうすることで、司会者が「今44個のアイデアが出ました。50個を目指しましょう!」といったようにアイデア数の目標を出して議論を促進できるようにする。
- アイデアを記録する担当者は、アイデアを出した本人の言わんとするところを正確に反映するよう確認しながら記録する。
- アイデアを持つ人がたくさんいる(多すぎる)場合には、最も他との関連性の高い(包括的な)アイデアを持っている人を優先する。それにより、出されたアイデアを精緻化しまとめあげるのが楽になる。
- 上司や管理職の人間はブレインストーミングに参加しない方が良い場合もある。彼らが参加した場合、上記の4原則(ルール)の効果が薄れてしまい特に突拍子も無いアイデアが出ることを妨げる怖れがあるからである。
ブレインストーミング後の情報整理
発想を多量に生産するブレインストーミング法では、アイデアを整理する必要がある。整理法については、以下に挙げる方法がよく用いられる。
脚注
関連項目
外部リンク
- 日本創造学会. “1.発散技法-自由連想法《 ① ブレインストーミング 》”. 主要な創造技法. 2012年4月8日閲覧。
- 株式会社バリスタ. “ブレーンストーミングのやり方基本編(無料)”. 2012年4月8日閲覧。
- Cyber Seminar(山井ゼミ). “ブレーンストーミングとKJ法”. 立命館大学経済学部. 2012年4月8日閲覧。
- “XMind - Mind Mapping and Storming” (英語). 2012年4月8日閲覧。