ブックスタート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。2001:268:c297:a88c:5506:14c4:5512:b20a (会話) による 2022年7月19日 (火) 14:20個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ブックスタート(Bookstart)とは、赤ちゃんとその保護者に絵本や子育てに関する情報などが入ったブックスタート・パックを手渡し、絵本を介して心ふれあうひとときをもつきっかけをつくる活動である[1]。2022年1月時点で、日本全国の自治体の約6割がブックスタート事業を実施している[2][3]

概要

発案者は絵本コンサルタントのウェンディ・クーリングで、絵本にまったく触れることなく小学生になっている子供がいる現状を踏まえ、絵本を読んでもらった幸せなひとときをすべての子ども達に経験してもらいたいとして思いついたもので、単に読む(read books)のではなく、絵本を通じて体験を分かち合うこと(share books)をコンセプトとしている[4]1992年イギリスバーミンガムにおいて300家庭を対象として実験的に取り組みが始まった[1]。イギリスにおける推進組織は1921年に設立された公益法人であるブックトラスト(Book Trust)である[5]

日本では1999年に子ども読書年推進会議(現・子どもの読書推進会議)が研究を開始し、2000年東京都杉並区(11月)と北海道恵庭市(12月)が「パイロットスタディ」と称して先行開始、2001年より12地域で本格的に実施した[1]

市区町村自治体の公共事業として行われており、以下の5つのポイントを活動の特徴としている[6]

  1. 目的 赤ちゃんと保護者が、絵本を介して心ふれあうひとときを持つきっかけをつくります
  2. 対象 事業を行う市区町村に生まれた、すべての赤ちゃんとその保護者です
  3. 機会 すべての赤ちゃんと出会える、0歳児の集団健診などで行われます
  4. 方法 絵本をひらく楽しい体験と一緒にあたたかなメッセージを伝え、絵本を手渡します
  5. 体制 市区町村の事業として、さまざまな分野の人たちが連携して実施します — [7][8]

実施機会や対象月齢などは各自治体によって異なり、乳幼児健診のほか、乳児全戸訪問、育児教室、図書館を会場とする場合もある[6]。地域に生まれた赤ちゃんが集まる0歳児健診を主な会場に、図書館員、保健師、行政職員、住民ボランティアなどが活動に携わりブックスタート・パックを手渡している。

脚注

  1. ^ a b c 三輪 2006, p. 191.
  2. ^ NPOブックスタート 2022, p. 13.
  3. ^ 全国の実施状況”. NPOブックスタート. 2022年4月25日閲覧。
  4. ^ NPOブックスタート 2022, p. 12-13.
  5. ^ NPOブックスタート 2022, p. 13-15.
  6. ^ a b NPOブックスタート 2022, p. 14.
  7. ^ NPOブックスタート 2022, p. 220.
  8. ^ ブックスタートとは”. NPOブックスタート. 2022年4月25日閲覧。

参考文献

  • 三輪巴『館長室から ―町立図書館長の日々』日本古書通信社、2006年11月20日、314頁。ISBN 4-88914-025-5 
  • NPOブックスタート編『ブックスタートの20年 - 自治体と市民が赤ちゃんの幸せのためにつながり実現してきたこと』NPOブックスタート、2022年1月20日。ISBN 978-4-902077-13-1 

関連項目

外部リンク