ナガバコバンモチ

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ナガバコバンモチ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperm
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : 真正バラ類I Eurosids I
: カタバミ目 Oxalidales
: ホルトノキ科 Elaeocarpaceae
: ホルトノキ属 Elaeocarpus
: ナガバコバンモチ E. multiflorus
学名
Elaeocarpus multiflorus (Turcz.) Fern.-Vill.
シノニム

Elaeocarpus arthropus[1]

和名
ナガバコバンモチ

ナガバコバンモチ学名Elaeocarpus multiflorus)は、ホルトノキ科に分類される常緑高木の一種。

特徴[編集]

常緑性高木[2]。葉は互生で枝の先に集まって付き、葉柄は長さ2-4cmあり、その先端、つまり葉身につながる部分がやや膨らんでいる。葉身は倒卵状楕円形で、先端は鋭く尖るか鈍く尖り、基部は狭まる。長さ6-12cm、幅3-6cmで葉の縁には背の低い尖らない鋸歯がまばらに並び、両面共に無毛。側脈は9-11対で、細脈を含め裏面に突き出し、また脈の分岐部に水かき様の構造が見られる(ダニ室?)。

花は両性で多数の花をつけた総状花序となる。花序は前年の枝の葉腋から出て長さ5-9cm。花柄は長さ5-10mm、白い絹毛を密生している。萼片は5個、狭披針形で先端は鋭く尖って長さ5-6mm。白い絹毛が多い。花弁も5枚で広倒披針形、長さは6mmで先端は少し狭くなって2-3個の小さな突起があり、外面に絹毛が多い。おしべは多数あって長さ4mm、葯は線形で長さ2.5-3mm、先端部から中央部まで縦に口を開く。なお花弁は雄蘂よりやや短く、花糸は葯より短い[3]。核果は楕円形で長さ1.5cmになり、青く熟する。

分布[編集]

台湾フィリピンにあり、日本では八重山石垣島西表島からのみ知られる[4]

類似種[編集]

ホルトノキ属には世界に200種があるが、日本には4種のみ知られる。そのうちでホルトノキ E. sylvestris は葉が細長くて葉柄が短く、見かけはかなり異なる。コバンモチ L. japonicus は本種に比較的よく似ているが葉がやや長くて側脈の数が少なく(4-7対)、果実が小さいなどの違いがある。またこの種は雌雄異株である[5]

保全状況評価[編集]

絶滅危惧IB類 (EN)環境省レッドリスト

2007年までの環境省レッドリストでは準絶滅危惧に指定されていたが、2012年には絶滅危惧IB類に引き上げられた[6]

脚注・出典[編集]

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) BG Plants 和名-学名インデックス」(YList) Archived 2011年8月28日, at the Wayback Machine.
  2. ^ 以下、主として佐竹他(1989).p.64
  3. ^ 初島(1975),p.397
  4. ^ 佐竹他(1989).p.64
  5. ^ 佐竹他(1989).p.63-64
  6. ^ 植物I(維管束植物)のレッドリスト新旧対照表 環境省 2012年

参考文献[編集]

  • 佐竹義輔・原寛・亘理俊次・冨成忠夫、『日本の野生植物 木本II』、(1999)、平凡社
  • 初島住彦 『琉球植物誌』追加・訂正版、(1975)、 沖縄生物教育研究会