ツギホコウモリ科

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ツギホコウモリ科
ツギホコウモリ
ツギホコウモリ Mystacina tuberculata
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 翼手目 Chiroptera
: ツギホコウモリ科 Mystacinidae
: ツギホコウモリ属 Mystacina
学名
Mystacinidae Dobson, 1875[1]

Mystacina Gray, 1843[1]

タイプ種
Mystacina tubercular Gray, 1843
和名
ツギホコウモリ科[2]

ツギホコウモリ属[3]

属・種
  • ツギホコウモリ属
    • Mystacina robusta
    • Mystacina tubercular

ツギホコウモリ科(ツギホコウモリか、Mystacinidae)は、翼手目に含まれる科。ツギホコウモリ属のみで本科を構成する。

分布[編集]

ニュージーランド[2]に生息する。ニュージーランドに在来する哺乳類3種のうち2種を占める[2]

形態[編集]

体長6 - 7センチメートル[3]。尾長1.5センチメートル[2]。体重7 - 35グラム[2]。尾は飛膜の上面に突出する[3]。耳介や耳珠は長い[3]。舌は先端に突起があり、いくらか伸ばすことができる[2]。前腕長3.6 - 4.9センチメートル[2]。前肢の第1指と後肢の趾の爪が蹄状[2]。これにより走ったり穴を掘るのに適していると考えられている[2]。飛膜は分厚く、地表で活動する際や穴掘りの際には畳みこんだり巻き上げることができる[2]

分類[編集]

以下の分類および英名はMammal Species of the World(3rd ed.)(Simmons, 2005)、和名は(今泉, 1986)に従うものとする[1][4]

生態[編集]

100 - 150匹の群れを形成するが、500匹に達する群れを形成することもある[3]。洞窟や岩の割れ目・鳥類が掘った古巣・朽木に自ら掘った巣穴をねぐらにする[3]

食性は雑食で、主に果実、蜜、花粉を食べるが、昆虫、節足動物なども食べる[2][3]。植物質は低速で飛翔しながら、動物質は落ち葉の中を走り回りながら探す[2]

人間との関係[編集]

ツギホコウモリは人為的に移入されたネズミなどによる捕食、農薬による影響、人間によるねぐらの攪乱などにより生息数が減少している[3]。オオツギホコウモリは1967年以降は目撃例がなく絶滅したと考えられているが、スチュワート島周辺の島嶼で未確認のコウモリ類の発見例があり生存している可能性もある[5]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c Nancy B. Simmons, "Family Mystacinidae," Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 1, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, pp. 394-395.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l Robert E. Stebbings 「ツギホコウモリ類」吉行瑞子訳『動物大百科 6 有袋類ほか』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、77頁。
  3. ^ a b c d e f g h 吉行瑞子 「ツギホコウモリ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2001年、51、151頁。
  4. ^ 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 「食虫目・貧歯目・翼手目・有袋目全種名リスト」『動物大百科 6 有袋類ほか』、平凡社、1986年、156-176頁。
  5. ^ O'Donnell, C. 2008. Mystacina robusta. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T14260A4427606. doi:10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T14260A4427606.en, Downloaded on 24 April 2016.

関連項目[編集]