チェロ協奏曲 (尾高尚忠)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2021年10月14日 (木) 16:11; Robert Swann de Schumann (会話 | 投稿記録) による版(日時は個人設定で未設定ならUTC

(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)

チェロ協奏曲イ短調作品20は、日本の作曲家指揮者尾高尚忠が作曲したチェロ協奏曲である。

初演[編集]

1944年、義弟(相婿)の倉田高倉田澄子の父)のために作曲され、初演された。しかし、戦時中の厳しい事情のために全曲初演とはならなかった。

楽曲構成[編集]

演奏時間は約40分。

第1楽章[編集]

Allegro energico, e passionatoイ短調ソナタ形式トゥッティの後にチェロが奏する第1主題は、都節の趣を持っている。転調が続き、6度上のヘ長調で、同じくチェロによって第2主題が提示される。展開部は激しい調の移り変わりが起き、その中でクライマックスが形成される。

第2楽章[編集]

Lento cantabile, con variazioniロ短調変奏曲形式。チェロ独奏の息の長い叙情的で情熱的な主題と5つの変奏曲からなる。第1変奏、第2変奏はテンポがあがりリズミックであるが、第3変奏は趣が変わり、ホルンが牧歌的な主題を提示する。第4変奏はアレグロ・ヴィヴァーチェに変わり、第5変奏に入る前にチェロのカデンツァが挿入される。

第3楽章[編集]

Adagio espressivo - Allegro con brioイ長調ロンド形式。序奏とABACA、コーダの変則的なロンド形式。序奏の後テンポはアレグロになるが、C部分でアダージョ・エスプレッシーヴォ・エ・カンタービレとなる。ここでの楽想は転調を重ねながら4回繰り返される。Aの再現後、序奏の動機を素材としたコーダが続き、ここで全体のクライマックスが築かれる。