ダブルスタックカー

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TTX社(en:TTX Company)所有のダブルスタックカー。車両はガンダーソン Maxi-IV。コンテナはペーサー・スタックトレイン(en:Pacer Stacktrain)所有。
カリフォルニア州のロングビーチ港。コンテナ船から下ろされたコンテナが、コンテナターミナルでダブルスタックカーに積み替えられている

ダブルスタックカー double-stack car)は、インターモーダル貨物輸送用のコンテナを輸送する鉄道車両の一種で、1両に付き2つのコンテナを、1つをもう1つの上に重ねる形で搭載する貨車である。 また、その井戸(well)のようなくぼみが用意されていることから「ウェルカー」(Well car)とも呼ばれる。 台車の間を低くして、通常のコンテナ車よりレールに近い低い位置にコンテナを搭載できるようにすることで、これを可能にしている。十分な車両限界の高さがあるルートでは、2段目のコンテナを載せて走らせることができる。上のコンテナは、車両から直接固定するか、あるいはコネクタを用いてコンテナ同士で固定する。

ダブルスタックカーを連結して走らせる列車のことをダブルスタックトレイン(英 double stack train)と呼ぶ。

ダブルスタックカーを使うことの利点は、重心の位置を下げ、空車重量を減らすことができる点である。

ダブルスタックカーは、インターモーダル輸送が盛んで、電化があまり行われていないために車両限界に余裕のある北アメリカでよく用いられている。

ユニット編成

連節式のダブルスタックカーのユニット編成。5つの48フィートコンテナ搭載位置がある。スロール社(en:Thrall Car Manufacturing)が製作し、ペーサースタックトレインが所有している車両。

ダブルスタックカーはコンテナ搭載位置が1つのものがよく造られ、またそれを3つか5つ連結、または連節したユニット編成がよく見られる。 多くの場合で、ユニット編成は連結棒で繋がれていてそれ全体で1つの車番を持っている。

アメリカでは、ユニット編成の場合、ユニットを構成している車両はアルファベットで識別され、一番端の車両がA、その反対側の端の車両がBである。全ての鉄道車両でA端とB端が区別されており、B端は通常ブレーキ装置が位置している側である。複数の連節車体で構成されている場合、中間の車体はC、D、Eと呼称される。

ダブルスタックカーは鉄道会社のほか、海運会社リース会社などが保有するが、実際の運用は会社間で「使い回し」になる場合がほとんどである。

搭載サイズ

ダブルスタックカーの大きさは、搭載するコンテナに応じて様々である。搭載位置の長さは40フィート、48フィート、53フィートがもっとも一般的である。45フィート、56フィートのものも存在する。搭載位置の大きさは、よく大きな数字で車体の横に記載されており、荷役従事者が適切な装置を使って荷役できるように配慮されている。

搭載位置の長さが搭載したいコンテナより短い時には、搭載位置にぴったりのコンテナを1段目に置き、大きなコンテナをその上に置くということがよく行われる。多くの場合、2つの20フィートISOコンテナを1段目に搭載することができるようになっている。

セミトレーラをコンテナと同じように搭載できるような締結装置を備えている車両もある。多目的ダブルスタックカーと呼ばれる。

貨車のサイズは標準的な40フィート対応から始まり、後に下段にも海上コンテナより大型の「ドメスティック・コンテナ」も積めるようにした48フィート、さらに53フィート対応のものまで造られるようになった。 だが、このような大型のダブルスタックカーは、海上コンテナ主体の列車では編成長・重量の点でかなりの無駄が生じているのも事実である。 近年はやや中途半端な存在になった下段48フィート対応車を、40フィートサイズに切り詰めて効率化を図る改造が進められている。(上段には40フィートコンテナと1両ごとに交互する形で、48・53フィートコンテナの積載が可能)

関連項目

参考文献

オンライン

雑誌文献

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