タダラフィル

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タダラフィル
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
胎児危険度分類
  • B
法的規制
  • (Prescription only)
投与経路 経口
薬物動態データ
生物学的利用能個体差がある
血漿タンパク結合94%
代謝CYP3A4 (肝臓)
半減期17.5 時間
排泄糞便(> 60%)、尿(> 30%)
識別
CAS番号
171596-29-5
ATCコード G04BE08 (WHO)
PubChem CID: 110635
DrugBank APRD00071
ChemSpider 99301 チェック
UNII 742SXX0ICT チェック
ChEMBL CHEMBL779 チェック
化学的データ
化学式C22H19N3O4
分子量389.404 g/mol
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シアリス20mg錠

タダラフィル (英:Tadalafil) は、長時間型のホスホジエステラーゼ5阻害剤英語版であり、日本での適応は、勃起不全 (ED) 、肺動脈性肺高血圧症前立腺肥大の排尿障害である。商品名はそれぞれ、シアリス (Cialis) 、アドシルカ、ザルティアである。

先行する同効薬シルデナフィル(バイアグラ)など、他のED治療薬と異なり、翌日にも作用が持ち越す長時間型であり、食事の有無にかかわらず作用する点が異なる。

肝臓のCYP3A4によって代謝される。警告枠に、心筋梗塞などの副作用の注意と、心血管系障害の有無の十分な確認が記載されている。

歴史

2003年に販売を開始。

日本では2005年9月に厚生労働省へ承認申請が行われ、2007年よりシアリスが日本イーライリリーから販売された。

輸入代行や迷惑メール等の宣伝行為を行う業者や、偽造品[1]も多い。

2009年7月より発売は日本新薬へ移管された。つまりイーライリリーが製造販売、日本新薬が発売する。2009年より、肺動脈性肺高血圧症の適応を持ったアドシルカが販売されている。

2011年10月、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、研究に基づき[2]前立腺肥大症に対して承認した[3]。日本でも2014年この適応症が追加された。

適応

日本における適応は、以下である。

  1. 勃起不全(満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者)
  2. 肺動脈性肺高血圧症
  3. 前立腺肥大症に伴う排尿障害

1の用法では商品名シアリス、2の用法ではアドシルカ、3の用法ではザルティアで販売されている。

日本の保険制度

勃起不全の用法では、健康保険の適用外の自由診療(保険外診療)で、シアリスは薬価基準にも未載である。医薬品名ではなく用法により保険適応がなされるため、勃起不全の用法では薬価基準での販売は適用されない。

作用機序

タダラフィルは、生体内で環状グアノシン一リン酸 (cGMP) の分解を行っている5型ホスホジエステラーゼ (PDE-5) の酵素活性を阻害する。これが陰茎周辺部(もしくは肺)のNO作動性神経に作用して血管を拡張させ、血流量が増える(もしくは血圧が低下する)ことによって機能すると考えられている。前立腺肥大症においては、前立腺及び膀胱平滑筋の弛緩も薬効に寄与している可能性が有る[4]

薬理

勃起不全の症状がある場合、ペニス勃起し、性行為が正常に行える。性的刺激があったときのみ勃起が起こる、勃起機能改善効果であって、催淫剤では無いので性欲を亢進させる働きは無い。 勃起改善作用は約36時間にわたる。 食事の有無に関わらず服用が可能でがある。先行するシルデナフィル(バイアグラ)など、他の勃起不全治療薬には食事に関する注意がある。

代謝

CYP3A4で代謝される。その阻害剤との併用に関する禁忌がある。

副作用

硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤(ニコランジル等の硝酸エステル系薬剤)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるので、併用は禁忌である。

死亡例を含む心筋梗塞等の重篤な心血管系等の有害事象が報告されているので、投与の前に、不安定狭心症、安定していない不整脈や高血圧、などの既往症が無いことを確認するよう警告がなされている[5]

出典

  1. ^ ちょっと待って!そのシアリス錠本物ですか?|EDケアサポート-日本新薬
  2. ^ Porst H, Kim ED, Casabé AR, Mirone V, Secrest RJ, Xu L, Sundin DP, Viktrup L; LVHJ study team. (Nov 2011). European Urology 60 (5): pp.1105-13. PMID 21871706
  3. ^ FDA NEWS RELEASE(Oct. 6, 2011)
  4. ^ ザルティア錠2.5mg/ザルティア錠5mg 添付文書” (2015年2月). 2015年5月19日閲覧。
  5. ^ シアリス錠5mg/シアリス錠10mg/シアリス錠20mg 患者向医薬品ガイド(2009年11月) - 日本新薬