スーパーツイーター
スーパーツイーター(英:Super Tweeter )とは超高音域(一般には可聴領域を越える20kHz以上の高周波数)を専門的に再生するのに特化したツイーター(スピーカー)のことである。製品にもよるが、およそ10kHz~200kHz程度までの帯域を再生できる。スーパートゥイーターともいう。
概要
サブウーファー(スーパーウーハー)が超低域を再生するためのスピーカーであるのと同様に、スーパーツイーターは超高域を再生する為のスピーカー。 製品としてのスピーカーユニットにあらかじめ取り付けられた状態のものと、既存のスピーカーの上に後付けするタイプの製品がある。 ユニットの形状としては主にドーム型、リボン型、リーフ型、フィルム型などがある。
不可聴音域の音(効果)
通常20kHzを越える超高周波の音域は人間にとってはほとんど不可聴音域であり、純粋なサイン波としてこの音域を発生させても、ほとんどのヒトは音として聴き取る事ができない。また個人差、あるいは加齢による耳の能力の減退によって、それよりさらに低い音域であっても聴き取れない場合がある。
しかしながら、この音域には本来含まれている音の倍音成分が含まれており、超高音域の音を含んだ音はそれを含まない音よりも聴き心地が良い・温かみがある・ノイズが抑えられている、細かい音がよりシャープネス・クリアネスになる等のメリットがあると主張する者もいる。 音の良し悪しについては個人の嗜好の問題だが、少なくとも人間が聴き取る事のできないとされる帯域の音であっても、聴いている人間に影響を与える事は、実験によって確かめられている[1]
普及(ソフト・ハード・ハイレゾについて)
超高音域も収録可能な次世代CD規格としてスーパーオーディオCDやDVDオーディオ、そしてビデオ規格としてBlu-ray DiscやHD DVD等が登場し、これらに含まれる超高音域を再生できるスピーカーユニットとしてスーパーツイーターが注目されるようになった、 そして、もとよりカットされず超高音域が収録されているアナログレコードの方が20kHz以上(厳密には22.05kHz以上)をカットされた音楽CD(CD-DA)よりも高音質であると尚更の支持を得る事も招いた。 (実際は、超高音域をカットされているはずのCD音源でもスーパーツイーターの効果があるとの報告もある。また一部、CDプレーヤーにおいては高域波形再現DSP(デジタルシグナルプロセッサ)が搭載されており、スーパーツイーターにより、より効果を実感できる。)
スーパーオーディオCD、DVDオーディオの普及はほとんどしていない為、これらに収録されるようなハイサンプリング周波数での録音や音声収録(いわゆる"ハイレゾ音源")は、ネットによるダウンロード販売がはじまって、ようやく普及の兆しを見せている。
しかし、その普及し始めた2012年頃には、まだダウンロードされたハイレゾ音源も、再生できるデジタルオーディオプレーヤーが少なく、PCオーディオ環境を整えて、パソコンのある環境でしか楽しめなかった。
また、その頃には、スーパーオーディオCDやDVDオーディオ等のソフトは大半がクラシックやジャズ等の一部ジャンルに隔たっていることや、ハイサンプリング収録のBDビデオも一部でしかない為、ハイレゾ音源の普及は未だに二の足を踏んでいる状態である。
近年、スマートフォン普及に乗じて、ポータブルアンプ(アンプ (音響機器))と高音質なイヤホン・ヘッドフォンのブーム、そこに付随し高音質なポータブルデジタルオーディオプレーヤーも各社から発売。 (ブームも落ち着きを見せる現状においてDAPは、約2500機種・ハイレゾ対応機種も約150機種販売されるに至っている。) PC環境においては、ハイレゾ対応の据え置きDACはもちろん、USBDACも多彩な機種が流通、さらにブームも一巡したと思われるポータブルアンプのDACとしての流用や、ネットワークプレーヤー(ネットワークオーディオ)が各社から販売され環境も徐々に改善を見せている。
ソフトについても、スーパーオーディオCDやDVDオーディオは普及しなかったが、MQA-CD(Master Quality Authenticated)の登場やハイブリッドSACD(Super Audio CD)の見直しも見られる。
今後
実際、前述のとおり、『ハイパーソニック・エフェクト』が身体的・音質的にも効果があるとの報告もあり、スーパーツイーターの必要性はあると主張するオーディオマニアは少なく無い。
最近のスピーカーでは、ツイーターに、ある程度の超高音域を再生できるものが多くなってきており、前述の後付けのタイプの製品は少なくなっている。 (ひと昔前で言えば、スーパーツイーター+フルレンジ+サブウーファーといった構成になる様な3ウェイスピーカーが、現状、普通となってきている。また、明確な規定はないものの、同構成3ウェイスピーカーにおいても、2ウェイスピーカーを軸として開発されたものについては、2.1ウェイや2.5ウェイと表現されるモデルも発売されている。)
以上のように、ツイーターに含まれる場合も含めると、スーパーツイーター自体が活用される場は限られてしまっている。
また、オーディオのポータブル化が進んだ現在、コンポーネントとしてのスピーカー自体は所有台数は年々下がっている為、 今後は高音質を特徴とするワイヤレススピーカーやAIスピーカーの一部に、広い高音域を持ったツイーターユニットが搭載されると思われる。
よって、現状販売されている製品の多くは、『ハイレゾ対応』を謳っており、買い替えが進むにつれハイレゾ再生自体は普及していくと思うわれるが、 真の超高音域や、スーパーツイーターについては、『ハイパーソニック・エフェクト』で言及のある音以外(健康・リラックス等)の効果、そのブームでも来ない限り、このまま縮小していくと考えられる。