ジンゴイズム
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ジンゴイズム(Jingoism)とは、自国の国益を保護するためには他国に対し脅迫や武力行使を行なうこと(=戦争)も厭わない、あるいは自国を他国よりも優れていると見做す政治的立場を指す言葉。ナショナリズムの極端な例である。主戦論。強硬外交論。戦闘的愛国心。“Jingo”自体にもこの意はある。
語自体は1870年代、イギリスのロシアに対する好戦的な態度を表すために造られたもので、19世紀のアメリカではかかる態度を「翼を広げた鷲主義」(spread-eagleism)と呼んだ。なお、「ジンゴイズム」という言葉は19世紀末頃アメリカでも広まり始め、こうした好戦的態度は米西戦争の原因となったメイン号沈没事件において最高潮に達した。
ジンゴイズムを採る人物・団体を「ジンゴイスト」と呼ぶ。
語源
露土戦争の頃にパブやミュージックホールで人気を博した、G・H・マクダーモットのコーラス曲中の1節に由来する[1]。歌詞は以下の通り。
俺たちゃ、戦いたかねえ、
だけど、強気で(by Jingo)! やるとなりゃ、
ロシア野郎にゃ、コンスタンティノープルを渡さねえ! — 井野瀬久美惠『興亡の世界史 第16巻 大英帝国という経験』講談社、2007年、p.265
船も兵士も金もある。
少し前にも熊公(ロシア)とやりあったこともある。
俺たちゃ、ほんとのイギリス人。
イギリスの急進的政治活動家ジョージ・ホリョークは1878年、歌詞に出てくる「バイ・ジンゴ(by Jingo)」というフレーズから、「ジンゴイズム」なる特定の政治的傾向を示す用語を編み出した[2]。
脚注
- ^ "By Jingo":Macdermott's War Song (1878)
- ^ Martin Ceadel, Semi-detached Idealists: The British Peace Movement and International Relations, 1854-1945 (Oxford University Press, 2000), p. 105