つる (落語)

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つる落語の演目の一つ。古典落語

元は「絵根問」という噺の最後の部分だったが、4代目桂米團治が独立させてまとめたとされる。のちにガリ版印刷の『桂米團治口述 上方落語台本』に記し、若手落語家の稽古本となった。前座噺として扱われることが多い。江戸落語では桂歌丸の口演が有名。

あらすじ

上方版

散髪屋で物知りの男の噂を聞きつけ、問答に来たアホの男。「南京虫脚気になるか」「トンボめばちこ(物貰い)を患うか」などを聞くが、常識的なことを聞けとたしなめられる。 それではと、散髪屋にあった掛軸の絵のについて尋ねると、昔は「首長鳥」と呼んでいたと聞かされ、重ねてなぜその後「つる」と呼ぶようになったかを尋ねる。

そこで、鶴が唐土(もろこし)から飛んで来た際、「雄が『つー』っと」、「雌が『るー』っと」飛んで来たために「つる」という名前になったと教えられる。この男が実は嘘だと言うのも聞かず仕舞いに、今仕入れたばかりの知識を町内に披露しに行くアホの男。

訪れた先で、いざ披露。「つる」の由来について半ば強引に教えるも、「雄が『つるー』っと」と言ってしまったために困り果てる。 一旦物知りの男のもとへ戻り、再びレクチャーしてもらう。 今度は「雄が『つー』っと来て『る』と止まった」と言ってしまったため、苦し紛れに「雌が黙って飛んで来よった」。

江戸版

暇つぶしに隠居の所へ来た八五郎。話をしていると、そのうち話題が散髪屋の床の間にあった鶴の掛け軸の事になり、八五郎は「『鶴は日本の名鳥だ』って奴がいたけど、ありゃ何で名鳥なんですか?」と質問。すると、隠居は「日本の名木に『』がある。松に鶴は良く似合う」と説明した。つい花札を連想しながらも、何とか話を理解した八五郎が、次に質問したのが鶴の由来。

すると隠居は、鶴が唐土から飛んで来た際、「雄が『つー』っと」、「雌が『るー』っと」飛んで来たために「つる」という名前になったと説明。それをジョークだと見切った八五郎は、その話を他のところで披露し、引っかかった相手を笑ってやろうと隠居の所を飛び出した。

しかし、余りにも慌てていたせいで話の内容を忘れてしまい失敗。隠居の所へ戻り、もう一度話をしてもらってリターンマッチに臨むがまた失敗してしまう。結末は同じ。

主人公の描写

結末は同じだが、この噺には物知りが教えた「珍説」を、主人公が頭から信じ込んで失敗するパターンと、ジョークだと理解した上で使おうとするパターンの二つがあり、どちらを使うかによって話の雰囲気はだいぶ変わってくる。

出典

関連項目