O3b (人工衛星)

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O3b衛星コンステレーション
赤道周辺でのO3b衛星群のカバーエリアと可視性の図
所属 O3bネットワーク英語版
目的 通信衛星
初打ち上げ 2013年6月25日 (2013-06-25)
質量 700 kg
周回対象 地球周回軌道
軌道 中軌道
近点高度 (hp) 8063 km
離心率 (e) 円軌道
軌道周期 (P) 6時間
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O3b衛星コンステレーション(英語: O3b Satellite Constellation)は通信と遠隔地からのデータバックホール英語版のために構築された衛星コンステレーション。2013年6月25日に最初の4期の衛星が打ち上げられ、2014年には更に8機が打ち上げられた[1]。20機まで拡大する計画がある[2]

O3bネットワーク英語版が衛星群を保有しており、2014年3月に運用提供を開始した[3]

衛星[編集]

衛星は8063kmの赤道上の中軌道に展開されており、当初は時速18,920km程度の速度で一日に地球を5周していた[4]。衛星群は現在軌道上で運用されており、4機ずつ打ち上げられた12基の衛星からなる。最初の4機の衛星の打ち上げのコンポーネント問題から、この4機のうち2機は予備のためのスタンバイ状態に置かれており、合計10機が運用中である[5]

それぞれの衛星は12基の操作可能なKaバンドアンテナを持ち、このうち2基はゲートウェイ用、10基は遠隔操作用である。帯域は4.3GHz(一基あたり2×216MHz)で、一基あたり1.2ギガビット秒のスループット(方角あたり600メガビット秒)で[6]合計容量は衛星一機あたり12ギガビット秒である。それぞれのアンテナの受信可能範囲はおおよそ直径700kmである[7]。O3bは音声通信の送受信の単方向レイテンシで179ミリ秒のレイテンシ、データ通信の端末相互間の往復レイテンシが238ミリ秒としている。TCP接続あたりの最大スループットは2.1 Mビット/秒[8]。O3bは海事用のソフトウェア向けで、130ミリ秒のラウンドトリップレイテンシと500 Mビット/秒の接続速度としている。

衛星はヒ化ガリウムソーラーアレイとリチウムイオン電池から動力を得ており、重量はそれぞれ700kgである[1]

衛星はタレスグループタレス・アレーニア・スペースが製造している。最初の衛星はカンヌ・マンドリュー宇宙センターが製造し、残りの衛星はタレス・アレーニア・スペースのイタリアローマ工場で組み立て、統合、試験などが行われている。

外部リンク[編集]

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[編集]

  1. ^ a b "The journey begins" with a lift from Arianespace: O3b Networks’ first four satellites are in orbit”. Arianespace (2013年6月25日). 2013年6月27日閲覧。
  2. ^ SES takes control of O3b, citing synergies between GEO, MEO constellations” (2016年). 2017年2月10日閲覧。
  3. ^ Wood, Lloyd; Lou, Yuxuan; Olusola, Opeoluwa (2014). “Revisiting elliptical satellite orbits to enhance the O3b constellation”. Journal of the British Interplanetary Society 67 (3): 110–118. arXiv:1407.2521. 
  4. ^ iDirect's Interoperability with O3b's MEO Satellite System” (2008年). 2017年2月10日閲覧。
  5. ^ Two O3b Satellites Taken Out of Service as a Precaution” (2014年). 2017年2月10日閲覧。
  6. ^ O3b Networks Presentation”. presentation. O3b Networks (2009年2月23日). 2013年1月9日閲覧。
  7. ^ O3b website – Our technology”. website. O3b Networks. 2013年1月9日閲覧。
  8. ^ Why Latency Matters to Mobile Backhaul”. O3b Networks and Sofrecom (2013年4月18日). 2017年2月10日閲覧。