LNERクラスW1蒸気機関車

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Engine 10000 (Wonder Book of Engineering Wonders, 1931).jpg

LNERクラスW1蒸気機関車(LNERクラスW1じょうききかんしゃ)は、試験的に水管式高圧ボイラーを搭載したイギリスロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道 (LNER) の蒸気機関車である。LNERの技師長であったナイジェル・グレズリーは船舶分野での高圧蒸気の利用とその効果について注目し、1924年に船舶分野でヤーロー缶として有名であったハロルド・ヤーローへ鉄道車両用ボイラーの設計を依頼した。ボイラーは 1928 年はじめに発注され、機関車は 1929 年に完成した[1]。試験の結果燃料消費が多く、改良も試されたが結局は 1937 年に通常の機関車用ボイラーを用いる様に改造された。

ボイラー[編集]

Engine 10000 on turntable (Wonder Book of Engineering Wonders, 1931).jpg

ボイラーはヤーローにより設計され、シェフィールドのジョンブラウン社で製造された。ボイラーは一般的な艦艇用ヤーロー缶の後ろと後ろを繋ぎ合わせた構造となっており、二つの水槽の上に蒸気溜めが載り、その間を多数の水管が繋ぐ三角形の断面をした構造となっていた。連結されたヤーロー式ボイラーは、それぞれで横幅が異なる。一般的な蒸気機関車で言うところの火室部分に当たる後ろ半分はフレームの幅いっぱいまで水管を広げ、左右の線路上に水槽を置く構造となっており、ボイラー部分に当たる前半分は水槽をフレームの内側に置き幅が狭くなっている。過熱管は通常の水管の間におさめられている。本形式はボイラーが非常に大きく、使用圧力は30.6気圧(450PSI)と同時期にグレスリーの設計したLNERクラスA1の12気圧(180PSI)の倍以上の圧力であった。

構造[編集]

グレスリーの設計した通常の4-6-2の蒸気機関車を基本としているが、ボイラーが大型になった事から、4-6-4となった、このため、LNERクラスW1蒸気機関車はイギリスで唯一のハドソン機となった。しかし、実際には従輪の2軸は一つの台車に固定されておらず、独立して動く構造になっている事から、4-6-2-2とするのが正しいと言える。

ボイラーの圧力が高圧である事から、エンジン部分は二段膨張のコンパウンドとなっており、ボイラーから出た高圧の蒸気はフレームの間にある二つの高圧シリンダー(直径:304.8 mm )に入った後、フレームの外側にある低圧シリンダーへ導かれる(直径:508 mm)。これらのシリンダーは外側の二組のワルシャート式弁装置から動きを取り出す事で、高圧と低圧のそれぞれで独立したカットオフを設定できるようになっていた。

脚注[編集]

  1. ^ Brian Haresnape (1981) Gresley Locomotives Ian Allan ISBN 0-7110-0892-2