DIY
DIY(ディー・アイ・ワイ)は、専門業者に任せずに自らの手で生活空間をより快適に工事しようとする概念のこと。英語でDo It Yourself(ドゥ イット ユアセルフ)の略語で、「自身で作ろう」の意。
言葉の意味
多くは住居などの部分的な補修作業が主であるが、住宅全体の補修、更にはログハウスなどの小屋建て、果ては一般住宅の設計・建築までも含まれる。DIYは自らで出来ることであればその規模を問わないことから、日曜大工よりも広い概念だが、一般的にはほぼ同一とされる。
また、DIYという言葉には「自身で作る」という考え方を広く生活態度そのものに適応させようとする精神性を指す場合もあり、「DIY精神」(DIY ethic)として、営利企業によって作られる製品・サービスに頼らず、個人が自主的に手作りで代替物を生み出す態度を推奨する言葉となる。
こうした態度は、自主イベントや草の根の政治・社会運動から、自主制作誌(ミニコミ、Zine)やインディーズ音楽などのサブカルチャー全般に至るまでの多様な領域において論じられることがある。
概要
第二次世界大戦でドイツ軍の激しい空襲を受けたロンドンで戦後に、破壊された街を自分達の手で復興させる国民運動が1945年にイギリスで始まり、スローガンとして「D.I.Y.」=「Do it yourself」がうまれた。この運動はイギリス中を席巻し1957年には雑誌「Do it yourself」が刊行され、やがてヨーロッパ全土からアメリカへ広がった。とくにアメリカでは、D.I.Y.は「復興」から「週末レジャーや余暇の一つ」として楽しむという概念に変化し、いつしか健康的に週末を過ごす趣味にと進化を遂げた[1]。
アメリカでは、DIYを行う上で必要になる資材や工具を専門に取り扱うホームセンターが各地に造られた。大手のホームセンターを始め、DIYに関連する施設では、DIYアドバイザーと呼ばれるDIYを専門に知識を伝授する有資格者がいるところもある。
1970年代初頭には日本にも本格上陸し1969年には、島根県にハウジングランド順天堂駅前店(現在の「ジュンテンドー」)をオープン、ロードサイド型の発祥とされる。ホームセンターのスタイルを日本で最初に取り入れたのは、1972年にオープンしたドイト与野店である[2]。
和気産業の当時の重役が1967年のモントリオール万国博覧会で「日曜大工コーナー」を設置したイギリス館の盛況ぶりに興味を示し、DIYの専門商社へ発展していく。
専門の業者に依頼すると高額になることを安価に行えることや、既製品にはない自分にあったものをつくることができること、すべてを自分自身でやることによる充実感や達成感を得ることができることなどが利点として挙げられる。ただし、専門技術を持たない素人による作業である以上、使用上の不安や欠陥による危険が伴うこともある。
脚注
- ^ 角 謙二『American D.I.Y.』株式会社枻出版社、2012年2月、pp. 12-13。
- ^ 角 謙二『American D.I.Y.』株式会社枻出版社、2012年2月、pp. 12-13。