鉄の肺

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An Emerson iron lung. 患者は、気密式で間歇的に減圧されるタンク中に横たわる。写真の機械は、Centers for Disease Control and Prevention Museum所蔵のもので、ポリオの患者であったルイジアナ州コヴィントン(Covington)のバートン・ハーバート(Barton Hebert)の遺族より寄贈されたもの。1950年代後期から2003年に彼が死去するまで実際に使用されていた。
Iron lung ward filled with Polio patients, Rancho Los Amigos Hospital, California (1953)
An iron lung in use (1960)

鉄の肺(てつのはい、Iron Lung)は、人工呼吸器の一種である。

患者の首から下を気密タンクに入れ、タンク内を間歇的に陰圧にする。タンク内を陰圧(-7 - -15水柱センチメートル)にすると、患者の胸郭が広げられて吸気がおこり、平圧に戻すと胸郭の弾性によってがしぼんで呼気がおこる。

1928年アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンのハーバード大学公衆衛生スクール(Harvard School of Public Health)のフィリップ・ドリンカー(Philip Drinker)、ルイス・A・ショー(Louis A. Shaw)らが、ポリオによる呼吸不全を治療するために実用化した。

1950年代までは広範に用いられていたが、装置が大がかりで高価なこと、頭部以外の全身をタンクが覆うために患者のケアが難しいこと、陽圧換気による人工呼吸器が普及したことなどもあり、現在ではあまり使われていない。