過テクネチウム酸

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過テクネチウム酸
識別情報
PubChem 11805084
ChemSpider 9979749 チェック
特性
化学式 HO4Tc
モル質量 163.91 g mol−1
精密質量 162.99 g mol-1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

過テクネチウム酸(かテクネチウムさん、: pertechnetic acid)は、化学式が HTcO4 と表されるテクネチウムオキソ酸である。

概要[編集]

テクネチウムまたはテクネチウム化合物を硝酸王水のような酸化力のある、または酸化テクネチウム(VII)を反応させることによって得られる[1]。過テクネチウム酸は暗赤色の吸湿性固体で、強酸であるため容易にプロトンを供与する[2]

過テクネチウム酸イオン(TcO4-)は正四面体型構造で、過テクネチウム酸カリウム(KTcO4)結晶中における Tc - O 結合距離は1.724Åである。過マンガン酸イオンとは異なり、水溶液中では安定で、酸化剤としての作用は弱く、過レニウム酸イオンに類似する。アルカリ性水溶液中では安定、HClHBrHI水溶液中では還元される[3]

水溶液中における過テクネチウム酸イオンの標準酸化還元電位は以下の通りである[4]

TcO4- + 2 H+ + e-  \rightleftarrows\ TcO3(s) + H2O,    E°= 0.700 V
TcO4- + 4 H+ + 3 e-  \rightleftarrows\ TcO2(s) + 2 H2O,    E°= 0.738 V
TcO4- + 8 H+ + 7 e-  \rightleftarrows\ Tc(s) + 4 H2O,    E°= 0.472 V

過テクネチウム酸イオンは鉄鋼の強力な侵蝕抑止剤として働くが実用化されていない[3]

出典[編集]

  1. ^ Schwochau 2000, p. 127
  2. ^ Schwochau, K. (2000). Technetium: chemistry and radiopharmaceutical applications. Wiley-VCH. ISBN 3527294961. http://books.google.com/books?id=BHjxH8q9iukC&pg=PP1. 
  3. ^ a b F.A. コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年
  4. ^ Allen J. Bard, Roger Parsons, Joseph Jordan, Standard Potentials in Aqueous Solution, Marcel Dekker Inc (1985).