裁判を受ける権利

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裁判を受ける権利(さいばんをうけるけんり)とは、日本国憲法に定められた基本的人権の一つ。誰もが裁判所による裁判を受けられること、また裁判所以外の権力による裁断を禁じた条項でもある。

内容[編集]

日本国憲法第32条は、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」と定めている。二つの側面がある。

民事・行政事件
各人が権利・自由の確保・救済を求めるため裁判所に訴えを提起することができる権利である。国務請求権としての側面である。
刑事事件
裁判所の公正な裁判によらなければ刑罰を科されない権利である。自由権としての側面である。刑事被告人に対しては日本国憲法第37条で改めて同様の権利が保障されている。

歴史[編集]

日本国憲法第32条の規定は、大日本帝国憲法第24条「日本臣民ハ法律ニ定メタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ権ヲ奪ハルルコトナシ」を継受したものと解されている。さらにそれは1850年のプロイセン憲法、1791年のフランス憲法まで歴史を遡ることができる。ただし、ここにいう裁判の範囲は旧憲法が民事訴訟·刑事手続の裁判に限定していたのに対し、現憲法は行政訴訟の裁判を含む。

論点[編集]

管轄権を有する裁判官の裁判を受けられる権利か[編集]

  • この件が問題になった裁判で、最高裁判所は管轄権を有する具体的裁判所での裁判までは保障していない(昭和24年3月23日大法廷判決)とする(消極説)
  • これに対し、大日本帝国憲法が「法律ニ定メタル裁判官」と定めていたように、特定の裁判所·裁判官の裁判を受ける権利と解する説(積極説)もある。

陪審制は違憲か[編集]

かつて大日本帝国憲法時代に行なわれたことのある陪審制を日本国憲法下で行なうことは可能か。裁判官以外の一般人を最終的な判断を裁判官が行なえば合憲である、と言われる。 しかし日本国憲法第32条の「裁判所」を裁判官のみによって構成されるものと解すれば当事者が同意しない限り陪審員による裁判は許されないとも言われるため、一概に合憲であるとは述べられないのが現状である。

裁判員制度は違憲か[編集]

陪審制の合憲・違憲の議論と同様な議論がある。2011年11月16日に最高裁は裁判員制度について合憲判決を下した。

文献[編集]

  • 竹下守夫「裁判を受ける権利」芦部信喜他編『憲法判例百選II』有斐閣、278頁

関連項目[編集]