舌診

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

舌診(ぜっしん)とは、舌の色、形、潤い、または舌苔の色と厚さをみることで診断する方法。

舌診の由来[編集]

  • 舌診の由来は『傷寒論』とされることもあるが、『傷寒論』に記載される舌の状態は少ない。むしろ元の『傷寒金鏡録』が舌診の起源といえる。舌診は、湯液(漢方)において、処方を決定するための診断技術である。鍼灸臨床への運用も難しくはないが、舌診からツボを決定する方法は難しい(実際に行っている人はいる)。
  • 『傷寒金鏡録』は江戸時代にも日本に存在したが、日本では腹診の発展に力が注がれたため、舌診が一般化することはなかった。
  • 現在、日本で行われている舌診は、現代中医学の舌診であり、古典にある舌診ではない。日本の鍼灸師が舌診を行っている場合は全て中医学の影響であり、日本古来の舌診は存在しないといえる。

胃経分画法[編集]

上から順に下脘、中脘、上脘に分けて診断する。主に胃経の診断に使われる。

三焦分画法[編集]

上から順に下焦、中焦、上焦に分けて診断する。主に三焦経の診断に使われる。

臓腑分画法(五臓分画法)[編集]

構造についての詳細はを参照。

診断[編集]

舌体の形態[編集]

胖舌 舌体が腫れて大きいもの 陽虚、熱盛など
瘦舌 舌体が痩せて小さく薄いもの 気血両虚、陰虚など
裂紋舌 舌体の表面に亀裂があるもの 陰虚、血虚など
歯痕舌 舌の縁に歯の痕があるもの 気虚、脾虚など
芒刺舌 舌体に棘状の隆起があるもの 熱邪、臓腑の熱(火)など
硬舌 舌体が強直し、舌運動が円滑でないもの 中風の前兆、高熱、痰濁など
軟舌 舌体が軟弱で、伸縮無力なもの 気血両虚、陰虚など
顫動舌 舌体が震えて止まらないもの 気血両虚、陽虚など
歪斜舌 舌を伸ばした時に舌が歪むもの 中風、中風の前兆

舌質の色[編集]

淡紅舌 正常な血色をしているもの 正常、裏証、軽い熱証
淡舌(浅紅舌) 正常な血色より淡白なもの 陽虚、血虚、寒証
紅舌(鮮紅舌) 正常な血色より赤いもの 実熱、陰虚による虚熱
絳舌(深紅舌) 舌色が深紅であるもの 熱極、陰虚による虚火
紫舌(青紫舌) 舌色が青紫であるもの 裏証、熱極、寒極

舌苔[編集]

舌苔の色
白苔 白い苔 正常、表証、寒証
黄苔 黄色い苔 熱証、裏証
灰苔 浅黒色の苔 裏熱証、寒湿証
黒苔 黒い苔または焦げた苔 裏証、熱極、寒極
舌苔の厚さと苔質
薄苔 苔が薄く見底できるもの 正常、表証、虚証、邪気が弱い
厚苔 苔が厚く見底できないもの 裏証、実証、邪気が強い
潤苔 苔に潤いがあるもの 正常(津液の未損傷)、湿邪
燥苔 苔が乾いているもの 津液の損傷、陰液の損傷、燥邪
滑苔 苔の水分過多 水湿の停滞
膩苔 苔がねっとりし、剥離しにくいもの 痰飲、湿濁
腐苔 苔がおから状を呈し、剥離しやすいもの 食積、痰濁
剥離苔 苔の一部、または全てが剥離しているもの 気陰両虚

見底とは、薄い舌苔を通して舌体が見えること。見底できるものを薄苔、見底できないものを厚苔といい、薄苔から厚苔に変化することは病邪が表から裏に病状が進行し、厚苔から薄苔に変化することは病邪が裏から表に出てきて病状が好転すること