直接メタノール燃料電池

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直接メタノール燃料電池(ちょくせつめたのーるねんりょうでんち、direct methanol fuel cell、DMFC)は、メタノールを燃料とする固体高分子形燃料電池の一種である。

概要[編集]

直接メタノール燃料電池の構造そのものは、普通の固体高分子形燃料電池とほぼ同じである。 特徴はその名前の通り、燃料改質器でメタノールから水素を作らずに、メタノールを燃料極で直接反応させることである。

例として、プロトン交換膜を用いた直接メタノール燃料電池の電池反応を示す。

燃料極: CH3OH + H2O → CO2 + 6H+ + 6e-
空気極: 3/2O2 + 6H+ + 6e- → 3H2O
全反応: CH3OH + 3/2O2 → CO2 + 2H2O

このように直接メタノール燃料電池においては、メタノールが燃料極で直接酸化される。 反応生成物として、燃料極では二酸化炭素、空気極ではが生成する。

直接メタノール燃料電池の起電力は、メタノール酸化反応の自由エネルギー変化が-698.2kJ mol-1で、6個の電子が反応するから、

E = -ΔGf / z F= 6.98×105 [J mol-1] / (6 × 96485 [C mol-1]) = 1.21 [V]

と計算される。 この値は、水素を燃料とする燃料電池の起電力(1.23V)とそれほど変わらない。

しかし、燃料極に供給されたメタノールは電解質膜を透過して空気極に達する(クロスオーバー現象)ため、空気極は酸素の還元とメタノールの酸化の両方を反映した混成電位となって、電池の開回路電圧が低下する。

加えて、発電時では、メタノールの酸化反応は水素の酸化反応より遅いため、発電時には活性化分極が大きくなり電圧は低下する。 また、メタノール酸化反応の中間生成物である一酸化炭素触媒毒となり、電極で用いている白金触媒活性を低下させる(一酸化炭素被毒)。

これらの理由により、一般的に、直接メタノール燃料電池は、水素燃料電池と比較すると性能が低くなる。

実用化[編集]

2009年10月22日、東芝がモバイル機器の充電用として直接メタノール型の小型のモデルの販売を、台数限定で開始した[1]。IEC (国際電気標準会議) の安全性規格 (暫定版) に準拠、としている。

脚注[編集]

  1. ^ 東芝のプレスリリース。

関連項目[編集]