由谷裕哉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

由谷 裕哉(よしたに ひろや、1955年 - )は、日本の宗教民俗学者。博士(社会学)。主な研究テーマは修験道および聖地巡礼小松短期大学教授、日本山岳修験学会理事、日本宗教学会評議員、日本宗教民俗学会委員。

人物・来歴[編集]

石川県出身。1978年、慶應義塾大学経済学部卒業。1986年、慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課修得退学。日本学術振興会特別研究員を経て、1988年に新設された小松短期大学の専任講師に就任。その後、助教授、准教授を経て、2011年に教授。1999年に慶應義塾大学大学院社会学研究科より、『地方修験の宗教民俗学的研究』で博士(社会学)の学位を取得。

サブカルチャー聖地巡礼について[編集]

2014年に民俗学者の佐藤喜久一郎との共著で『サブカルチャー聖地巡礼』を岩田書院から上梓した。雑誌『月刊仏事』の取材記事で、この分野に取り組むようになったきっかけを、ファンが記帳した巡礼ノートを見て、前世紀から自分が研究してきた修験道に近い、苦行性を有する書き込みがしばしば見られたからであった、と述べている(1)。この説明のように、サブカルチャーに関わって聖地とされるうち宗教的な聖地(秩父定林寺(2)、大洗磯前神社(3)など)をとくに取りあげ、サブカルチャー聖地巡礼が伝統的な巡礼を継承する側面を導き出そうとしている。伝統的な宗教施設との関わりがそれほど濃厚ではない湯涌ぼんぼり祭りについても、ファンの記帳した巡礼ノートを分析し、巡礼者の行動を「伝統的な構造を参照しながら現代において生成しつつある事象」(4)と捉えようとした。

著書[編集]

  • 『民俗研究の視角』杉山書店 1992
  • 『白山・石動修験の宗教民俗学的研究』岩田書院 1994
  • 『白山・立山の宗教文化』岩田書院 2008
  • 『近世修験の宗教民俗学的研究』岩田書院 2018

共編著[編集]

  • 『郷土史と近代日本』時枝務共編著 角川学芸出版(アカデミック・ライブラリー) 2010
  • 『郷土再考 新たな郷土研究を目指して』編著 角川学芸出版(アカデミック・ライブラリー) 2012
  • 『近世修験道の諸相』時枝務,久保康顕, 佐藤喜久一郎共著 (岩田書院ブックレット) 歴史考古学系 2013
  • 『サブカルチャー聖地巡礼 アニメ聖地と戦国史蹟』佐藤喜久一郎共著 岩田書院 2014
  • 『郷土の記憶・モニュメント』編 (岩田書院ブックレット) 歴史考古学系 2017
  • 『「加賀越中能登」書籍総覧 地域コレクション書誌解題』全3巻 (文圃文献類従) 解題, 金沢文圃閣編集部編. 金沢文圃閣 2018

論文[編集]

脚注[編集]

(1) 「明日のお寺を考える 宗教民俗学からのアプローチ:日常を離脱して聖なる場所に赴く。その為に苦行して歩き回る」、『月刊仏事』205、2017年10月、87頁。

(2) 由谷裕哉「秩父市定林寺における奉納絵馬」、『西郊民俗』224、2013年9月

(3) 由谷裕哉「大洗磯前神社への聖地巡礼-奉納絵馬に注目して-」、『北陸宗教文化』29、2016年3月

(4) 塚田修一「書評 由谷裕哉・佐藤喜久一郎著『サブカルチャー聖地巡礼:アニメ聖地と戦国史蹟』」、『三田社会学』21、2016年7月、138頁

外部リンク[編集]

 小松短期大学由谷研究室  [https://web.archive.org/web/20151104022825/http://www2.komatsu-c.ac.jp/~yositani/jindex.htm] 

 researchmap https://researchmap.jp/read0040709/