浮気

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浮気


浮気(うわき)について解説する。

概説[編集]

まず辞書でどのような説明がされているか紹介する。うわき(浮気)は次のように説明されている。

  • 心がうわついていること。心が落ち着いておらず、変わりやすいこと。(広辞苑[1])/
  • 心が浮ついて、思慮に欠けること。(大辞泉[2]
  • 一つのことに集中できず心が変わりやすいこと(大辞泉[2])。
  • 多情なこと(広辞苑[1])。 / 異性に心をひかれやすいこと。(大辞泉[2]
  • 他の異性に心を移すこと(広辞苑[1])。
  • 配偶者・婚約者などがありながら、他の異性に気がひかれ、関係をもつこと。(大辞泉[2]
  • 陽気で派手な気質(広辞苑[1])。浮かれて陽気になるさま。また、そうなりやすい気質(大辞泉[2])。

「浮気」の基本的な意味としては、気持ち(意識)というのはひとつの対象に向いて集中しているほうが望ましいのにもかかわらず、その気持ちが他の対象に向いてしまう状態のことを言っているわけである。

「浮気」というのは、基本的に心の状態や性質を指しているのであって、必ずしも男女間のことばかりを言っているわけではない。

心がうわついていること[編集]

心が落ち着いておらず、変わりやすいことである。『五輪書』には「敵浮気にして事を急ぐ心の見ゆる時は...」という表現がある[3]。武芸の場において武芸者の心の状態(あるいは決闘などの場において剣士の心の状態)が定まっておらず、ゆれることは「浮気」なのである。

ひとつの対象に集中できない状態[編集]

例えば、Apple社のMacintoshを大切に思ってそればかり使っていた人が、ある日ふとWindowsを使いたくなって半年ほど使い、今度はiPadばかりを使い、3カ月たったらAndroidタブレットばかりを使うようになった、というような心の状態は「浮気」である。

「野球が好きだ」と言って小学校の6年間やってきた少年が、中学に入学して「サッカーが好きになった」と言って、サッカー部に入り、野球をしなくなってしまったら、これも「浮気」である。

男女のこと[編集]

男女のことであっても、「浮気」という意味の基本は変わっていない。心の向かう対象(意識を向ける対象)がひとつの存在に定まっておらず、他の対象にも向かってしまう状態を言っているわけである。

男女の関係がどのような段階にあるかということによって話は異なるのでそれぞれ解説する。

恋愛関係にある男女の場合[編集]

ひとつは恋愛)の段階での浮気というものがある。

恋愛の ごくごく初期の段階

特に、恋愛状態になってからの期間が短ければ短いほど、「浮気」は赦してもらえる可能性は高い。例えば、AさんがXさんに「あなたを好きになったみたい」「君が好きだ」などと言った3日後に、「3日前の発言は忘れて。その後Yさんと会っていたら、Yさんのほうが好きになった」というような場合は、比較的ゆるされやすい。特に、異性についての見解がしっかり定まっていない若い人、特に中学生や高校生では、心はフワフワと浮ついていることはざらであり、(それどころか、若い人では、ある「気持ち」が起きても、それが生まれて初めてのことだと、自分の心の動きがよくわからない、ある人のことを自分は本当に「好き」なのか、ある状況になれば誰に対しても同じ気持ちを持つような そんな程度の心の動きなのか、まだよく自分の心の反応の癖も分かっていない、ということもしばしばなので、若い人は心がコロコロ変わり、フワフワ動きつづけているのがごく普通なので)年若い人では「浮気」は非常にしばしば起きることなのである。であるので、そういう段階で「浮気」が起きたとしても、(結果として、青春なりの感情の起伏は起き、当人としては「甘酸っぱい」あるいは「ほろ苦い」思い出として残る出来事になるとしても)基本的に、大問題になるということは無い。

この段階の「浮気」は、法的には、まったく問題とはされない。

初期段階を過ぎた段階

例えば、AさんがXさんのことを恋していたのに(一番好きだ、とか愛していると思っていたのに)、ある日Yさんと会って話しているうちにYさんのほうが好きだ(愛している)、などと思い始めたら、これが「浮気」である。「浮気」をしている当人にとっては、心を向けている対象がXさんからYさんに変わり、そのことだけに意識が向いているので、とりあえずは大した問題は感じられない。

だが、「恋されていた」あるいは「好かれていた」Xさんにとっては、心理的に起きることはAさんとは大きく異なる。「この人は自分だけを好いてくれている」あるいは「この人は、自分を(他の人より)好きだ、一番好きだと思ってくれている」と思っていて、それによって幸福感を感じていたり、安心感を得ていた場合、ある日、Aさんが自分だけを好いていてくれているわけではない、とか、Aさんは自分よりむしろYさんのことのほうが好きなようだ、と気付かされると、幸福感や安心感がのように消えてしまい、多くの場合、ひどくつらい思いをするわけである。Xさんの心に、Yさんに対する嫉妬が生まれることもある。

だが、この段階でも「浮気」は法的にはまったく問題とされない。

恋愛で深い関係になった段階

キスや性行為をするようになった男女の場合で、ともかく一旦でも、カップルのどちらかが「わたしたちは、気持ちが強く結びついている」と思うようになったカップルで、特に「相手の気持ちは自分に定まっている」と期待している状態になっている段階では、そう思っている人の相手方が「浮気」をすると、感情的にはさまざまな問題が起きることになる。落胆怒りが生じるのである。 怒りの程度によって、様々なことが起きうる。

だがこの段階でも「浮気」は、法的にはまったく問題とはされない。

「あなただけを愛す」などと宣言した後の段階

さらに進んで、カップルのどちらかが「あなただけを愛す」とか「君だけを愛す」などと宣言すると、さらに別の段階になる。恋愛の段階での「あなただけを愛す」とか「君だけを愛す」という言葉は、言語的に言えば「約束」の意味内容を持っている。《》というのは、法的には扱えず(金銭や雇用関係のようには、法律のとらえる対象になっておらず)よって「あなただけを愛す」とか「君だけを愛す」は法的には契約には当たらず、結果として、法的に何も強制力を持たない。だが(わざわざ言うまでもないことだが)人間というのは法的な次元だけで生きているわけではない。人間というのは、人と人の「心のつながり」によっても生きているのである。さらに言えば、法的な関係よりも、むしろ法的ではない「心のつながり」「心の関係」のほうが、社会では重要な役割を果たしていることは多い。したがって、「あなただけを愛す」とか「君だけを愛す」と言えば、法的な次元はともかくとして、人間として心(心情)の次元では はっきりと意味のある「約束」をしたことになる。そういう約束をしておいた後で「浮気」をすると、心の次元では、「約束を破った」と判断されるのは、ある意味当然のことなのである。この段階で「浮気」された側は、一般に、「だまされた」「あの人は私をだました」「裏切られた」と感じ、恨む気持ちが生まれることが多い。この段階での「浮気」は、しばしば、「喧嘩沙汰」や「刃傷沙汰」になる。つまり「浮気」をした人が、「浮気をされた」と感じている人から、ののしられたり、ひっかかれたり、平手打ちされたり、殴られたり、場合によっては、ナイフや包丁を持ち出されて切りつけられることも起きるのである。

この段階の男女の「浮気」では、(「あなただけを愛す」という「約束」に関しては、法律は何ら関与しはしないのだが)その約束の結果生まれる愛憎によって「喧嘩沙汰」「刃傷沙汰」まで起きると、そこに関しては法律の扱う範囲となってくるわけである。

周囲からも広く公認される段階にいたった恋愛の状態の場合

さらに進み、恋愛関係が数年も続いており、周囲の友人たちにも公認されているような状態で、当人たちも周囲の人たちも「当然、じきに婚約することになる」と思っている状態で、そういう前提のもとにさまざまな人生の「段取り」のようなもの(進路選択や、職業選択や、退職の段取りなど)がすでに進行している状態で突然他の異性に「浮気」すると、浮気をした人に対しては、(法的な問題はともかくとしても)「道義的には大いに問題がある」とか「人間性に問題がある」という評価が下されるのが一般的である。

この段階での「浮気」は、「浮気」をされた人を、社会的にかなり追いつめる結果になるので、やはり怒り恨みが生じることが一般的で、「喧嘩沙汰」「刃傷沙汰」になる可能性がさらに高くなる。

婚約段階にある男女の場合[編集]

婚約をした男女の場合は、恋愛の段階の男女とはかなり話が異なってくる。二人の間に契約に準ずるようなものがある、とみなされる可能性があるのである。「婚約は何ら方式を必要としない不要式行為である」とする判例があるのである(最判昭38・9・5民集17巻8号942頁)。(法律に関する学説上は、「確実な合意で足りる」とする学説と「公然性が要求される」とする学説があり、見解は割れているが、「学説」はともかくとして)実際の実務としては、婚約という約束(契約、あるいは契約に準ずるもの)を破ると、それは法的に見ても問題がある行為だとされる可能性があるわけである。(ただし、結納あるいは婚約指輪の交換をしていないと、法的に見ると確実とは言えないので、婚約を「あてにしよう」とする人はその点に要注意である。)

特に、結納や婚約指輪を交換していると、それは婚約が成立している証明となり、結納や婚約指輪交換を行ったあとで、「浮気」を行い、その結果 婚約の不履行という事態になり、それが問題として扱われるようになった場合においては、(法的に見ても、婚約が成立しているという証明があるわけなので)ほぼ確実に法的に問題として扱われることになる。裁判になれば、金銭的な賠償を命じられる可能性は十分にある。

婚約段階で「浮気」をし結婚を拒絶すると、法的な意味での契約不履行と、「人の心」の次元での約束を破っている、という二重の意味で「あざむき」ないし「裏切り」をしていることになる。 一般に、婚約段階までいった男女のどちらかが「浮気」をすると、浮気をされた相手には、一生残るような深い深い心の傷(トラウマ)が残ることになる。(婚約までしておいて「浮気」をされる、というような重大な裏切り行為をされておいて、それを忘れられるような人は、この世にはまずいない、と思ったほうが良い。やられた人は、それを一生の間に、何千回も何万回も繰り返し繰り返し思い出す、と思ったほうがよい。それどころか、その人は、毎日毎日、寝ていても覚めていても、裏切られたことを、どこか心の片隅で反芻しつづけながら生きてゆくことになる、と思ったほうがよい。)婚約者から裏切られた人の多くは、しばしば心の深い傷が原因で、異性を信用することができなくなり、結果として異性と交際したり結婚することがまったくできなくなってしまう。つまり婚約者がいながら浮気をする、ということは、大抵の場合、その人の人生をひどく破壊してしまうのである。

(人はしばしば、配慮が足らず、ものごとを甘く見すぎて馬鹿なことをしてしまうわけであるが)婚約をしておいてから、気の迷いが生じ、浮気をする/しない という分かれ道にいると感じる人は、自身の 心のありかたや 行いが、婚約者のその後の長い人生にどれほど深刻なダメージを与えてしまうことになるのか、あらかじめ 思い描き、誰かの人生を破壊してしまった場合、果たして そんな身勝手なことをしておきながら、道義的に赦されて、自分だけは都合よく幸せに生きていけるほどに人間社会というものは甘くできているのだろうか? と、よくよく熟考してみる必要があるのである。

裁判で法的に扱われ、金銭的な賠償だけで済めば、まだよいほうである。「人の心」の次元で、人をひどく裏切れば、相手がよほど「できた人」(耐える人、我慢する人)でなければ強く恨むことになり、程度がひどければ殺意などを持つことになり、そうなれば刃傷沙汰になることもある。実際、殺されてしまった人もそれなりの数いる。裏切られた側の親が、浮気をした者を殺してしまった事例もある。

既婚者の場合[編集]

気持ちだけの「浮気」と、肉体的な行為が伴う「浮気」では、法的な扱いが異なる。

結婚している人の場合、法的に言うと、当人の配偶者以外の人とみだりに性的な関係を持ってはいけない、ということになっている。いわゆる「貞操義務」と呼ばれているものであり「守操義務」「誠実義務」などとも言う。これは、女性についても、男性についても適用される。

既婚者が「浮気」をした結果起きることは、ケースバイケースでさまざまである。ひとつは、とりあえず法的には婚姻状態のままで夫婦の人間関係が冷めてしまう、という場合がある(いわゆる「家庭内別居」など)。ひとつは、配偶者から「離婚」を切り出されるという場合がある。他には、暴力を振るわれる、という場合がある。他には、殺意を抱かれて浮気した者が殺されてしまう、という場合もある。また、「浮気の相手」に危害が加えられたり、あるいは殺されてしまう、という場合もある。

それぞれ、かなりの長文での説明を要するほどの複雑なことが起きる。

離婚を切り出される場合について解説すると、 結婚をしている人が、配偶者以外の人と「浮気」をし、性的な行為まで行うと、法的にはその「貞操義務」や「守操義務」に違反した、と見なされることになり、様々な不利益を被る可能性はある。例えば、配偶者から離婚を申し立てられ裁判になれば、すんなり離婚が成立し、しかも「浮気」をした側に「瑕疵」「落ち度」があったとされ、金銭上の条件や他の条件について、不利な判決が出る可能性は高くなる。

子供がいる夫婦が離婚するとなると、親権の問題が関係してくるが、既婚者が「浮気」をしたとなると、「人間性に問題がある」「親としても不適格だろう」などと裁判官が判断することにつながりがちで、結果として、相手側のほうが「親として、より適格」と判断され、結果として「浮気」をした側は親権(監護権)を得ることができず、子供を自分の手元で育てたくてもそうさせてもらえなくなってしまう可能性が高くなる。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 広辞苑第六版 「うわき(浮気)」
  2. ^ a b c d e 大辞泉「うわき(浮気)」
  3. ^ 広辞苑

関連項目[編集]