泉貨紙

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泉貨紙(せんかし)とは、(こうぞ)を原料として作られる、特殊な和紙である。原料は全て天然素材であることと、二枚の紙を一枚にする製法が特徴であり、至って丈夫な紙ができる。現在日本では、三ヶ所でのみ製造されており、呼び名も同じ「せんかし」でも、用いる漢字が異なる場合があるが、現在のところは野村の本場を指す場合を泉貨紙とされている。

愛媛県西予市、愛媛県北宇和郡広見町高知県高岡郡四万十町十川で製作されている和紙である。記録作成等の措置を講ずべき無形文化財に選択されている[1]

概要[編集]

原楮の木が数多く自生していた西予市野村地区で、約400年前の江戸時代に考案された。その強靭さは京都江戸公家武家らの間で書画や書籍用に重宝がられ、農家の冬の副業として栄えた。現在日本では3か所でのみ製造されており、呼び名も同じ「せんかし」でも用いる漢字が異なる場合があるが、現在のところは「泉貨紙」と書くのが一般的とされている。なお「仙花紙」という表記は、終戦直後に古紙などを漉き直して作った良質ではない(洋紙の)再生紙を指すことが多い。

特徴[編集]

1. 原料が全て天然素材 2. 二枚の紙を一枚にする製法 3.

染料[編集]

  • ヨモギ:を採取し、煮詰め、その汁を用いる。淡いカーキ色の色合いが出る。
  • 赤土:山の赤土を用いる。
  • 柿渋:渋柿を青いうちから収穫し、刻んでミキサーにかけ、汁を取ったものを用いる。ヨモギや赤土に比べて深い赤茶色の色合いが出る。防腐・防水効果がある。実際の柿を用いるため独特の匂いがある。

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ 泉貨紙 せんかし”. 2016年1月31日閲覧。

参考文献[編集]

  • 坂本直昭『紙の大陸』自費出版、2002年

外部リンク[編集]