月狂条例
月狂条例(げっきょうじょうれい)または精神異常法(せいしんいじょうほう)とは精神障害者を隔離施設へ収監するためのイギリスの法律である。1845年に制定され、1890年に改訂された。2008年現在も有効である。
Lunacyとは [編集]
英語で「Lunacy Act 1845」。Lunacyとは英語で「精神異常」を意味し、法律用語としては心身喪失を意味するが、月(Luna)から派生した単語であるところから「月狂」とも訳される。
歴史 [編集]
イギリスでは1808年に成立したLunacy legislationという法律によって精神異常者を収監する施設が1811年に作られた。この施設では精神異常者は囚人として扱われることが問題視されたが、月狂委員会(Lunacy Commission)のシャフツベリー伯爵によって支持されてきた。1845年に月狂条例が制定されたことによって、イギリスでは精神病患者が病人として国の保護の下で治療が受けられるようになった。
しかし、収監された人間に対しては、法律が制定された当時は精神医学が未発達だったこともあり、狂気が治るまで鞭打ちを続けたり、頭に電流を流したり、満月の日には狂気が酷くなると言う迷信によって満月の日に患者全員を柱に縛りつけたりするなど、現代の基準から見て虐待にしか見えない行為も行われてきた。
また、イギリスで行われたロボトミー手術の患者の多数はこの法律による収監者だったとする説もあるが、収監者に関する情報が未公開であるため真偽不明である。
現状と課題 [編集]
現在でもこの法律を根拠として収監される人物が多数いる。この法律では医学的な病気でない、学習障害や悪魔崇拝などの特殊思想をも精神異常として取り締まり対象としており、犯罪者になりそうな人間や社会的に不利益を起こしそうな思想を持つ人間を社会から隔離するために悪用されてきたと批判されている。
近代で特に酷い例では、1937年に当時15歳だったジーン・ガンベルという女性が職場での窃盗の疑いをかけられると、神経衰弱の病名で精神病院に強制入院させられ、そのまま70年間も隔離されるという事件が起きている。彼女は2007年に兄弟と再会して家族の元へ帰された。