日系社会青年海外協力隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

日系社会青年海外協力隊(にっけいしゃかいせいねんかいがいきょうりょくたい、: Japan Overseas Cooperation Volunteers for Nikkei Communities)とは、外務省所管の独立行政法人国際協力機構 (JICA) が行う海外ボランティア派遣制度である。中南米日系人社会を対象とする。

概要[編集]

1996年に国際協力事業団(後の国際協力機構)の海外ボランティアの一環として、中南米日系人社会の支援を目的とした日系社会青年ボランティア (Youth Volunteers for Nikkei Communities, NJV) として発足。2018年に現在の日系社会青年海外協力隊に改称された[1]2018年3月末現在までに中南米9ヶ国、計1,417名の隊員が派遣されている[2]

日系社会青年ボランティアは元々20~39歳を対象とした制度で、かつては同時に発足した日系社会シニア・ボランティアがより高い年齢層を対象としていた。しかし、2018年の改称時に年齢による区分は廃止され、以後は年齢に関係なく幅広い案件を扱う制度となっている(ただし46歳以上は日系社会海外協力隊と呼称される)[1]

処遇等は基本的に青年海外協力隊と同様である。活動対象が中南米の日系人社会であるため、職種には日本語教師や日本文化を伝えるものが多く見受けられる。また募集定員も青年海外協力隊の約800名(一募集期当り)に対し、約50名(一募集期当り)と少ない。

活動内容[編集]

募集期によって職種や要請内容は変化する。

  • 日系日本語学校教師 幼稚園教諭 野球
  • PCインストラクター 司書・学芸員 栄養士
  • 社会学・文化人類学 学校運営アドヴァイザー

採用試験[編集]

応募資格は、日本国籍を持つ20歳以上の、心身ともに健康な者。募集時期は4月の春募集と10月の秋募集の年2回[3]。平成18年度秋募集より、一次試験及び二次試験の内容が大幅に変更となった。

一次試験[編集]

全て書類審査。[3]

  • 技術審査
  • 語学力審査
  • 健康診断

二次試験[編集]

東京で実施。[3]

  • 面接 - 職種によって実技試験や作品の提出がある。
  • 健康診断 - 必要な場合のみ。

試験は青年海外協力隊の試験と同時に行われる。

待遇[編集]

訓練[編集]

派遣前訓練はかつてはJICA国内機関のJICA横浜で行われていたが、現在は駒ケ根青年海外協力隊訓練所で行われている。

訓練中の食費、宿泊費等はかからない。

派遣後[編集]

原則として派遣期間は2年間で、現在のところ任期延長は1年まで。生活費、医療費、渡航費などは支給される。ただし、生活費は派遣国の物価などを考慮し、生活に最低限必要と思われる金額になっており、国によって異なる。家族等の同伴はできないため、単身赴任となる。

脚注[編集]

  1. ^ a b 制度・呼称変更について”. JICA. 2019年7月1日閲覧。
  2. ^ JICAボランティアの歩み”. JICAボランティア事業について. JICA. 2019年7月1日閲覧。
  3. ^ a b c 広く職種で応募する方(一般案件) 派遣期間:1年~2年”. JICA. 2019年7月1日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]