日米地位協定の考え方

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日米地位協定の考え方」(にちべいちいきょうていのかんがえかた)は、外務省1973年に作成した機密文書[1]日米地位協定の条文内容などについて説明されていると考えられている。1983年に「増補版」が作成され[2]、政府はこちらの文書の存在を認めているが、公表していない[3][4][5]

概要[編集]

琉球新報の取材によると、1973年4月に、当時外務省条約局条約課所属だった丹波實により作成された[1]

1990年代前半に共産党の国会秘書をしていた松竹伸幸は、当時1973年作成の「日米地位協定の考え方」が出回っており、国会質疑等で参考にしていたとしている[6]

2004年1月13日、琉球新報が独自に入手したとする「日米地位協定の考え方」の全文を紙面で公開し、ネット上でも公開した[1]。その後琉球新報社は、「増補版」の全文を高文研から書籍として刊行した[7]

内容[編集]

総務省情報公開・個人情報保護審査会2019年に提出した答申書によれば、外務省から提出された昭和50年代作成の「日米地位協定の考え方(改訂版)」には、「日米地位協定の解釈に関する日本側の考え方,日米間の協議事項に関する外務省内の考え方,日米間における関連の外交交渉,日米合同委員会における議論及びその背景となった考え方,国会における審議の関連部分の抜粋及び質問主意書の関連部分,政府発表及び政府の統一見解,既存の関連国内法,公表済みの日米合同委員会における合意などが詳細かつ深く掘り下げて記載されている」とされている[8]

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c 前泊博盛; 明田川融; 石山永一郎; 矢部宏治 (2013). 本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」. 創元社. pp. 293~334. ISBN 9784422300528 
  2. ^ 吉田敏浩 (2019). 横田空域 日米合同委員会でつくられた空の壁. 角川. p. 56. ISBN 9784040822327 
  3. ^ “「特定秘密」へ含み 地位協定増補版で外務省”. 琉球新報. (2013年11月13日). https://ryukyushimpo.jp/news/prentry-215222.html 
  4. ^ 第211回国会 参議院 予算委員会 第13号 令和5年3月23日 (国会会議録検索システム)
  5. ^ 衆議院議員照屋寛徳君提出「秘 無期限」と記された「日米地位協定の考え方」と題する政府文書の存在と公開に関する質問に対する答弁書”. 衆議院. 2023年5月23日閲覧。
  6. ^ 松竹伸幸 (2021). <全条項分析> 日米地位協定の真実. 集英社. p. 55. ISBN 9784087211559 
  7. ^ 伊勢崎賢治; 布施祐仁 (2021). 文庫増補版 主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿. 集英社. p. 34. ISBN 9784087443127 
  8. ^ 「日米地位協定の考え方(改訂版)の表紙」の不開示決定に関する件 (情報公開・個人情報保護審査会答申書 平成30年度(行情)539)

外部リンク[編集]