損失補償

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索

損失補償(そんしつほしょう)とは、行政法における行政救済行為の一つ。

目次

[編集] 意義

適法な公権力の行使によって損なわれた特別の犠牲による財産的補償。一般的な法律の定めはないが、日本国憲法第29条第1項は、「財産権はこれを侵してはならない」と定め、同法第3項では、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と定め、損失補償の根拠を作っている。不法行為による損害賠償とは異なる。また、個々の法律土地収用法都市計画法自然公園法など)に補償規定がなくとも、「直接憲法29条3項を根拠にして、補償請求する余地が全くないわけではない。」との判例がある。(最高裁判所昭和43年11月27日大法廷判決 名取川事件)。

[編集] 補償の要件

補償に際しては、「特別の犠牲」が発生することが必要となる。特別の犠牲とは、損失補償を行わないと社会全体の公平性が保てないような公の犠牲であり、それが特定の個人に生じた場合である。しかしながら特別の犠牲は明確な概念ではなく、学説もさまざまである。例えば下記のとおりだが、現在ではそれが特別の犠牲と言えるのか、さまざまな要件から客観的・具体的・総合的に判断することが求められている。

  • 財産権への侵害行為が個別的か一般的か(形式説)
  • その犠牲が財産権の本質を侵すか否か(実質説)

公共の福祉を優先させる場合は補償が不要になることもある(例:犯罪防止を目的とした条例の改正によってそれまでの風俗営業ができなくなった場合など)。

必要な場合

  • 公用収用
  • 公用制限:本来の効用とは無関係に効用目的にむけられた場合
  • 占用許可の撤回:公益上の理由で行われた場合。


不要とされる場合

  • 警察規制に該当するもの
  • 内在的規制:他者の生命・財産を守る消極目的による当然に受忍されるべき規制

奈良県ため池条例事件最高裁判所 昭和38年6月26日大法廷判決

[編集] 補償の程度

正当な補償の意味については、次の2説が対立する。

  1. 完全補償説 常に完全な額の補償を要する
  2. 相当補償説 正当な補償であれば完全な額でなくともよい。

(「財産権#正当な補償」の項を参照)。

[編集] 補償の態様

補償は原則として金銭補償だが、現物補償(土地収用における土地)や、生存権を保障するための生活権補償(生活再建のための融資など)も例外としてある。また、金銭保証は、前払い、全額一括払いが原則とされている。しかし、後払いを容認する判例も存在する。(最判昭24.7.13)

[編集] 判例

[編集] 関連項目

個人用ツール
名前空間

変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス