ヴァイマル憲法

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ヴァイマル憲法(ヴァイマルけんぽう、Weimarer Verfassung)は、第一次世界大戦敗北を契機として勃発したドイツ革命によって、帝政ドイツが崩壊した後に制定されたドイツ国の共和制憲法である。憲法典に記されている公式名はドイツ国憲法Die Verfassung des Deutschen Reichs)。

Weimar Constitution.jpg

ドイツの憲法は、フランクフルト憲法ボン基本法のように、その憲法が制定された都市の名をつけて通称とする慣例があり、ヴァイマル憲法も憲法制定議会が開催された都市ヴァイマルの名に由来する通称である。ワイマール憲法と表記される場合も多いが、これは英語の発音にしたがったものである。

1919年8月11日制定、8月14日公布・施行。

目次

[編集] 経緯

第一次世界大戦の終焉に、1919年1月にヴァイマルにて憲法制定の国民会議が開催され制定。

起草文はドイツ民主党の政治家で弁護士であったフーゴー・プロイスによって作成。

初代大統領に選出されたフリードリヒ・エーベルト1919年8月11日に調印し制定。

[編集] 構成

[編集] 前文

原文:Das Deutsche Volk einig in seinen Stämmen und von dem Willen beseelt, sein Reich in Freiheit und Gerechtigkeit zu erneuen und zu festigen, dem inneren und dem äußeren Frieden zu dienen und den gesellschaftlichen Fortschritt zu fördern, hat sich diese Verfassung gegeben.

訳:ドイツ国民は、民族が団結し、自由と正義の元で、新しい強大な国家を目指し、内外の平和に貢献し、社会進歩を促進させるため、この憲法を採択した。

[編集] 第一主部 国家の構築と目的

[編集] 第二主部 ドイツ人の権利と義務

[編集] 内容

ヴァイマル憲法の最大の特徴は人権保障規定の斬新さにある。自由権に絶対的な価値を見出していた近代憲法から、社会権保障を考慮する現代憲法への転換がこのヴァイマル憲法によってなされ、その後に制定された諸外国の憲法の模範となった。当時は世界で最も民主的な憲法とされ、第1条では国民主権を規定している。

統治制度はおおよそ次のとおりである。

  • 直接選挙で選ばれる大統領(任期7年)を国家元首に置き、憲法停止の非常大権などの強大な権限を与えた。また、大統領は首相の任免を行うとする半大統領制を初めて採用した。
  • 大統領は議会の解散権を有し、議会は不信任決議をすることで首相を罷免させることができる。
  • 議会は、国民代表の国議会と、州(ラント)代表の参議会からなる両院制である。
  • 司法機関は通常裁判所の他に国事裁判所がある。
  • 志願兵からなる国防軍(Reichswehr)を置き、大統領が直接指揮・監督する。
  • 一定数の有権者による国民請願や国民投票など、直接民主制の要素を部分的に採用した。

[編集] 問題点

当時、最も民主的な憲法として公布された。しかし、ヴェルサイユ条約による多額の賠償金がドイツ経済を圧迫、インフレを招き、世界恐慌と相まって経済は一層混乱した。だが、フランス第三共和政と同様に少数政党の乱立がおきやすい選挙制度であるため、内閣は複数政党の連立内閣となることが多く、政策の安定性に欠け、有効な政策が取れなかった。さらに、国民請願や国民投票など直接民主制を取っていたことから、左翼のドイツ共産党や右翼のナチスなどの反ヴァイマル憲法派政党がときに大衆行動に訴え、国会を乱す切っ掛けをつくってしまった。これによってヴァイマル共和国政府への信頼は失墜し、民主制への期待は次第に不満へと変わっていった。

こうした政治的・経済的混乱を打開するため、大統領は非常時大権を行使することもしばしばあったものの、特に、ヒンデンブルク末期のように、議会の信任を得ない内閣が政権をになう事態が続く結果となった。加えて、大統領に直接指揮される国防軍も政治的に介入するなど、半ば独裁的政治を敷く温床となった。

ナチスが台頭し、立法権と行政権の融合を図る全権委任法が制定された後も正式には廃止されなかったが、現在の研究では、全権委任法が制定された時点でヴァイマル憲法は事実上死文化したと考えられている。皮肉にも、国民のための憲法は、国民と時代に見棄てられたばかりか、世界大戦に繋がってゆくことになる。

この失敗をもとに、戦後のドイツ連邦共和国の憲法典であるボン基本法では以下のように改められている。

  • 大統領を議会による間接選挙とし、権限を儀礼的な役割に限定。
  • 国民に自由主義・民主主義を擁護する義務を持たせ(戦う民主主義)、明らかに民主主義を否定する政党には裁判所が禁止命令を下すことが可能。
  • 国民投票などの直接民主制を廃止。
  • 内閣不信任にあたっては後継首班をあらかじめ決定する義務を負わせる(建設的不信任制度)。
  • 徴兵制を導入するとともに、軍を内閣の指揮・監督下に置く。

[編集] 関連項目

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