愛の真珠

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愛の真珠』(あいのしんじゅ、ドイツ語: Perlen der Liebe, Concert-Walzer作品39は、ヨーゼフ・シュトラウスが作曲した演奏会用ウィンナ・ワルツ。『愛の(たま)』とも[1]

解説[編集]

1857年6月8日、ヨーゼフ・シュトラウスレオポルトシュタットの教会において、幼馴染のカロリーネ・ヨーゼファ・プルックマイヤーと結婚式を挙げた。この結婚の際に花嫁カロリーネに捧げたワルツがこの『愛の真珠』である[2]。曲名と状況からして、結婚指輪やネックレスのような真珠の装飾品を示していると推測されるが、確かなことは不明である。結婚式の3週間後に、ウィーンフォルクスガルテンドイツ語版において初演された[3]

「Concert-Walzer」とあるように、舞踏会ではなくコンサートのためのシンフォニック・ワルツを、ヨーゼフが兄ヨハン・シュトラウス2世に先駆けて構想していたことを窺わせる作品である[2]。しかし、初演時の新聞の批評はヨーゼフの期待したほどではなく「ヨーゼフ・ランナーのスタイルに傾いている」というものであった[3]。ヨーゼフはランナーの後継者以上の評価を得たいと考え、この後「交響楽的ワルツ」を作曲しようと試行錯誤することになる。

ノルベルト・リンケドイツ語版は、このワルツが『オーストリアの村つばめ』、『ディナミーデン』、『トランスアクツィオン』、『うわごと』、『天体の音楽』、『わが人生は愛と喜び』などの後年のヨーゼフの大作ワルツの下敷きになっていると指摘している[2]

出典[編集]

  1. ^ 小川(1981) p.217
  2. ^ a b c 加藤(2003) p.142
  3. ^ a b 増田(2003) p.149

参考文献[編集]

  • 小川昂『洋楽索引(下巻)――作曲者と原題と訳題を引き出すための』民音音楽資料館、1981年2月。 
  • 加藤雅彦『ウィンナ・ワルツ ハプスブルク帝国の遺産』日本放送出版協会NHKブックス〉、2003年12月20日。ISBN 4-14-001985-9 
  • 増田芳雄「ヨーゼフ・シュトラウス――ワルツのシューベルト」(『人間環境科学』第12巻、2003年)

外部リンク[編集]