塩化パラトルエンスルホニル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
塩化パラトルエンスルホニル
{{{画像alt1}}}
{{{画像alt2}}}
識別情報
CAS登録番号 98-59-9
PubChem 160808444
ChemSpider 7119
日化辞番号 J3.580G
特性
化学式 C7H7ClO2S
モル質量 190.65 g/mol
外観 白色固体
融点

65-69 °C

沸点

134 °C at 10 mmHg

への溶解度 加水分解
危険性
主な危険性 酸を遊離
引火点 128 °C
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

塩化パラトルエンスルホニル(えんかパラトルエンスルホニル、p-toluenesulfonyl chloride)は、有機合成化学で用いられる試薬のひとつ。ヒドロキシ基スルホニル化してパラトルエンスルホニル基(トシル基)に変え、反応性を高めるために用いられる。パラトルエンスルホニル基を慣用名としてトシル基と呼び Ts と略することから、塩化パラトルエンスルホニルは別名として塩化トシル (tosyl chloride) とも呼ばれ、TsCl と略記される。

合成と性質[編集]

トルエンクロロスルホン酸を反応させて合成する[1]

CH3C6H5 + ClSO3H → p-CH3C6H4SO2Cl + H2O

無色の固体で、刺激臭を有する。水とは反応して、徐々にパラトルエンスルホン酸塩化水素とに分解する。塩基性の水中では、加水分解が速まる。

用途[編集]

塩化パラトルエンスルホニルは塩基の存在下にアルコールなどのヒドロキシ基スルホニル化する。塩基としてはピリジンN,N-ジメチル-4-アミノピリジン (DMAP)、水酸化ナトリウムなどが用いられ、概ね収率は良好である。

ROH + TsCl + C5H5N → ROTs + C5H5N•HCl (Ts = CH3C6H6SO2-)

この反応生成物であるトシル化合物(パラトルエンスルホン酸エステル)は、スルホナートアニオンが良い脱離基であることから、求核置換反応脱離反応への活性が高い。2種類の異なるアルコールから非対称エーテルを合成する際に、この方法によるトシル化に続いてウィリアムソン合成を行なう。

ROTs + R'OH + Base → ROR' + Base•TsOH

アミノ基をトシル化する際にも用いられる。

RNH2 + TsCl + Base → RNH-Ts + Base•HCl

製造[編集]

TsClは、トルエンのクロロスルホン化による塩化オルトトルエンスルホニル(サッカリン合成の前駆体)生産の副生成物として得られるため[2]、研究用途に安価に入手可能である。

CH3C6H5 + SO2Cl2 → CH3C6H4SO2Cl + HCl

脚注[編集]

  1. ^ Merck Index 13th ed., 9612.
  2. ^ Lindner, O.; Rodefeld, L. (2005). “Benzenesulfonic Acids and Their Derivatives”. Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry. Weinheim: Wiley-VCH. doi:10.1002/14356007.a03_507.