劣微分

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凸関数(青)と、 点 (x0, f(x0)) での劣微分の値(劣勾配)に対応する「接線」の集合(赤)

数学において劣微分(れつびぶん、英: subderivative, subdifferential)とは一般の微分の概念を微分不可能な関数に対して拡張した考え方である。一般の関数の微分は関数であるが、劣微分は集合となる。劣微分は凸解析の分野で広く用いられており、凸最適化と深い関係を持つ。

ある開区間I上の必ずしも全ての点で微分可能でない凸関数f:IRを考える。例えば絶対値を返す関数f(x) = |x|などはx=0では微分不可能である。しかしながら右の図に示す通り、微分不可能な点を通り、その近傍の点とは接するか、あるいは下を通るような直線の集合を考えることができる.この直線の傾きが劣微分の値となる.もし関数が下に凸ではなく上に凸である場合にも劣微分の定義は適用可能であるが、それはあまり重要な意味を持たないため、多くの場合、凸関数に対してのみ劣微分が定義される.

定義[編集]

凸関数f:IRの点x0における劣微分は次の条件を満たす数cの集合である。

 f(x) - f(x_0) \geq c(x - x_0)

この時、劣微分を表す集合の要素は次の条件を満たす数a, bを用いた閉区間 [a, b]の間に存在する。

 a = \lim_{x \nearrow x_0} \frac{f(x) - f(x_0)}{x - x_0}
 b = \lim_{x \searrow x_0} \frac{f(x) - f(x_0)}{x - x_0}

当然ながら、fが点x0で微分可能であれば、x0における劣微分はただ1つの要素のみを持つことになる。逆に劣微分がただ1つの要素しか持たないときfは点x0において微分可能である。

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絶対値を返す関数f(x) = |x|を考える。このfの点0における劣微分は[-1, 1]である。一方、x0<0ならば{-1}、x0>0ならば{1}がfの劣微分となる。

関連項目[編集]