牛伝染性角結膜炎

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牛伝染性角結膜炎(うしでんせんせいかくけつまくえん、infectious bovine keratoconjunctivitis)は、Moraxella bovis感染を原因とする牛の感染症伝染性結膜炎(infectious conjunctivitis)、伝染性角膜炎(infectious keratitis)、ピンクアイ(pink eye)とは病名同義語。

原因[編集]

モラクセラ属に属するグラム陰性通性嫌気性球~短桿菌であるMoraxella bovisが原因となる。Moraxella bovisβ溶血性を示す。

疫学[編集]

接触あるいはハエなどの昆虫を介した伝播が起こり、その伝播力は強い。夏~秋に放牧地で多発し、ホルスタイン種ジャージー種ショートホーン種などの品種での発生が多い。牛伝染性鼻気管炎ウイルスとの混合感染が多い。

症状[編集]

病変は眼に限局し、初期に流涙、結膜の充血、羞明などを示し、進行すると角膜周囲の血管が増生、充血を起こして白目が淡紅色を示すピンクアイの状態となる。さらに進行すると、二次感染による角膜潰瘍、失明が生じる。

診断[編集]

眼結膜分泌液を血液寒天培地に接種し、菌の分離を試みる。ゲル内沈降反応凝集反応蛍光抗体法ELISAも用いられる。

治療[編集]

ホウ酸水による洗浄およびペニシリンテトラサイクリンクロラムフェニコールなどの抗生物質およびステロイド性抗炎症薬の点眼を行う。

予防[編集]

ワクチンは実用化されていないので、早期発見に努め、病気の蔓延を防ぐ。衛生昆虫の防除も有効な予防策である。

参考文献[編集]

  • 清水悠紀臣ほか『動物の感染症』近代出版 2002年 ISBN 4874020747

外部リンク[編集]