線状凹地

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飛騨山脈小蓮華山-白馬岳間の稜線にある線状凹地と二重山稜。中央が小蓮華山。(北緯36度45分55.17秒 東経137度45分41.54秒
飛騨山脈の蝶ヶ岳-常念岳間の稜線にある二重山稜。左側にあるが高度が足りていないため分かりにくい。右奥が常念岳。(北緯36度17分38秒 東経137度43分21秒

線状凹地(せんじょうおうち)は、山地丘陵地稜線に平行する傾向をもった凹地のこと[1]。線的凹地とも呼ばれる。二重稜線に挟まれた凹地が典型例である。

要因[編集]

線状凹地の形成には、様々な要因が考えられるが、主として岩盤クリープによる山体の重力変形(褶曲や断層など)により発生すると考えられている。この山体の重力変形は、大規模な山体崩壊の前兆であるとも考えられており[2]、防災の面においても注目されている。また、地震による断層形成も要因の一つであるという報告もある[3]

二重山稜[編集]

二重山稜の大部分は山稜の片側が谷側にずり落ちたもので、特に小起伏面上ではっきりとわかる。これらの地形は山体重力変形により形成されると考えられており、山体の地質構造が異なれば、その変形様式も異なってくる。これまで主に堆積岩からなる山体と花崗岩類からなる山体で事例が報告されている。

脚注[編集]

  1. ^ 登山に安らぎをあたえる高山湖は何故できた? - 産業技術総合研究所 中野俊 - ウェイバックマシン(2013年6月1日アーカイブ分)
  2. ^ 千木良、1998
  3. ^ 横山ほか、2007

参考文献[編集]

  • 横山俊治・柏木建司・藤田勝代・加藤靖郎(2007):付加体に発達する二つの型の尾根上線状凹地・開口クラック : 岩盤クリープ型と地震性ノンテクトニック断層型,日本地質学会学術大会講演要旨,114,147
  • 千木良雅弘(1998):岩盤クリープと崩壊,地質学論集,50,241-250
  • 永田秀尚(2003):線状凹地-カタログ化の試み,日本地質学会学術大会講演要旨,110,270
  • 小泉武栄、清水長正(1992):山の自然学入門,古今書院

外部リンク[編集]