フーア

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フーアスコットランド・ゲール語fuath「憎悪・嫌悪」; 音写英語形:vough[1]; 複数形フーハン fuathan)は、スコットランドのハイランド地方ゲール人の民間伝承において、水にまつわる凶悪な精霊や妖怪の総称[2]

別名アラハトArrachd)またはフーア・アラハトとも[3]

フーアの例[編集]

フーアの亜種とされる妖精には、以下が挙げられる[4]

  • J.F.キャンベル収集「ブロラハン」(brollachan)の民話[5]では、その母親がフーア (fuath, vough の両方の綴りが使われる†)である。ブロラハンは目口があるが、定まった体形がなく、「私」と「あなた」の二言しか喋れない。
(† ゲール語は語頭変化を起こす言語であるため、時にヴーア(bhFuath)と発音され、これが非ゲール語話者には"vough"と言う形で知られている。)

定義[編集]

広義には、水馬ケルピーや「洗い女」ベン・ニーア英語版をさし、北アイルランドでもイシュケ英語版の俚言としても使われる。スコットランドでは海、川、淡水、入り江に住む様々な水精を指し、これらは高地や自然の精にも及ぶが、皆邪悪なものである。
ジョン・フランシス・キャンベルはフーアを水の精と考えたが、J.G.キャンベル(John Gregorson Campbell)は必ずしもそうとは限らないと言い、ドナルド・A.マケンジー英語版は『スコットランドのフォークロアと庶民生活 Scottish Folk Lore and Folk Life』(1935)の中でJ.F.キャンベルに同意している。

特徴[編集]

彼らの容姿は背中に鬣があるかのようなぼさぼさの黄色い毛皮に覆われていたり、つま先に水かきがあったり、棘々の尻尾を有していたり、鼻がなかったりする。彼らは妖精の色である緑の服を着る事を好む。

彼らはよく人間と結婚し(女性とが典型的)、彼らの子は鬣や尻尾そしてまたは水かきのある指を持っていたりする。彼らの天敵は陽光と冷たい鋼で、それらは彼らを即死させることができる。また、川を渡ることも彼らの苦手な行為である。

脚注[編集]

  1. ^ Mackillop 1998事典,p.243, fuath, fuathan, vough "ScG, hatred, aversion.
  2. ^ Mackillop 1998,p.243, "..generic term for a class of spectral monsters in Highland gaelic folklore, usually having a close conncection with water, lochs, rivers,..open sea."
  3. ^ Mackillop 1998,p.243, "sometimes known as the arrachd or fuath-arrachd"
  4. ^ Mackillop 1998. "Highland subspecies of the fuath include the beithir, fideal, pellaidh, and ùruisg.
  5. ^ "第XXXVII話 The Brollachan", Campbell 1860 II, 189

参考資料[編集]

  • 井村君江 『妖精学大全』 東京書籍、2008年ISBN 978-4-487-79193-4
  • Mackillop, James (1998), Dictionary of Celtic Mytholgy, Oxford: Oxford University Press, ISBN 0192801201 
  • Rose, Carol. (2000). Giants, Monsters and Dragons. Norton