ピアノソナタ第52番 (ハイドン)

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ハイドン(1791年、ジョン・ホプナー画)

ピアノソナタ第52番 変ホ長調 作品92, Hob. XVI:52 は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン1794年に作曲したピアノソナタであり、最後のピアノソナタである。ランドン版では第62番となっている。

概要[編集]

本作品はイギリス・ソナタ(第50番第51番、本作)の3曲目で、出版年は1798年である[1]。イギリス・ソナタは、1794年から1795年ロンドン旅行の時に書かれたという定説になっているが、本当にこの時期に書かれたのかをはっきり証明できる資料が無い[2]。この曲の自筆譜には、当時の人気女流ピアニストでクレメンティの弟子、テレーゼ・ジャンセン・バルトロッツィへの献辞が書かれており、ジャンセンに献呈されたとされている[2]。作曲当時は、楽団が解散され、ハイドンは年金生活を送り、自由に創作活動をしていた時期である。

曲の構成[編集]

全3楽章、演奏時間は約18分半[1]。ハイドンのピアノソナタの中でも技術的に難易度が高く[3]、華やかである。さらに、ディナーミクが楽章全体を通して目まぐるしく変化するところや[1]、主題の展開よりも主題そのものに重きを置いているところが特徴的である[2]

  • 第2楽章 アダージョ
    ホ長調、4分の3拍子、三部形式
    
 \relative c' {
  \new PianoStaff <<
   \new Staff { \key e \major \time 3/4 \set Score.tempoHideNote = ##t \tempo "Adagio" 4=52 \set PianoStaff.connectArpeggios=##t
    e8.. (dis32 fis4) b, \slashedGrace b8 (b'8..) (a32 cis4) <fis, dis> <<
    {e'8.. \arpeggio dis32 a'8.. \arpeggio [s256 gis32] \slashedGrace cis,8 (cis'16) [s32 b \slashedGrace b8 (a16.) gis32]}
    \\
    {<b, gis e>8 \arpeggio r <fis' dis b> \arpeggio [s256 r16. e32] a16 [r32 gis \slashedGrace gis8 (fis16.) e32]}
    >>
   }
   \new Dynamics {
    s1\p s4.\cresc s1\!
   }
   \new Staff { \key e \major \time 3/4 \clef bass <<
    {gis,,8.. fis32 a2 gis8.. fis32 a2}
    \\
    {e2. e2.}
    >>
    s256 <b' gis e>8 \arpeggio [r16. <a fis>32] <b fis dis>8 \arpeggio [r16. <b e,>32] <a e cis a>8 r
   }
  >>
 }
    第1楽章よりも半音高い調である。上記の譜例のように、静かな中で劇的な効果があるのが特徴である[2]
    中間部は同主調ホ短調。全体的にゆったりとしているが、装飾音や音階、同音連打などがあり変化に富んでいる[3]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d ハイドン  : Haydn, Franz Joseph ソナタ 第62番(ウィーン原典版番号)変ホ長調 Sonate für Klavier Nr.62 Es-Dur Hob.XVI:52 op.82”. 2017年8月31日閲覧。
  2. ^ a b c d e f クラヴィアソナタの部屋第3室”. 2017年8月31日閲覧。
  3. ^ a b ★赤影★. “★ ハイドン ピアノソナタ Hob.XVI:52 変ホ長調 ★”. 2017年8月31日閲覧。

外部リンク[編集]