ドロップボール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サッカーにおけるドロップボール
(2019/20 サッカー競技規則改正前の画像。現在は複数の選手がドロップボールに参加することは認められない。)

ドロップボール: dropped-ball)とは、サッカーにおけるプレーの再開方法のひとつ。主審ボールグラウンドに落として再開される。

ルール上の規定[編集]

サッカー競技規則では、第8条プレーの開始および再開において、キックオフと並んで規定されている[1]

ボールインプレーの最中に、競技規則に規定されていない理由で主審がプレーを停止した場合に、ドロップボールが行われる。競技規則に規定されていない理由として、以下の例が挙げられる。

  • プレーヤーが重傷を負ったと主審が判断する[2]
  • 観客の笛や物の投げ込み、動物の侵入、照明の故障などの外的要因により、プレーが妨害される[注 1][3]
  • ボールやゴールに欠陥・破損が生じる[4]
  • 審判員にボールが当たって大きなチャンスとなる攻撃が始まったり、ゴールに入ったり、ボールを保持するチームが入れ替わったりする[注 2]

進め方[編集]

ドロップボールは、プレーが停止されたときにボールがあった地点で行われる。ただし、ボールがゴールエリア内にあった時点でプレーが停止された場合は、同地点から最も近いゴールラインに平行なゴールエリアのライン上で行われる。

ドロップボールには、ゴールキーパーを含む両チームすべての出場中のプレーヤーが参加できる。逆に主審は、ドロップボールに参加する人数やプレーヤー、またドロップした後のプレーを指定できない。したがって、他の再開方法とは異なり、プレーヤーの位置に関する規定はない。

主審がボールをドロップし最初にグラウンドに触れたとき、プレーは再開となる。グラウンドに触れた後は、どのプレーヤーが先にボールに触れても構わない。

  • 2019/20 サッカー競技規則の改正より、ドロップボールは特定の1名の選手にドロップされることとなる。いずれの場合でも、その1名以外の両チームの選手はドロップの位置より4m以上離れなければならない。
    • ペナルティーエリア内の場合、どちらのチームがボールを保持していた場合でも、守備側のゴールキーパーにドロップされる
    • ペナルティーエリア外の場合、最後にボールに触れていたチームの選手に、最後にボールに触れた位置にドロップされる。

やり直し[編集]

以下の場合、ドロップボールはやり直しとなる。

  • ボールがグラウンドに触れる前に、いずれかのプレーヤーによって触れられた場合。
  • どのプレーヤーもドロップされたボールに触れることなく、ゴールラインまたはタッチラインを割った場合。

ボールがゴールインした場合[編集]

ボールがドロップされた後、1人のプレーヤーのみ触れたボールがゴールに入った場合、以下の方法でプレーを再開する。

  • 触れたプレーヤーの相手側のゴールに入った場合 - ゴールキック
  • 触れたプレーヤーのチーム側のゴールに入った場合 - コーナーキック

かつては、ドロップした後のボールを直接得点することが認められていた。しかし、ドロップボールに参加したチームが、プレーが停止した時点でボールを保持していた相手チームにボールを返そうとしたところ、誤ってゴールに入ってしまった、というケースや[注 3]、さらには不本意な得点を打ち消す目的で、守備を放棄し相手に得点を与えるケースがあることから、このような事態を未然に防ぐ目的で、2012年7月から規則が改正され、ドロップした後のボールを直接得点することができなくなった[注 4][5]

脚注[編集]

注釈
  1. ^ 出場していないプレーヤーやチームスタッフがプレーを妨害した場合は、ドロップボールではなく、相手チームに直接フリーキック(ボールが自陣ペナルティーエリア内にあった場合はペナルティーキック)が与えられる。
  2. ^ 2019年の競技規則改正により
  3. ^ 前述の通り、主審はドロップボールに参加するプレーヤーや、ドロップ後のプレーを指定できないため、規則上得点やドロップボールそのものを取り消すことはできない。
  4. ^ 相手キーパーなどが触れた場合や、パスやドリブルなどでプレーを続行した後にゴールに入れた場合は、引き続き得点が認められる。
出典

参考文献[編集]