ダラブッカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ダラブッカ

ダラブッカは、タブラ、ドゥンベク、ダラブッケともいい、ゴブレット(足付酒杯)形太鼓の一種。膜鳴楽器に分類される打楽器である。アラブ音楽トルコ音楽で使われる。ばちを使うこともあるが、本来は素手で叩く。左右の手で鼓面の中央と縁を打ち分ける。

楽器の種類[編集]

  • エジプシャン・ダラブッカ

胴体はアルミダイキャストや銅などの金属でできており、皮はプラスチックヘッドを用いている。
胴体に細かいモザイク模様が埋め込まれているものが多い。最も一般的な形のダラブッカ。

  • ターキッシュ・ダラブッカ

胴体はアルミや銅などの金属でできており、プラスチックヘッドを使用する。エジプシャンダラブッカより小さく、軽いものが多い。
縁の部分が丸くなっていないので、フィンガースナップを利用して高音を出す。

  • ソンバティ

エジプシャンダラブッカをひとまわり大きくしたもの。低音がよく出る。

  • ドホラ

ソンバティをさらに大きくしたもので、大きな低音が出る。パーカッション・アンサンブルでは重要な存在である。

  • 陶器のダラブッカ

テラコッタなど素焼きの胴体に天然の皮(羊や牛、魚の皮など)を貼ったもの。伝統的なダラブッカの形だが、モダンスタイルでよく使用される。

  • そのほかのダラブッカ

ジャンベに似た形をしたダラブッカや、ひとまわりサイズの小さい、女性向けのラキ・タブラといったものがある。

テクニック[編集]

基本の音[編集]
  • 低音(Dun)

打面の中央を、利き手の手のひら全体で叩く低音。非利き手でも出すことはできる。

  • 中音(BakまたはPa)

利き手を水をすくうような形に丸めて打ちつけ、打面を押さえることによって生まれる鋭く音量の大きい音。コンガなどのスラップ音に似ている。

  • 高音(TekまたはKa)

薬指で打面の縁を叩くことによって出される音。利き手で打つものをTek、非利き手で打つものをKaと呼ぶ。

  • 四元素説に基づいた説明

低音が土の音、中音が火の音、高音が水の音、そして何も叩かない休符(Es)を空気の音として、四元素説になぞらえた説明がなされることがある。この場合、もっとも大事なのは水の音であるTekだとされる。

装飾音[編集]
  • ミュート音(TokまたはPa)

利き手で打面を押さえ、非利き手の薬指で打面の縁を叩くことによって出る、乾いた音。アクセントとしてよく使われる。
利き手の位置によって、音の高さを微妙に変えることができる。

スタイル[編集]

大きく分けて、エジプトスタイルとモダンスタイルの2つの流れがある。
しかし、これらを複合させたようなスタイルや、イランのトンバクの奏法を取り入れたスタイルもあり、明確な分類ができるわけではない。

エジプトスタイル[編集]

ダラブッカの伝統的なスタイル。ベリーダンスの伴奏として発展してきたため、踊りやすいように、簡潔で力強いフレーズが多いのが特徴。

モダンスタイル[編集]

ムスルル・アフメットが1987年に創始したスタイル。音の組み合わせが自由自在にできるように、個々の音の出し方が、様々な点でエジプシャンスタイルとは異なっている。

リズム[編集]

ベリーダンスの伴奏としては、2拍子系、4拍子系のものが最もよく演奏される。
アラブ歌謡の一種であるムワッシャハーでは、6拍子、7拍子、10拍子なども演奏され、トルコ音楽でも変拍子は多く演奏される。

基本的なリズム[編集]
  • マクスーム(Maqsum)
  • サイーディ(Saidi)
  • ベレディ(Beledi)
  • マルフーフ(Malfuf)

著名なミュージシャン[編集]

エジプトのダラブッカ奏者[編集]
  • ハミス・ハンキッシュ(Khamis Henkesh)
  • ホッサム・ラムジー(Hossam Ramzy)
  • サイード・エル・アーティスト(Said El Artist)
トルコのダラブッカ奏者[編集]
  • ムスルル・アフメット(Mısırlı Ahmet)
  • レヴェント・ユルドゥルム(Levent Yıldırım)
  • スアット・ボラザン(Suat Borazan)
その他のダラブッカ奏者[編集]
  • ルーベン・ファン・ロンパエイ(Ruben van Rompaey):オランダのダラブッカ奏者
  • ラキ・ダンツィガー(Raquy Danziger):アメリカのダラブッカ奏者
  • J.S.ラミス(J.S.Ramis):日本のダラブッカ奏者
  • ノミヤタカコ:日本のダラブッカ奏者

ギャラリー[編集]