ゾーン30

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
30 km/hの区域規制(ゾーン30)の入口を示す標識

ゾーン30とは、最高速度30 km/h区域の通称であり、区域内の道路は最高速度標識が設置されない限り全て30 km/h制限となる規制である。

類似の規制として、40 km/h区域20 km/h区域ゾーン20)などが存在する。

概要[編集]

道路に対して最高速度を指定する場合、右左折等によって侵入する車両が視認できる位置に最高速度標識を設置する必要がある。しかしながら、道路が入り組んでいる市街地等では交差点の数が多く、必要な道路標識が多くなってしまう。そこで、道路の区間に対する規制ではなく、区域を指定し、右左折先に最高速度標識がない場合に適用される区域内の通常の最高速度を指定することで、最高速度標識の枚数を減らすことができる場合がある。また、市街地や住宅街などの注意が必要な地域内であることを運転手に伝え、安全運転を促すことができる。

ただし、区域が広範にわたる場合は、区間による規制の場合と同様に、法定速度の道路と誤認されないよう適宜「区域内」の補助標識を附置した最高速度標識を設置する必要がある。

区域内であることを示す最高速度標識の下部に設置される補助標識(506の2)

道路標識が設置されない場合の制限速度は法定速度(自動車は60 km/h)であるが、このような区域の内部では、規制区域内は標識を設置しなければ30 km/hなどの区域入口の標識で指定された速度となるため、規制区域内の道路に法定速度と同じ60 km/hの制限速度を指定する場合も60 km/hの標識を設置しなければならない[1]。また、区域内において、区間による速度規制を終了し、区域に指定された速度に戻す場合は、法定速度に戻すわけではないため、速度規制の終わりの標識ではなく、「区域内」の補助標識を付した区域規制内であることを示す道路標識によって最高速度規制を終了する[1]

ゾーン30などの生活道路において、区域の境界部に区域規制標識を設置する場合は、原則として背板を用いた標識が使用される[1]。区域内の標識には補助標識「区域内(506の2)」を附置し、原則として背板を用いない。生活道路以外の区域規制の境界には、背板は通常使用されない。

区域による規制は、「市内全域」「町内全域」で最高速度40 km/hなどの区域規制を行っている場合や、ゾーン30・ゾーン20などの任意の区域で実施されている場合がある。警察庁は、当該区域規制が「市内全域」等のように広範囲に及ぶ場合は、規制区域の境界は一般ドライバーに分かるような河川、行政区域境等とすることを求めている[1]

市街地や生活道路等の全域に対して速度規制を実施することで、交通静穏化の効果が期待される。

脚注[編集]

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]