クリストファー・ラングトン

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クリストファー・ラングトンChristopher Langton1949年 - )は、情報工学者人工生命の研究で知られる。1980年代後半、「Artificial Life(人工生命)」という用語を生み出し、1987年に "International Conference on the Synthesis and Simulation of Living Systems"(通称、Artificial Life I)という国際会議をロスアラモス国立研究所で開催した。

ミシガン大学を卒業後、ラングトンはラングトンのアリラングトンのループという単純な人工生命シミュレーションを作るとともに、セル・オートマトン複雑性計算可能性の無次元の尺度であるλ(ラムダ)パラメータを考案した。2状態、1-r 近傍、1次元のセル・オートマトンでのその値はほぼ 0.5 となる。ライフゲームのような 2状態、ムーア近傍、2次元のセル・オートマトンでは、0.273 となる。このλパラメータの研究から「カオスの縁」という用語が生まれた。

ラングトンは、"Homer Kelly Mysteries" などの著作で知られる作家ジェーン・ラングトンの長男である。

カオスの縁[編集]

ラングトンは、1990年カオスの縁 (Edge of Chaos) という用語を生み出した。これは、セル・オートマトン (CA) の振る舞いを評価する変数 λ(ラムダ)のある範囲を指したものである。λ が変化すると、セル・オートマトンは振る舞いの相転移を示す。ラングトンは、λがある微小な範囲にあるときにセル・オートマトンがチューリングマシンと匹敵する計算能力を発揮することを発見した。同じころ物理学者 James P. Crutchfield らは、ほぼ同様の概念を「カオスの開始; onset of chaos」と名づけた。

λを0から1まで動かし、複雑さの変化を相互情報量で計測したとき、その値が最大となるのがカオスの縁である。そこは、静的すぎず動的すぎない、秩序とカオスが絶妙なバランスを保っている場所だといえる[1]

情報処理という観点からみたとき、カオスの縁は重要な領域である。あまり静的な状態では情報が途中で凍結してしまうので、遠方まで伝えることができない。逆に、あまり動的であると途中で破壊されてしまう。静的すぎず動的すぎないカオスの縁が、安定性と流動性を兼ね備えた絶妙なバランスを保つことができるのだ[2]

この用語は、科学界全体(物理学生物学経済学社会学など)で比喩として使われるようになり、秩序と完全な無作為性カオス)との中間で複雑性が最大となるようにシステムを運用する状態を指すようになった。しかし、この概念の一般性と重要性については Melanie Mitchell らが疑問を呈している。ビジネスにおいてもこの用語が本来の意味とはかけ離れた状況を指すのに借用あるいは誤用されている。

スチュアート・カウフマン進化数学モデルを研究し、カオスの縁近辺で進化速度が最大になるとした。

出典[編集]

  1. ^ 井庭崇・福原義久 『複雑系入門 知のフロンティアへの冒険』 NTT出版、2005年、85頁。ISBN 4-87188-560-7 
  2. ^ 井庭崇・福原義久 『複雑系入門 知のフロンティアへの冒険』 NTT出版、2005年、86~87頁。ISBN 4-87188-560-7 

参考文献[編集]

  • Christopher G. Langton. "Computation at the edge of chaos". Physica D, 42, 1990年.
  • J. P. Crutchfield and K. Young, "Computation at the Onset of Chaos", in Entropy, Complexity, and the Physics of Information, W. Zurek, editor, SFI Studies in the Sciences of Complexity, VIII, Addison-Wesley, Reading, Massachusetts (1990) pp. 223-269.
  • Melanie Mitchell, Peter T. Hraber, and James P. Crutchfield. Revisiting the edge of chaos: Evolving cellular automata to perform computations. Complex Systems, 7:89--130, 1993.
  • Melanie Mitchell, James P. Crutchfield and Peter T. Hraber. Dynamics, Computation, and the "Edge of Chaos": A Re-Examination
  • Origins of Order: Self-Organization and Selection in Evolution by Stuart Kauffman

外部リンク[編集]