オードナンス BL 12ポンド 6cwt砲

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オードナンス BL 12ポンド 6cwt砲
練兵場にて、1897年頃
種類 軽量野砲
原開発国 イギリスの旗 イギリス
運用史
配備期間 1894年 - 1916年
配備先 大英帝国
関連戦争・紛争 第二次ボーア戦争
第一次世界大戦
諸元
重量 Mk IV:656ポンド(298kg)、砲身及び尾栓
総重量2008ポンド(911kg)[1]
銃身 Mk I:ボア長59インチ(1,499 mm)[2]
Mk IV:ボア長66インチ(1,676 mm)、全長71.05インチ(1,805 mm)[1]

砲弾 後装、薬嚢式。重量12.5ポンド(5.7 kg)、 榴散弾
口径 3インチ(76.2 mm)
仰角 -8° - 16°[1]
旋回角 ほぼゼロ
発射速度 7-8発/分[3]
初速 1,585フィート/秒(483m/s)[1]
最大射程 3700ヤード(No.56信管、時限信管)
5800ヤード(No.57信管、時限信管)
5400ヤード(No.56信管、激発信管)[4]
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オードナンス BL 12ポンド 6cwt砲(Ordnance BL 12 pounder 6 cwt)は、イギリス陸軍王立騎馬砲兵が使用した野砲で、オードナンス BL 12ポンド 7cwt砲の軽量版である。

cwt(ハンドレッドウェイト)は砲身の重量を示し、1 cwtは112ポンド(約50.8 kg)であるため、6 cwt砲の砲身重量は概ね672ポンド(約304.8 kg)に相当することになる(近似値であり、実際には656ポンド)。

歴史[編集]

1891年に実施されたインドでの騎兵大演習において、オードナンス BL 12ポンド 7cwt砲は騎馬砲兵用としては砲車が複雑すぎ、埃に弱いという問題が発覚した[5]。また、戦闘において騎兵を援護する騎馬砲兵用としては重すぎることも判明した。

このため、1892年には軽量でより強力なコルダイト火薬を使用するオードナンス BL 12ポンド 6cwt砲が開発された。砲身長は7cwt砲から18インチ(460mm)短くされ、軽量で簡便な砲車を使用し、1894年から王立騎馬砲兵隊への配備が開始された。1899年には簡単な後座吸収装置が追加された。より近代的なオードナンス QF 15ポンド砲が1901年に採用されると、BL 12ポンド 6cwt砲はイギリス軍では時代遅れとなり、1905年からはオードナンス QF 13ポンド砲で置き換えられた。

No. 56 Fuze

初期のNo.56信管は調定可能な時間が最長13秒と短く、榴散弾の爆発距離は3700ヤードが限界であった。No.57「青」信管第二次ボーア戦争から導入され、最長5800ヤードに調定できるようになった。第一次世界大戦時には最大射程6000ヤードとなっている[6]

戦争[編集]

第二次ボーア戦争[編集]

第二次ボーア戦争では、BL 12ポンド 6cwt砲は60門が王立騎馬砲兵隊で使用され、BL 15ポンド砲と共にイギリス軍の火力の中心となった。18門が王立カナダ砲兵隊でも使用された[7]。合計78門で、総発射弾数は36,161発であった[8]

第一次世界大戦時[編集]

6門が第8野戦砲兵隊に配備され、東アフリカ戦線で使用された。1914年10月にカルカッタ志願砲兵隊と共に到着し、砲は馬ではなく雄牛に索引された[9]

現存砲[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d Hogg & Thurston 1972, page 52
  2. ^ Text Book of Gunnery 1902, Table XII, Page 336
  3. ^ Hall, June 1971
  4. ^ Hall, June 1971.
  5. ^ Hall, December 1972
  6. ^ Hogg & Thurston 1972
  7. ^ Canada & The South African War, 1899-1902. Units. Brigade Division, Royal Canadian Field Artillery
  8. ^ Appendices 28 and 29 of the Royal Commission on the War in South Africa
  9. ^ Farndale 1988, page 316

参考資料[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]