なぜなぜ分析

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なぜなぜ分析とは、ある問題とその問題に対する対策に関して、その問題を引き起こした要因(『なぜ』)を提示し、さらにその要因を引き起こした要因(『なぜ』)を提示することを繰り返すことにより、その問題への対策の効果を検証する手段である。

方法[編集]

  • まず、問題となる事象を提示する。このとき、次に提示する『なぜ』との論理的なつながりを明確にするため、問題点を絞っておくことが望ましい。
  • 次に、その事象が発生するに至った要因を提示する。これが1回目の『なぜ』である。要因はひとつだけとは限らない。また、事象に対して、論理的なつながりがなければならない。
  • 次に、各要因ごとに、それが発生するに至った要因を提示する。これが2回目の『なぜ』である。1回目と同様、ひとつだけとは限らず、また、論理的なつながりがなければならない。
  • 同様にして、3回目の『なぜ』の提示、4回目の『なぜ』の提示…を繰り返していく。

この方法を広めるにあたって当初は『なぜ』を5回繰り返えすことが推奨していた。 様々な分野で使うようになった現在では、必ずしも5回にこだわる理由はない。 真因に辿り着いたかどうかが大切。

いつ繰り返しを止めれば良いのかというのは難しい問題である。 現実的には「提示した対策によって対象となる要因を取り除くことが、最初に提示した問題の解消へとつながることを論理的に説明できる段階」が一つの目安となる。 『なぜ』を繰り返すうちに、回避不可能な「事象」や「制度」などが要因として提示されることがある。 事象が回避不能な場合は、繰り返しを止める。ただし、なぜを繰り返していると、回避不能だと思っていたのが思い込みで、回避方法が見つかる場合もある。 決めつけはよくない。

なぜには、原因が1つとは限らない。3つ以上の原因をあげることがよいという経験がある。 論理的なつながりは、しばしば原因と結果を取り違えていることがある。 社会的事象の場合には、原因と結果の関係は明確ではない。 固定観念に囚われずに実施するとよい。

利用場面と課題[編集]

なぜなぜ分析を用いるのはいろいろな場面がある。

なぜなぜ分析が問題の「対策を立てる」ことや「対策の必然性を示す」ために実施する場合には、対策を立てたり,対策の必然性を示そうとすると分析の網羅性がないために十分でないことがわかる。 「繰り返しによって真の原因に到達するのがなぜなぜ分析である」という認識は正しい。 真の原因が一つであるとは限らないため、対策も一つとは限らない。 必要なすべての原因を洗い出すためには、対策を立てたり,対策の必然性を示すことで確認する。

なぜなぜ分析を改善に用いることがある。 商品,サービス,作業をなぜ実施しているかを考えることにより、改善のきっかけを作る。 問題のような後ろ向きのなぜなぜ分析ばかりしていると、発想が貧困になり、成果があがらないことがある。 前向きのなぜなぜ分析を実施して、どんな場面でもなぜなぜ分析をできるようにしているとよい。

なぜなぜ分析を教育に用いることがある。 教育をなぜ実施するのかを考えることにより、教育の効果をあげる。 教育項目,教材の「なぜ」がわかると,内容の理解を促進する。

なぜなぜ分析を対策の妥当性を示すために、問題の要因を探す作業をする場合もある。 物事の要因は立場、見方によってさまざまに捉えることができ、とりうる対策もさまざまである。 その中から必要なものを取捨選択し、最終目標(「根本的な対策」など)に到達する道筋を明確に提示することが要求されている。

原因の一つを探し出すことがなぜなぜ分析であると認識してなぜなぜ分析を行うと以下のような問題が起こりうる。

  • 論理的な飛躍
書いた本人の認識、あるいは組織内で暗黙に共有されている認識が前提となることで、第三者が見て論理的につながらない因果関係が対策に組み込まれてしまう。これは、他の重要な要因に対処できない可能性がある。
  • 対策の放棄
回避不可能な事象や制度などを『なぜ』として提示することで、問題自体が回避不可能であることを示そうとする。仮に回避不能な要因があったとしても、他の要因の探索と対策を放棄することとなる。
  • 回避不能な要因の黙認
上記とは逆に、回避不能な要因が解決すべき問題の重大な要因であるにも関わらず、その要因を排除し、別の小さな要因に対する対策を提示してしまう。

参考文献[編集]

  • なぜなぜ分析徹底攻略ドリル―なぜなぜ分析を使いこなそう! ,小倉 仁志, JIPMソリューション, 2009, ISBN 9784889563498
  • 効率的な真因追求のための「なぜなぜ分析」の進め方,浅川 富昭, ブイツーソリューション, 2009, ISBN 9784434134418
  • ISO9001 内部監査における是正処置のポイント―“なぜなぜ解析”で原因究明と再発防止! 小沢 豊、 原田 明夫 ,日科技連出版社 ,2002, ISBN 9784817103659