「家路 (ドヴォルザーク)」の版間の差分
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「'''家路'''」(いえじ、''Goin' Home'')は、[[アントニン・ドヴォルザーク]]が[[1893年]]に作曲した[[交響曲第9番 (ドヴォルザーク)|交響曲第9番『新世界より』]]の第2楽章「ラルゴ (Largo)」の主題となる旋律に基づいて、{{仮リンク|ウィリアム・アームズ・フィッシャー|en|William Arms Fisher}}が[[1922年]]に作詞、編曲した歌曲、合唱曲。 |
「'''家路'''」(いえじ、''Goin' Home'')は、[[アントニン・ドヴォルザーク]]が[[1893年]]に作曲した[[交響曲第9番 (ドヴォルザーク)|交響曲第9番『新世界より』]]の第2楽章「ラルゴ (Largo)」の主題となる旋律に基づいて、{{仮リンク|ウィリアム・アームズ・フィッシャー|en|William Arms Fisher}}が[[1922年]]に作詞、編曲した歌曲、合唱曲。 |
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この曲には、訳詞ないし作詞として、数多くの日本語の歌詞が作られている<ref name=" |
この曲には、訳詞ないし作詞として、数多くの日本語の歌詞が作られている<ref name="crd">{{CRD|1000055710|ドボルザーク作曲「新世界から」の有名な歌で、「家路」というのがあるが、これと同じ曲で日本人の作詞者の違う歌があり、「遠きかなたふるさとの…」ではじまる歌の歌詞、曲名、作詞者を知りたい}} ({{date|2009-02-03|ymd}}) {{accessdate|2022-08-09}}</ref>。 |
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== 歌曲「家路」の成立 == |
== 歌曲「家路」の成立 == |
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| title = アメリカ空軍バンドが演奏する「家路 (Goin' Home)」 |
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⚫ | ドヴォルザークの弟子であったフィッシャーは、[[1922年]]に、「ラルゴ」の主題の旋律に歌詞を載せて、編曲し、[[霊歌]]風の楽曲「家路 (Goin' Home)」としたが、この曲はしばしば民謡や伝統的な霊歌と誤解されることがある<ref>Otakar Šourek, ''Antonín Dvořák: his life and works'', Philosophical library, 1954, p. 59; Glenn Watkins, ''Proof through the night: music and the Great War'', Volume 1, University of California Press, 2003, p. 273.</ref><ref name="Keller">{{Cite web|url=http://www.sfsymphony.org/Watch-Listen-Learn/Read-Program-Notes/Program-Notes/DVORAK-Symphony-No-9-in-E-minor,-Opus-95,-From-the.aspx|title=Program Notes: Dvořák: Symphony No. 9 in E minor, Opus 95, ''From the New World''|last1=Keller|first1=James M.|date=c. 2013|website=|publisher=San Francisco Symphony|archive-url=https://web.archive.org/web/20130418084244/http://www.sfsymphony.org/Watch-Listen-Learn/Read-Program-Notes/Program-Notes/DVORAK-Symphony-No-9-in-E-minor,-Opus-95,-From-the.aspx|archive-date=2013-04-18|accessdate=2013-05-13}}</ref><ref>Franya J. Berkman, ''Monument Eternal: The Music of Alice Coltrane'', Wesleyan University Press, 2010, p. 88.</ref><ref>{{Cite book |url=https://books.google.com/books?id=kZPyvhV_caAC&pg=RA1-PA157 |title=The Gift of Music: Great Composers and Their Influence |first1=Jane Stuart |last1=Smith |first2=Betty |last2=Carlson |publisher=Crossway Books |year=1995 |page=157 |isbn=978-0-89107-869-2 |accessdate=2012-09-09 |quote=The largo of the second movement has a hauntingly beautiful melody played by the English horn. There is a sense of longing about it, and a spiritual has been adapted from it, 'Going Home' |language=en}}</ref>。そのような誤解が生まれた背景には、もともとこの旋律が、先住民[[オジブワ]]族の英雄譚に取材した[[ヘンリー・ワズワース・ロングフェロー]]の詩『[[ハイアワサの歌]]』のオペラ化のために構想されたものを元にしていたことや、ドヴォルザークが黒人の弟子であった{{仮リンク|ハリー・バーリー|en|Harry Burleigh}}から多数の霊歌を聞いており、これを『新世界より』の構想に活かしたことがあった{{sfn|西村|2014|pp=8-9}}。バーリーは、ドヴォルザークが『新世界より』の作曲にあたって黒人霊歌を参考にしていたと述べている{{sfn|西村|2014|p=9}}。 |
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⚫ | ドヴォルザークの弟子であったフィッシャーは、[[1922年]]に、「ラルゴ」の主題の旋律に歌詞を載せて、編曲し、[[霊歌]]風の楽曲「家路 (Goin' Home)」としたが、この曲はしばしば民謡や伝統的な霊歌と誤解されることがある<ref>Otakar Šourek, ''Antonín Dvořák: his life and works'', Philosophical library, 1954, p. 59; Glenn Watkins, ''Proof through the night: music and the Great War'', Volume 1, University of California Press, 2003, p. 273.</ref><ref name="Keller">{{ |
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フィッシャー以外にも、やはりドヴォルザークの弟子であった[[ハーヴェイ・ワーシントン・ルーミス]]が「Massa Dear」([[1923年]])、モーリス・アーノルド (Maurice Arnold)<!--英語版曖昧さ回避ページにあるいずれの人物とも別人-->が「Mother Mine」([[1927年]])として、それぞれ英語の歌詞を載せた歌曲を編曲しているが、人気になったのはフィッシャーの「Goin' Home」であった |
フィッシャー以外にも、やはりドヴォルザークの弟子であった[[ハーヴェイ・ワーシントン・ルーミス]]が「Massa Dear」([[1923年]])、モーリス・アーノルド (Maurice Arnold)<!--英語版曖昧さ回避ページにあるいずれの人物とも別人-->が「Mother Mine」([[1927年]])として、それぞれ英語の歌詞を載せた歌曲を編曲しているが、人気になったのはフィッシャーの「Goin' Home」であった{{sfn|西村|2014|p=8}}。フィッシャーは、「Goin' Home」の作詞にあたって、黒人英語風の表記を用いるなど霊歌を思わせる演出も加えていた{{sfn|西村|2014|p=9}}。フィッシャーの歌詞における「home」は「家」ではなく、「故郷」という意味と、キリスト教的な、死後に救済された魂が赴く場所としての「天上の故郷」という意味が重ねられている{{sfn|西村|2014|pp=9-11}}。 |
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キャストがすべて黒人という、[[キング・ヴィダー]]監督による[[1929年の映画 |
キャストがすべて黒人という、[[キング・ヴィダー]]監督による[[1929年]]の映画『{{仮リンク|ハレルヤ (1929年のアメリカ映画)|en|Hallelujah (film)|label=ハレルヤ}}』では、終幕で「Goin' Home」が歌われる{{sfn|西村|2014|pp=14-15}}。 |
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== 日本における普及 == |
== 日本における普及 == |
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「Goin' Home」は、[[1930年代]]には「家路」として日本に紹介されており |
「Goin' Home」は、[[1930年代]]には「家路」として日本に紹介されており{{sfn|西村|2014|p=20}}、以降、様々な日本語の歌詞がこの旋律に載せて作られた<ref name="crd" />。特に、歌い出しの歌詞でもある「'''遠き山に日は落ちて'''」として知られる[[堀内敬三]]によるものは、戦後長く教科書に教材として採用され{{sfn|西村|2014|p=6}}、愛唱歌とされるほど定着している<ref>{{Cite web|和書|author=三宅忠明 |authorlink=三宅忠明 |url=https://eigouta.com/2006/10/goin_home.php |title=Goin' home 家路、遠き山に陽は落ちて |publisher=アルコプランニング |accessdate=2024-03-17}}</ref><ref>{{CRD|1000085819|「遠き山に日は落ちて」の歌詞が掲載されている図書があるか}} ({{date|2011-05-03|ymd}}) {{accessdate|2024-03-17}}</ref>。また、学校や公共施設などが夕方の帰宅時刻などを告げる音楽として<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kurashi/bohan/kodomonoanzen/kodomonokitaku.html |title=子どもの帰宅を促すための音楽を、毎日夕方に放送しています |publisher=中野区役所 |accessdate=2024-03-17 |quote=曲名は、ドヴォルザーク作曲「新世界より」第二楽章です。}}</ref>、この曲を流すことも多い{{sfn|西村|2014|p=6}}<ref>{{Cite web2 |df=ja |url=https://www.tokyo-np.co.jp/article/258797 |title=〈コラム 筆洗〉小学校の時、下校を促すために流れる音楽はドボルザークの「家路」だった。 |website=東京新聞 TOKYO Web |publisher=中日新聞社 |date=2023-06-25 |accessdate=2024-03-17}}</ref>。 |
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=== 日本語の歌詞 === |
=== 日本語の歌詞 === |
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以下では、〈作詞者「曲名」- 歌い出し〉 |
以下では、〈作詞者「曲名」- 歌い出し〉の形で示す<ref name="crd" />。<!-- おおむね年代順に配列 --> |
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* [[宮沢賢治]]「種山ヶ原」- 春はまだきの 朱(あけ)雲を<ref>{{Cite journal|和書|title=「銀河鉄道の夜」を読む (II)|author=[[関口安義]]|journal=都留文科大學研究紀要|issue=74|page=10|year=2011}} {{NAID|40019047175}}</ref> |
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* [[宮沢賢治]]「種山ヶ原」- 春はまだきの 朱(あけ)雲を{{sfn|関口|2011|p=10}} |
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** 1924年の作詞とされるが、公表は後年 |
** 1924年の作詞とされるが、公表は後年{{sfn|西村|2014|p=11}}。 |
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* (作詞者不明〕「秋の姿」- あききぬすずしくははぬれ |
* (作詞者不明〕「秋の姿」- あききぬすずしくははぬれ |
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** 日本国民音楽教育連盟 編纂『現代国民音楽教育 第一集 紅き雲』(1930年)所収 |
** 日本国民音楽教育連盟 編纂『現代国民音楽教育 第一集 紅き雲』(1930年)所収{{sfn|西村|2014|p=11}}。 |
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* [[牛山充]]「歸郷」- かえらんいざやふるさとに |
* [[牛山充]]「歸郷」- かえらんいざやふるさとに |
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** [[若狭萬次郎]] 編『新男子音楽教科書 第三編』(1934年)所収 |
** [[若狭萬次郎]] 編『新男子音楽教科書 第三編』(1934年)所収{{sfn|西村|2014|p=11}}。 |
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* [[西原武男]]「夕陽の沈む頃」 |
* [[西原武男]]「夕陽の沈む頃」 |
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** [[奥田良三 (歌手)|奥田良三]]のSP盤(1935年) |
** [[奥田良三 (歌手)|奥田良三]]のSP盤(1935年){{sfn|西村|2014|p=15}}。 |
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* [[佐伯孝夫]]「家路」 |
* [[佐伯孝夫]]「家路」 |
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** [[杉町みよし]]のSP盤(1936年) |
** [[杉町みよし]]のSP盤(1936年){{sfn|西村|2014|p=15}}。 |
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* [[瀬沼喜久雄]]「家路」- 故郷(くに)へかへる |
* [[瀬沼喜久雄]]「家路」- 故郷(くに)へかへる よろこびに |
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** 東京教育音楽研究会『新撰女声曲集 第五巻』(1937年)所収 |
** 東京教育音楽研究会『新撰女声曲集 第五巻』(1937年)所収{{sfn|西村|2014|pp=7,11}}。 |
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* [[津川主一]]「家路をさして」- いざや帰らん |
* [[津川主一]]「家路をさして」- いざや帰らん 故郷へ |
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** 津川主一 編『合唱名曲撰集 女声篇 第四巻』(1938年)所収 |
** 津川主一 編『合唱名曲撰集 女声篇 第四巻』(1938年)所収{{sfn|西村|2014|p=11}}。 |
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* [[黒沢隆朝|水田詩仙]]「ふるさとの夢」- ゆめはたのし |
* [[黒沢隆朝|水田詩仙]]「ふるさとの夢」- ゆめはたのし ふるさとの |
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** [[黒澤隆朝]]、[[小川一朗]]、[[林幸光]] 編『改頃訂標準女子音楽敦教科書 第四編』(1939年)所収 |
** [[黒澤隆朝]]、[[小川一朗]]、[[林幸光]] 編『改頃訂標準女子音楽敦教科書 第四編』(1939年)所収{{sfn|西村|2014|p=11}}。 |
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* [[野上彰 (文学者)|野上彰]]「家路」- 響きわたる |
* [[野上彰 (文学者)|野上彰]]「家路」- 響きわたる 鐘の音に |
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* [[市川都志春|久野静夫]]「家路」- 森のこずえ |
* [[市川都志春|久野静夫]]「家路」- 森のこずえ 暮れそめて |
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** いち早く1952年に音楽教科書に掲載された |
** いち早く1952年に音楽教科書に掲載された{{sfn|西村|2014|p=7}}。 |
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* [[堀内敬三]]「遠き山に日は落ちて」- 遠き山に |
* [[堀内敬三]]「遠き山に日は落ちて」- 遠き山に 日は落ちて |
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** 作詞された時期には諸説あるが、流布したのは戦後であり、最初に音楽教科書に掲載されたのは1962年である |
** 作詞された時期には諸説あるが、流布したのは戦後であり、最初に音楽教科書に掲載されたのは1962年である{{sfn|西村|2014|p=7}}。 |
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** さらにこれに基づく[[琉球語]]の歌詞が[[佐原一哉]]によって作られている。 |
** さらにこれに基づく[[琉球語]]の歌詞が[[佐原一哉]]によって作られている。 |
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* [[木田みさを]]「ふるさと」- 夢に思う |
* [[木田みさを]]「ふるさと」- 夢に思う ふるさとの |
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* [[高田三九三]]「家路」- 家路さして |
* [[高田三九三]]「家路」- 家路さして 帰り行く |
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* [[峯陽]]「家路」- 遠い山も |
* [[峯陽]]「家路」- 遠い山も たそがれて |
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* [[越悠理子]]「new world |
* [[越悠理子]]「new world 〜願い〜」- 羽を休めた 鳥の様に<ref>{{Cite web|和書|url=https://petitlyrics.com/lyrics/2437326|title=New World 〜願い〜|publisher=プチリリ/SyncPower Corporation|accessdate=2018-07-18}}</ref> |
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** [[largo]]のシングル(2000年)。アルバム『a song』にも収録(2001年)。 |
** [[largo]]のシングル(2000年)。アルバム『a song』にも収録(2001年)。 |
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* [[本田美奈子.]]「[[新世界 (本田美奈子.の曲)|新世界]]」- 時は待たず |
* [[本田美奈子.]]「[[新世界 (本田美奈子.の曲)|新世界]]」- 時は待たず 過ぎてゆく<ref>{{Cite web|和書|url=http://j-lyric.net/artist/a00334e/l018e12.html|title=新世界|publisher=J-lyrics.net|accessdate=2018-07-19}}</ref> |
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** 本田美奈子.のシングル(2004年)<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.hmv.co.jp/news/article/511100002/|title=本田美奈子.さん 逝く|publisher=HMV&BOOKS/Lawson Entertainment, Inc.|date=2005 |
** 本田美奈子.のシングル(2004年)<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.hmv.co.jp/news/article/511100002/|title=本田美奈子.さん 逝く|publisher=HMV&BOOKS/Lawson Entertainment, Inc.|date=2005-11-06 |accessdate=2018-07-19}}</ref>。 |
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* [[平原綾香]]「[[新世界 (平原綾香の曲)|新世界]]」※歌い出しは原曲の中間部のメロディーを使用。 |
* [[平原綾香]]「[[新世界 (平原綾香の曲)|新世界]]」※歌い出しは原曲の中間部のメロディーを使用。 |
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**平原綾香のシングル(2009年)。アルバム『[[my Classics!]]』にも収録(2009年)。 |
** 平原綾香のシングル(2009年)。アルバム『[[my Classics!]]』にも収録(2009年)。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
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=== 出典 === |
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== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
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*{{Cite journal|和書|title= |
* {{Cite journal|和書|author=関口安義 |authorlink=関口安義 |title=「銀河鉄道の夜」を読む (II) |date=2011-10-20 |publisher=都留文科大学 |journal=都留文科大学研究紀要 |issue=74 |doi=10.34356/00000266 |naid=40019047175 |pages=1-21 |ref={{sfnref|関口|2011}} }} |
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* {{Cite journal|和書|author=西村理 |title=《Goin' Home》から《家路》へ --レコードとラジオ放送が果たした役割-- |date=2014-03-01 |publisher=大阪音楽大学 |journal=大阪音楽大学研究紀要 |issue=52 |doi=10.24585/daion.52.0_6 |naid=110009839192 |pages=6-30 |ref={{sfnref|西村|2014}} }} |
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== 外部リンク == |
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2024年3月16日 (土) 23:18時点における版
「家路」(いえじ、Goin' Home)は、アントニン・ドヴォルザークが1893年に作曲した交響曲第9番『新世界より』の第2楽章「ラルゴ (Largo)」の主題となる旋律に基づいて、ウィリアム・アームズ・フィッシャーが1922年に作詞、編曲した歌曲、合唱曲。
この曲には、訳詞ないし作詞として、数多くの日本語の歌詞が作られている[1]。
歌曲「家路」の成立
ドヴォルザークの弟子であったフィッシャーは、1922年に、「ラルゴ」の主題の旋律に歌詞を載せて、編曲し、霊歌風の楽曲「家路 (Goin' Home)」としたが、この曲はしばしば民謡や伝統的な霊歌と誤解されることがある[2][3][4][5]。そのような誤解が生まれた背景には、もともとこの旋律が、先住民オジブワ族の英雄譚に取材したヘンリー・ワズワース・ロングフェローの詩『ハイアワサの歌』のオペラ化のために構想されたものを元にしていたことや、ドヴォルザークが黒人の弟子であったハリー・バーリーから多数の霊歌を聞いており、これを『新世界より』の構想に活かしたことがあった[6]。バーリーは、ドヴォルザークが『新世界より』の作曲にあたって黒人霊歌を参考にしていたと述べている[7]。
フィッシャー以外にも、やはりドヴォルザークの弟子であったハーヴェイ・ワーシントン・ルーミスが「Massa Dear」(1923年)、モーリス・アーノルド (Maurice Arnold)が「Mother Mine」(1927年)として、それぞれ英語の歌詞を載せた歌曲を編曲しているが、人気になったのはフィッシャーの「Goin' Home」であった[8]。フィッシャーは、「Goin' Home」の作詞にあたって、黒人英語風の表記を用いるなど霊歌を思わせる演出も加えていた[7]。フィッシャーの歌詞における「home」は「家」ではなく、「故郷」という意味と、キリスト教的な、死後に救済された魂が赴く場所としての「天上の故郷」という意味が重ねられている[9]。
キャストがすべて黒人という、キング・ヴィダー監督による1929年の映画『ハレルヤ』では、終幕で「Goin' Home」が歌われる[10]。
日本における普及
「Goin' Home」は、1930年代には「家路」として日本に紹介されており[11]、以降、様々な日本語の歌詞がこの旋律に載せて作られた[1]。特に、歌い出しの歌詞でもある「遠き山に日は落ちて」として知られる堀内敬三によるものは、戦後長く教科書に教材として採用され[12]、愛唱歌とされるほど定着している[13][14]。また、学校や公共施設などが夕方の帰宅時刻などを告げる音楽として[15]、この曲を流すことも多い[12][16]。
日本語の歌詞
以下では、〈作詞者「曲名」- 歌い出し〉の形で示す[1]。
- 宮沢賢治「種山ヶ原」- 春はまだきの 朱(あけ)雲を[17]
- 1924年の作詞とされるが、公表は後年[18]。
- (作詞者不明〕「秋の姿」- あききぬすずしくははぬれ
- 日本国民音楽教育連盟 編纂『現代国民音楽教育 第一集 紅き雲』(1930年)所収[18]。
- 牛山充「歸郷」- かえらんいざやふるさとに
- 西原武男「夕陽の沈む頃」
- 佐伯孝夫「家路」
- 瀬沼喜久雄「家路」- 故郷(くに)へかへる よろこびに
- 東京教育音楽研究会『新撰女声曲集 第五巻』(1937年)所収[20]。
- 津川主一「家路をさして」- いざや帰らん 故郷へ
- 津川主一 編『合唱名曲撰集 女声篇 第四巻』(1938年)所収[18]。
- 水田詩仙「ふるさとの夢」- ゆめはたのし ふるさとの
- 野上彰「家路」- 響きわたる 鐘の音に
- 久野静夫「家路」- 森のこずえ 暮れそめて
- いち早く1952年に音楽教科書に掲載された[21]。
- 堀内敬三「遠き山に日は落ちて」- 遠き山に 日は落ちて
- 木田みさを「ふるさと」- 夢に思う ふるさとの
- 高田三九三「家路」- 家路さして 帰り行く
- 峯陽「家路」- 遠い山も たそがれて
- 越悠理子「new world 〜願い〜」- 羽を休めた 鳥の様に[22]
- largoのシングル(2000年)。アルバム『a song』にも収録(2001年)。
- 本田美奈子.「新世界」- 時は待たず 過ぎてゆく[23]
- 本田美奈子.のシングル(2004年)[24]。
- 平原綾香「新世界」※歌い出しは原曲の中間部のメロディーを使用。
- 平原綾香のシングル(2009年)。アルバム『my Classics!』にも収録(2009年)。
脚注
出典
- ^ a b c 「ドボルザーク作曲「新世界から」の有名な歌で、「家路」というのがあるが、これと同じ曲で日本人の作詞者の違う歌があり、「遠きかなたふるさとの…」ではじまる歌の歌詞、曲名、作詞者を知りたい」 - レファレンス協同データベース (2009年2月3日) 2022年8月9日閲覧。
- ^ Otakar Šourek, Antonín Dvořák: his life and works, Philosophical library, 1954, p. 59; Glenn Watkins, Proof through the night: music and the Great War, Volume 1, University of California Press, 2003, p. 273.
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参考文献
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