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「コミカンソウ」の版間の差分

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コミカンソウ属。単位は省略せず示す事とする。
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'''コミカンソウ'''(小蜜柑草、''Phyllanthus urinaria'')は[[コミカンソウ科]][[コミカンソウ属]]の[[一年草]]<ref name=":1" />。別名キツネノチャブクロ(狐の茶袋<ref>{{Cite web |title=狐の茶袋(キツネノチャブクロ)とは? 意味や使い方 |url=https://kotobank.jp/word/%E7%8B%90%E3%81%AE%E8%8C%B6%E8%A2%8B-474829 |website=コトバンク |access-date=2023-05-31 |language=ja |last= |author=小学館 |editor=デジタル大辞泉 |quote=1 [[ホコリタケ]]の別名。また、[[ツチグリ]]の別名
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== 特徴 ==
== 特徴 ==
以下は主に岩槻<ref name=":1">{{Harvnb|岩槻|2006|page=328}}</ref>による。
高さは10から40センチメートル、直立茎は紅色を帯び、それから分枝のない小枝を横に出す。[[葉]]は長さ1センチメートル前後の長楕円形でほとんど無柄。直立茎では下部にのみやや大きい葉が着き、上部では鱗片状に退化しているが、小枝には左右2列に分かれて密に互生し、小枝は羽状複葉のように見える。また小枝の葉は[[就眠運動]]し、夜には2列が上側へ閉じる。その点でも[[マメ科]]植物の複葉に似ている。


高さは10から40センチメートル、[[茎|直立茎]]は紅色を帯び、それから分枝のない小枝を横に出す。[[葉]]は長さ1センチメートル前後の長楕円形でほとんど無柄。直立茎では下部にのみやや大きい葉が着き、上部では鱗片状に退化しているが、小枝には左右2列に分かれて密に互生し、小枝は[[羽状複葉]]のように見える。また小枝の葉は[[就眠運動]]し、夜には2列が上側へ閉じる。その点でも[[マメ科]]植物の複葉に似ている。
[[花]]は単性で、[[萼片]](6個)と[[雌蕊]](1個、子房上位)または[[雄蕊]](3個)からなり、緑白色で直径1ミリメートルほど。小枝の葉腋から下向きに夏に咲き、ほとんど無柄。小枝の基部から中央部には雌花、先端部には雄花が着く。[[果実]]は直径3ミリ程のやや偏平な球形の蒴果で、多数の種子を含み、赤く熟し表面には横方向の凹凸が多い。そのため、見かけは小さな[[ミカン]]を想わせ、和名の由来にもなっている<ref name="mati">{{cite book | 和書 | author = 岩槻秀明 | title = 街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本 | publisher = [[秀和システム]] | date = 2006-11-05 | isbn = 4-7980-1485-0}} p.328</ref>。その形は、羽状複葉の主軸の下側に実が並んでいる、と見える。

[[花]]は単性で、[[萼片]](6個)と[[雌蕊]](1個、子房上位)または[[雄蕊]](3個)からなり、緑白色で直径1ミリメートルほど。小枝の葉腋から下向きに夏に咲き、ほとんど無柄。小枝の基部から中央部には雌花、先端部には雄花が着く。[[果実]]は直径3ミリ程のやや偏平な球形の[[蒴果]]で、多数の種子を含み、赤く熟し表面には横方向の凹凸が多い。そのため、見かけは小さな[[ミカン]]を想わせ、和名の由来にもなっている<ref name="mati">{{Harvnb|岩槻|2006|page= 328}}</ref>。その形は、羽状複葉の主軸の下側に実が並んでいる、と見える。


== 生育環境と分布 ==
== 生育環境と分布 ==
道端や畑に多く見られる。日本では関東地方以西の各地と[[小笠原諸島]]、[[沖縄諸島]]<ref>{{Cite web |title=コミカンソウ Phyllanthus urinaria L. subsp. urinaria |url=https://www.kahaku.go.jp/research/activities/project/hotspot_japan/ryukyus/db/S907.html |website=www.kahaku.go.jp |access-date=2023-05-31 |publisher=国立科学博物館 |work=ホーム ≫ 研究と標本・資料 ≫ 研究活動 ≫ 総合研究 ≫ 日本の多様性ホットスポットの構造に関する研究 ≫ 琉球の植物 ≫ 琉球の植物データベース |quote=和名:コミカンソウ。
道端や畑に多く見られる。日本では関東地方以西の各地、また韓国、華南、東南・南アジアに分布し、さらに世界の熱帯・亜熱帯に広く[[帰化植物|帰化]]している。日本にも史前帰化植物として入った可能性がある。
和名別名:_____。
学名:Phyllanthus urinaria L. subsp. urinaria。
科名:ミカンソウ科。
広域分布:本州(東北南部)~九州, 小笠原諸島; アジアの熱帯~暖帯。
文献に基づく分布:琉球各島。}}</ref>、また韓国、華南、東南・南アジアに分布し、さらに世界の熱帯・亜熱帯に広く[[帰化植物|帰化]]している<ref>{{Cite web |title=Phyllanthus urinaria L., [コミカンソウ (世界の植物相)] |url=https://identify.plantnet.org/ja/the-plant-list/species/Phyllanthus%2520urinaria%2520L./data |website=Pl@ntNet |access-date=2023-05-31 |language=ja |publisher=[[PlantNet]]}}</ref>。日本にも[[帰化植物#日本の場合|史前帰化植物]]として入った可能性がある。


== 類似種 ==
== 類似種 ==
類似種には、葉が細く直立茎にも着く[[ヒメミカンソウ]]、花柄が長い[[帰化植物]]の[[ナガエコミカンソウ]](ブラジルコミカンソウ)などがる。[[コミカンソウ属]]には草本と木本があり、世界の熱帯・亜熱帯を中心に800種前後が分布する。いずれも直立茎(幹)から横に出た小枝に多数の葉が着き羽状複葉風になる。
類似種には、葉が細く直立茎にも着く[[ヒメミカンソウ]](トウダイグサ科コミカンソウ亜科、学名 ''Phyllanthus matsumurae Hayata'' <ref name=":0">{{Cite web |title=ヒメミカンソウ |url=http://www1.ous.ac.jp/garden/photo1/himemikansou.html |website=研究・社会連携機構 自然フィールドワークセンター |access-date=2023-05-31 |publisher=[[岡山理科大学]]}}</ref>)、花柄が長い[[帰化植物]]の[[ナガエコミカンソウ]](ブラジルコミカンソウ<ref> {{Harvnb|森田|村田|2000|pages=246–248}}</ref>)、シマヒメミカンソウ(琉球地方<ref name=":0" />)などが知られ。雄蕊の数を比べるとコミカンソウは3本でヒメミカンソウは2本<ref name=":0" />。[[コミカンソウ属]]には[[草本]][[木|木本]]があり、世界の熱帯・亜熱帯を中心に800種前後が分布する。いずれも直立茎(幹)から横に出た小枝に多数の葉が着き羽状複葉風になる。


なお、[[ハナコミカンボク]]も見かけは本種によく似ているが、こちらは小さいながらも木本である<ref>{{Cite web |title=ハナコミカンボク ''Phyllanthus liukiuensis Matsum. ex Hayata'' |url=https://www.kahaku.go.jp/research/activities/project/hotspot_japan/ryukyus/db/S905.html |website=www.kahaku.go.jp |access-date=2023-05-31 |work= 研究と標本・資料 ≫ 研究活動 ≫ 総合研究 ≫日本の多様性ホットスポットの構造に関する研究 ≫ 琉球の植物 ≫ 琉球の植物データベース |publisher=[[国立科学博物館]]|quote= 絶滅危惧カテゴリー(環境省)EN、同(沖縄県)CR、
なお、[[ハナコミカンボク]]も見かけは本種によく似ているが、こちらは小さいながらも木本である。
文献に基づく分布=沖縄島(北部)}}</ref>。


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
主な執筆者順。
* {{cite book|和書 |author=岩槻秀明 |title=街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本 |publisher=[[秀和システム]] |date=2006-11-05 |ref={{Harvid|岩槻|2006}} |year=2016 |page=328}}{{isbn2|4-7980-1485-0}}。
* {{Cite journal|和書|author1=森田弘彦 |author2= 村田源|year=2000|title=コミカンソウ属の新帰化植物ブラジルコミカンソウ (新称)|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunruichiri/50/2/50_KJ00001077432/_article/-char/ja/|journal=植物分類,地理|volume=50|issue=2|ref={{Harvid|森田|村田|2000}}|pages=246–248|doi=10.18942/bunruichiri.KJ00001077432}}
== 脚注==
{{脚注ヘルプ}}
<references/>
<references/>
== 外部リンク ==
*[https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:354815-1 世界のコミカンソウの分布]{{en icon}} [[キュー植物園]] Plants of the World。次の種内分類群を認める。
**''Phyllanthus urinaria subsp. nudicarpus Rossignol & Haicour''
**''Phyllanthus urinaria subsp. urinaria''

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[[Category:コミカンソウ科]]
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2023年5月31日 (水) 01:59時点における版

コミカンソウ
コミカンソウ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : 真正バラ類I Eurosids I
: キントラノオ目 Malpighiales
: コミカンソウ科 Pyllanthaceae
: コミカンソウ属 Phyllanthus
: コミカンソウ
P. urinaria
学名
Phyllanthus urinaria
L.
和名
コミカンソウ
英名
Chamberbitter, Leafflower
コミカンソウ(赤いのが果実)
コミカンソウ

コミカンソウ(小蜜柑草、Phyllanthus urinaria)はコミカンソウ科コミカンソウ属一年草[1]。別名キツネノチャブクロ(狐の茶袋[2])。従来の分類ではトウダイグサ科に入れていた[3]

特徴

以下は主に岩槻[1]による。

高さは10から40センチメートル、直立茎は紅色を帯び、それから分枝のない小枝を横に出す。は長さ1センチメートル前後の長楕円形でほとんど無柄。直立茎では下部にのみやや大きい葉が着き、上部では鱗片状に退化しているが、小枝には左右2列に分かれて密に互生し、小枝は羽状複葉のように見える。また小枝の葉は就眠運動し、夜には2列が上側へ閉じる。その点でもマメ科植物の複葉に似ている。

は単性で、萼片(6個)と雌蕊(1個、子房上位)または雄蕊(3個)からなり、緑白色で直径1ミリメートルほど。小枝の葉腋から下向きに夏に咲き、ほとんど無柄。小枝の基部から中央部には雌花、先端部には雄花が着く。果実は直径3ミリ程のやや偏平な球形の蒴果で、多数の種子を含み、赤く熟し表面には横方向の凹凸が多い。そのため、見かけは小さなミカンを想わせ、和名の由来にもなっている[4]。その形は、羽状複葉の主軸の下側に実が並んでいる、と見える。

生育環境と分布

道端や畑に多く見られる。日本では関東地方以西の各地と小笠原諸島沖縄諸島[5]、また韓国、華南、東南・南アジアに分布し、さらに世界の熱帯・亜熱帯に広く帰化している[6]。日本にも史前帰化植物として入った可能性がある。

類似種

類似種には、葉が細く直立茎にも着くヒメミカンソウ(トウダイグサ科コミカンソウ亜科、学名 Phyllanthus matsumurae Hayata [7])、花柄が長い帰化植物ナガエコミカンソウ(ブラジルコミカンソウ[8])、シマヒメミカンソウ(琉球地方[7])などが知られる。雄蕊の数を比べるとコミカンソウは3本でヒメミカンソウは2本[7]コミカンソウ属には草本木本があり、世界の熱帯・亜熱帯を中心に800種前後が分布する。いずれも直立茎(幹)から横に出た小枝に多数の葉が着き羽状複葉風になる。

なお、ハナコミカンボクも見かけは本種によく似ているが、こちらは小さいながらも木本である[9]

参考文献

主な執筆者順。

  • 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日、328頁。 ISBN 4-7980-1485-0
  • 森田弘彦、村田源「コミカンソウ属の新帰化植物ブラジルコミカンソウ (新称)」『植物分類,地理』第50巻第2号、2000年、246–248頁、doi:10.18942/bunruichiri.KJ00001077432 

脚注

  1. ^ a b 岩槻 2006, p. 328
  2. ^ 小学館. デジタル大辞泉: “狐の茶袋(キツネノチャブクロ)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年5月31日閲覧。 “1 ホコリタケの別名。また、ツチグリの別名。 2 コミカンソウの別名。 3 植物ゴンズイの別名。 4 ムラサキケマンの別名。”
  3. ^ 福原達人. “コミカンソウなど”. 福岡教育大学 生物事務室. 福岡教育大学. 2023年5月31日閲覧。
  4. ^ 岩槻 2006, p. 328
  5. ^ コミカンソウ Phyllanthus urinaria L. subsp. urinaria”. www.kahaku.go.jp. ホーム ≫ 研究と標本・資料 ≫ 研究活動 ≫ 総合研究 ≫ 日本の多様性ホットスポットの構造に関する研究 ≫ 琉球の植物 ≫ 琉球の植物データベース. 国立科学博物館. 2023年5月31日閲覧。 “和名:コミカンソウ。 和名別名:_____。 学名:Phyllanthus urinaria L. subsp. urinaria。 科名:ミカンソウ科。 広域分布:本州(東北南部)~九州, 小笠原諸島; アジアの熱帯~暖帯。 文献に基づく分布:琉球各島。”
  6. ^ Phyllanthus urinaria L., [コミカンソウ (世界の植物相)]”. Pl@ntNet. PlantNet. 2023年5月31日閲覧。
  7. ^ a b c ヒメミカンソウ”. 研究・社会連携機構 自然フィールドワークセンター. 岡山理科大学. 2023年5月31日閲覧。
  8. ^ 森田 & 村田 2000, pp. 246–248
  9. ^ ハナコミカンボク Phyllanthus liukiuensis Matsum. ex Hayata”. www.kahaku.go.jp. 研究と標本・資料 ≫ 研究活動 ≫ 総合研究 ≫日本の多様性ホットスポットの構造に関する研究 ≫ 琉球の植物 ≫ 琉球の植物データベース. 国立科学博物館. 2023年5月31日閲覧。 “絶滅危惧カテゴリー(環境省)EN、同(沖縄県)CR、 文献に基づく分布=沖縄島(北部)”

外部リンク