コンテンツにスキップ

「リツヤ湾大津波」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集
波高
1行目: 1行目:
'''リツヤ湾大津波'''(リツヤわんおおつなみ)とは、[[1958年]][[7月9日]]、[[アメリカ合衆国]][[アラスカ州]]の[[リツヤ湾]](Lituya Bay)で発生した[[津波]]である。[[フィヨルド]]であるリツヤ湾の斜面が[[地震]]によって崩落し、海中になだれ込んだ土砂や氷塊で大波が発生した。波高はその対岸で524メートルに達し、これは観測史上最高とされる。
'''リツヤ湾大津波'''(リツヤわんおおつなみ)とは、[[1958年]][[7月9日]]、[[アメリカ合衆国]][[アラスカ州]]の[[リツヤ湾]](Lituya Bay)で発生した[[津波]]である。[[フィヨルド]]であるリツヤ湾の斜面が[[地震]]によって崩落し、海中になだれ込んだ土砂や氷塊で大波が発生した。波高はその対岸で524メートル<ref name="MILLERD.1960"/>に達し、これは観測史上最高とされる。
[[File:Lituya Bay megatsunami diagram (English).png|thumb|リツヤ湾大津波のシェーマ]]
[[File:Lituya Bay megatsunami diagram (English).png|thumb|リツヤ湾大津波のシェーマ]]
[[Image:Lituya Bay overview.jpg|thumb|津波の翌週のリツヤ湾の航空写真。沿岸の明るい地帯は、津波で樹木を剥がされた森林の跡である。]]
[[Image:Lituya Bay overview.jpg|thumb|津波の翌週のリツヤ湾の航空写真。沿岸の明るい地帯は、津波で樹木を剥がされた森林の跡である。]]
12行目: 12行目:


なお、リツヤ湾は過去120年間に5回の巨大津波が発生している<ref>宇野木早苗、久保田雅久『海洋の波と流れの科学』p103。</ref>。
なお、リツヤ湾は過去120年間に5回の巨大津波が発生している<ref>宇野木早苗、久保田雅久『海洋の波と流れの科学』p103。</ref>。

==波高==
最大波高が記録された場所は、極めて限定されていた。なお、報告者により波高値には差異が生じている。
; 日本語論文
* 518m 羽鳥(1998)<ref>{{Cite journal|和書 |author=羽鳥徳太郎 |title=アラスカ南東部~米国西岸における津波の規模スケール |journal=地震 第2輯 |issn=00371114 |publisher=日本地震学会 |year=1998 |month=oct |volume=51 |issue=2 |pages=203-210 |naid=10002502230 |doi=10.4294/zisin1948.51.2_203 |url=https://doi.org/10.4294/zisin1948.51.2_203}}</ref>
* 524m 相田(1975)<ref>{{Cite journal|和書 |author=相田勇 |title=1792年島原眉山崩壊に伴つた津波の数値実験 |journal=地震 第2輯 |issn=0037-1114 |publisher=日本地震学会 |year=1975 |volume=28 |issue=4 |pages=449-460 |naid=130006785631 |doi=10.4294/zisin1948.28.4_449 |url=https://doi.org/10.4294/zisin1948.28.4_449}}</ref> 、MILLERD(1960)<ref name=MILLERD.1960>{{Cite journal |author=MILLERD. J. |title=Giant waves in Lituya BayAlaska |journal=Bull. Seism. Soc. Am. |year=1960 |volume=50 |pages=253-266 |naid=10003848422}}</ref>を引用
* 約525m 三好ら(1972)<ref>{{Cite journal|和書 |author=三好寿, 牧野清 |title=1771年4月24日の大津波について (II) |journal=地震 第2輯 |issn=0037-1114 |publisher=日本地震学会 |year=1972 |volume=25 |issue=1 |pages=33-43 |naid=130006785779 |doi=10.4294/zisin1948.25.1_33 |url=https://doi.org/10.4294/zisin1948.25.1_33}}</ref>


== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{Reflist}}
<references/>


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
23行目: 30行目:


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://geology.com/records/biggest-tsunami.shtml World's Tallest Tsunami ] - Geology.com
* [http://geology.com/records/biggest-tsunami.shtml World's Tallest Tsunami] - Geology.com


{{デフォルトソート:りつやわんおおつなみ}}
{{DEFAULTSORT::りつやわんおおつなみ}}
[[Category:津波]]
[[Category:津波]]
[[Category:アラスカ州の災害]]
[[Category:アラスカ州の災害]]

2021年3月23日 (火) 14:30時点における版

リツヤ湾大津波(リツヤわんおおつなみ)とは、1958年7月9日アメリカ合衆国アラスカ州リツヤ湾(Lituya Bay)で発生した津波である。フィヨルドであるリツヤ湾の斜面が地震によって崩落し、海中になだれ込んだ土砂や氷塊で大波が発生した。波高はその対岸で524メートル[1]に達し、これは観測史上最高とされる。

リツヤ湾大津波のシェーマ
津波の翌週のリツヤ湾の航空写真。沿岸の明るい地帯は、津波で樹木を剥がされた森林の跡である。
津波の力で倒された樹木。

リツヤ湾と大津波

リツヤ湾(Lituya Bay)はアメリカ合衆国のアラスカ州の州都ジュノーの西方約200kmに位置する。岩盤が氷河に削られることで形成された急峻なフィヨルドで、奥行き約12km、幅約3kmと細長く、湾の奥でT字型に曲がった両側から氷河が流れ込んでいる。

1958年7月9日、現地でM7.7の地震が発生し、湾の奥で大規模な山体崩落が起こった。それによって海中になだれ込んだ大量の土砂や氷塊により、湾内で巨大な水しぶきが発生、沿岸は高さ500m以上に及ぶ津波に見舞われた。波によって押し倒された樹木の痕跡から推量した波の高さは524mに及び、それはエンパイア・ステート・ビルディングより143m高い、観測史上最高の高さである。

津波発生当時、周辺には3隻の漁船が停泊していたが、そのうち1隻が沈没し、2人の船員が死亡した。他の2隻は無事であった。人跡未踏の地ゆえ、この2名以外の人的被害はない。

なお、リツヤ湾は過去120年間に5回の巨大津波が発生している[2]

波高

最大波高が記録された場所は、極めて限定されていた。なお、報告者により波高値には差異が生じている。

日本語論文
  • 518m 羽鳥(1998)[3]
  • 524m 相田(1975)[4] 、MILLERD(1960)[1]を引用
  • 約525m 三好ら(1972)[5]

脚注

  1. ^ a b MILLERD. J. (1960). “Giant waves in Lituya BayAlaska”. Bull. Seism. Soc. Am. 50: 253-266. NAID 10003848422. 
  2. ^ 宇野木早苗、久保田雅久『海洋の波と流れの科学』p103。
  3. ^ 羽鳥徳太郎「アラスカ南東部~米国西岸における津波の規模スケール」『地震 第2輯』第51巻第2号、日本地震学会、1998年10月、203-210頁、doi:10.4294/zisin1948.51.2_203ISSN 00371114NAID 10002502230 
  4. ^ 相田勇「1792年島原眉山崩壊に伴つた津波の数値実験」『地震 第2輯』第28巻第4号、日本地震学会、1975年、449-460頁、doi:10.4294/zisin1948.28.4_449ISSN 0037-1114NAID 130006785631 
  5. ^ 三好寿, 牧野清「1771年4月24日の大津波について (II)」『地震 第2輯』第25巻第1号、日本地震学会、1972年、33-43頁、doi:10.4294/zisin1948.25.1_33ISSN 0037-1114NAID 130006785779 

参考文献

関連項目

外部リンク