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'''ハインリッヒ・イベント'''({{lang-en|Heinrich events}})は、[[1988年]]にHartmut Heinrichが発見した<ref name="Heinrich1988">{{Cite journal |last= Hartmut |first= Heinrich |year= 1988 |title= Origin and consequences of cyclic ice rafting in the Northeast Atlantic Ocean during the past 130,000 years |journal= Quaternary Research |volume= 29 |pages= 142-152 |issn= 0033-5894 |doi= 10.1016/0033-5894(88)90057-9 |naid= 80003776827}}</ref>[[最終氷期]]に北大西洋へ多数の氷山が流れ出したことで生じた<ref name="And2017">{{Cite web |title= Pulsating ice sheet |url= https://www.nature.com/articles/542298a |accessdate= 2020年3月15日 |last= Andreas |first= Vieli |date= 2017年2月16日 |pages= 298-299 |language= en |archiveurl= http://web.archive.org/web/20200315094215/https://www.nature.com/articles/542298a |archivedate= 2020年3月15日 |doi= 10.1038/542298a}}</ref>、急激で大規模な寒冷イベント<ref>横山祐典, 「[https://doi.org/10.3131/jvsj.50.486 放射性炭素を用いた気候変動および古海洋研究]」『真空』 50巻 7号 2007年 p.486-493, {{doi|10.3131/jvsj.50.486}}。</ref>。 |
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{{仮リンク|ローレンタイド氷床|en|Laurentide Ice Sheet}}などの氷床が約11000年周期で融解することによって発生する<ref name="Heinrich1988" /><ref>池原実, 「[https://doi.org/10.5026/jgeography.121.518 南大洋における海洋フロントの南北シフト]」『地学雑誌』 121巻 3号 2012年 p.518-535, {{doi|10.5026/jgeography.121.518}}。</ref>。この流出を[[1992年]]に北大西洋19箇所の海底コアを採取することで検証した際、過去14000年から70000年に発生したハインリッヒ・イベントの堆積物の特徴として[[石灰岩]]や[[ドロマイト]]が北大西洋を東に進むにつれて減少することや、[[グリーンランド]]南方及び北大西洋東部には分布しないことが明らかになった。北大西洋周辺で陸域からもたらさる石灰岩やドロマイトは[[ハドソン湾]]周辺及びカナダ東部から北部に分布していることを鑑みると、巨大な氷床が底にある石灰岩やドロマイトを削りつつ融解し淡水となったことが言える<ref name="Fujii1998">{{Cite journal|和書|author= 藤井理行 |year= 1998 |month= 7 |title= 最終氷期における気温変動 -Dansgaard-Oeschgerサイクルとハインリッヒ・イベント- |journal= 第四紀研究 |volume= 37 |issue= 3 |pages= 181-188 |publisher= 日本第四紀学会 |issn= 0418-2642 |doi= 10.4116/jaqua.37.181 |naid= 10002510177 |url= https://doi.org/10.4116/jaqua.37.181 |accessdate= 2020年3月16日}}</ref>。 |
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また、ハインリッヒ・イベントの発生は[[ダンスガード・オシュガーサイクル]]とよく一致することが明らかになっている。<ref name="Fujii1998" /> |
また、ハインリッヒ・イベントの発生は[[ダンスガード・オシュガーサイクル]]とよく一致することが明らかになっている。<ref name="Fujii1998" />。 |
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==メカニズム== |
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このメカニズムについては長らく不明で、様々な説がある。Andreas Vieliは温海水の流入による氷床分離面の不安定化が原因であるとしている |
このメカニズムについては長らく不明で、様々な説がある。Andreas Vieliは温海水の流入による氷床分離面の不安定化が原因であるとしている<ref name="And2017" />。 |
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== 外部リンク == |
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* 横山裕道, 吉田健司, 「[http://id.nii.ac.jp/1544/00001550/ 第17回国際コミュニケーション学会 発表要旨]」『国際経営・文化研究』 21巻 1号 2016年 p.321-327, {{issn|13431412}} |
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* 村上拓馬, 勝田長貴, 山本鋼志 ほか, 「[https://doi.org/10.18999/sumrua.20.93 モンゴル・フブスグル湖の湖底堆積物の化学組成データに認められる数千年スケールの周期的な環境変動]」『名古屋大学加速器質量分析計業績報告書』 20巻 p.93-102 2009年, 名古屋大学年代測定資料研究センター |
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[[Category:気候変動の原因]] |
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2020年3月17日 (火) 09:13時点における版
ハインリッヒ・イベント(英語: Heinrich events)は、1988年にHartmut Heinrichが発見した[1]最終氷期に北大西洋へ多数の氷山が流れ出したことで生じた[2]、急激で大規模な寒冷イベント[3]。
要因
ローレンタイド氷床などの氷床が約11000年周期で融解することによって発生する[1][4]。この流出を1992年に北大西洋19箇所の海底コアを採取することで検証した際、過去14000年から70000年に発生したハインリッヒ・イベントの堆積物の特徴として石灰岩やドロマイトが北大西洋を東に進むにつれて減少することや、グリーンランド南方及び北大西洋東部には分布しないことが明らかになった。北大西洋周辺で陸域からもたらさる石灰岩やドロマイトはハドソン湾周辺及びカナダ東部から北部に分布していることを鑑みると、巨大な氷床が底にある石灰岩やドロマイトを削りつつ融解し淡水となったことが言える[5]。
また、ハインリッヒ・イベントの発生はダンスガード・オシュガーサイクルとよく一致することが明らかになっている。[5]。
日本への影響
大西洋で生じた現象であるが、その影響は日本まで及び野尻湖の湖面低下変動として現れた事が、湖底堆積物の音波探査で発見されたと報告されている[6]。
メカニズム
このメカニズムについては長らく不明で、様々な説がある。Andreas Vieliは温海水の流入による氷床分離面の不安定化が原因であるとしている[2]。
脚注
- ^ a b Hartmut, Heinrich (1988). “Origin and consequences of cyclic ice rafting in the Northeast Atlantic Ocean during the past 130,000 years”. Quaternary Research 29: 142-152. doi:10.1016/0033-5894(88)90057-9. ISSN 0033-5894. NAID 80003776827.
- ^ a b Andreas, Vieli (2017年2月16日). “Pulsating ice sheet” (英語). pp. 298-299. doi:10.1038/542298a. 2020年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月15日閲覧。
- ^ 横山祐典, 「放射性炭素を用いた気候変動および古海洋研究」『真空』 50巻 7号 2007年 p.486-493, doi:10.3131/jvsj.50.486。
- ^ 池原実, 「南大洋における海洋フロントの南北シフト」『地学雑誌』 121巻 3号 2012年 p.518-535, doi:10.5026/jgeography.121.518。
- ^ a b 藤井理行「最終氷期における気温変動 -Dansgaard-Oeschgerサイクルとハインリッヒ・イベント-」『第四紀研究』第37巻第3号、日本第四紀学会、1998年7月、181-188頁、doi:10.4116/jaqua.37.181、ISSN 0418-2642、NAID 10002510177、2020年3月16日閲覧。
- ^ 中村祐貴, 井上卓彦, 近藤洋一, 井内美郎, 「長野県下野尻湖における音波探査記録反射面から推定した湖水面変動史」『日本地質学会学術大会講演要旨』 2011年 2011巻, 日本地質学会第118年学術大会・日本鉱物科学会2011年年会合同学術大会(水戸大会), セッションID:R25-P-2, p.532, doi:10.14863/geosocabst.2011.0.532.0
関連項目
外部リンク
- 横山裕道, 吉田健司, 「第17回国際コミュニケーション学会 発表要旨」『国際経営・文化研究』 21巻 1号 2016年 p.321-327, ISSN 13431412
- 村上拓馬, 勝田長貴, 山本鋼志 ほか, 「モンゴル・フブスグル湖の湖底堆積物の化学組成データに認められる数千年スケールの周期的な環境変動」『名古屋大学加速器質量分析計業績報告書』 20巻 p.93-102 2009年, 名古屋大学年代測定資料研究センター